『〈試験に出る〉マンガでわかる すごいことわざ図鑑』講談社より出版。詳細はコチラ!

【男伊達より小鍋だて】の意味と使い方や例文!語源由来は?(類義語・対義語)

男伊達より小鍋だて

【ことわざ】
男伊達より小鍋だて

【読み方】
おとこだてよりこなべだて

【意味】
男の面目を保つためにつまらない意地を張るより、家族との暮らしや実生活を大切にしたほうがよいということ。

ことわざ博士
「男伊達より小鍋だて」は、見栄や世間体より、日々の暮らしの安定を優先することを説く表現だよ。
助手ねこ
無理な付き合いや出費をして体面を保とうとする人を戒める場面で用いるニャン。

【類義語】
・義理張るより頬張れ(ぎりばるよりほおばれ)
・見栄張るより頬張れ(みえばるよりほおばれ)

【対義語】
・武士は食わねど高楊枝(ぶしはくわねどたかようじ)

【スポンサーリンク】

「男伊達より小鍋だて」の語源・由来

ことわざを深掘り

「男伊達より小鍋だて」は、「男伊達」と「小鍋だて」という二つの言葉を対照させたことわざです。人前で面目を保とうとする生き方よりも、小さな鍋を囲むような堅実な暮らしを選ぶほうがよいと説いています。二つの「だて」の音をそろえた、調子のよい言い回しでもあります。

「男伊達」は、もともと、男としての面目を立て通し、意地や見栄を張ること、また、そのように振る舞う人を指しました。江戸時代には、強い者をくじき、弱い者を助け、信義のためには命も惜しまない気風を誇る人々を表す一方で、腕力を振るう無法者を指す場合もありました。表記には、「男伊達」のほか、「男達」もあります。

「男伊達」の古い用例は、評判記『野郎大仏師(やろうだいぶつし)』(1667〜1668年・江戸時代前期)の序に出てきます。そこには、「おとこだてのひぢをいからかし」とあり、男伊達が、ひじを張って威勢よく振る舞う人物として描かれています。人から弱いと思われまいとして、外向きの面目を重んじる姿が、この言葉の背景にあります。

江戸前期の男伊達は、目立つ服装や大胆な振る舞いを好み、旗本奴(はたもとやっこ)や町奴(まちやっこ)などとも結び付いていました。後には、「弱きを助け、強きをくじく」という面が強調され、侠客(きょうかく)のような人物を表す言葉にもなりましたが、同時に、男の意地や面目にこだわるという意味も残りました。

一方の「小鍋立」は、小さな鍋を使って手軽な食べ物を調理することや、その料理を食べることを表します。また、家族の正式な食事とは別に、ひそかに煮炊きして食べるという意味でも用いられました。大がかりな宴席ではなく、身近な材料を小さな鍋で煮て食べる、こぢんまりとした食事を指す言葉です。

「小鍋立」の古い用例は、静観房好阿の談義本『教訓続下手談義(きょうくんぞくへただんぎ)』(1753年・江戸時代中期)に出てきます。そこには、「商人家の二才共を馴付て小鍋立の寄合茶やする類」とあり、商家の若者たちを誘い集め、小鍋を用いた気軽な飲食をする様子が書かれています。このころには、「小鍋立」が、日常の小さな集まりや食事を表す生活語として使われていました。

この「小鍋立」は、ことわざの中では、単に鍋料理だけを意味するのではありません。小さな鍋で食事を整え、家族と日々を暮らすような、目立たなくても確かな生活を表しています。そのため、「男伊達」と並べると、世間に向けて意地を張る生き方と、身近な人との暮らしを守る生き方とが、はっきりと対照をなします。

言い方には、「男伊達より小鍋立て」という漢字表記もありますが、「男伊達より小鍋だて」と書く形も広く用いられています。「立て」を「だて」と平仮名にすることで、「男伊達」の「伊達」と音が重なることが分かりやすくなり、ことわざらしい響きが際立ちます。

このように、「男伊達より小鍋だて」は、江戸の町で重んじられた男の意地や面目と、日常の小さな食事や家庭生活とを並べた表現です。人から立派に見られるために暮らしを苦しくするよりも、見栄を捨て、家族や自分の生活を着実に守るほうが賢明であるという教えにつながっています。

「男伊達より小鍋だて」の使い方

健太
お父さん、会社の人に誘われて、高い店の食事会へ毎週行こうとしているんだ。
ともこ
家の出費が増えているのに、断ったら格好が悪いと思っているの?
健太
うん。でも、お母さんが男伊達より小鍋だてだと言って、今夜は家族で鍋を囲むことになったよ。
ともこ
無理に見栄を張るより、家の暮らしを大切にするほうがいいね!
【スポンサーリンク】

「男伊達より小鍋だて」の例文

例文
  • 父は派手な交際を控え、男伊達より小鍋だてと家族との夕食を大切にした。
  • 暮らしが苦しいのに世間体のために大金を使うのは、男伊達より小鍋だての教えに反する。
  • 祖母は、見栄を張って借金をする父に、男伊達より小鍋だてだと諭した。
  • 男伊達より小鍋だてというように、無理な付き合いより毎日の生活を守るべきだ。
  • 社長は男伊達より小鍋だてを心掛け、豪華な宴会ではなく社員の暮らしを支えることを優先した。
  • 友人への体面を保つために家計を苦しくする彼には、男伊達より小鍋だてという言葉がよく当てはまる。

主な参考文献

・小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』全3巻、小学館、2005〜2006年。
・佐竹秀雄・武田勝昭・伊藤高雄編、北村孝一監修『故事俗信ことわざ大辞典 第二版』小学館、2012年。
・北村孝一編『ことわざを知る辞典』小学館、2018年。
・『野郎大仏師』1667〜1668年。
・静観房好阿『教訓続下手談義』1753年。





『〈試験に出る〉マンガでわかる すごいことわざ図鑑』(講談社)発売中♪

マンガでわかる ことわざ図鑑

◆試験に出ることわざを網羅
ことわざは小学、中学、高校、大学、さらに就職試験の問題になっています。ことわざの試験対策としてもオススメの一冊。

◆マンガで楽しみながらことわざを知る! 憶える!
本書では、マンガで楽しくわかりやすくことわざを解説し、記憶に定着させます。