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【親に似ぬ子は鬼子】の意味と使い方や例文!語源由来は?(類義語・対義語・英語)

親に似ぬ子は鬼子

【ことわざ】
親に似ぬ子は鬼子

【読み方】
おやににぬこはおにご

【意味】
親に似ていない子は人の子ではなく鬼の子だというたとえから、子は親に似るのが普通であるということ。親とは異なる悪い言動をする、手に負えない子についていうことが多い。

ことわざ博士
「鬼子」は、親に似ず、乱暴で手に負えない子を鬼の子に見立てた言い方だよ。
助手ねこ
子供の性格や振る舞いが親とかけ離れ、親を困らせている場面で用いるニャン。

【英語】
・The apple doesn’t fall far from the tree(子供はたいてい親と似た性質をもつ)

【類義語】
・親に似ぬ子は芋の子(おやににぬこはいものこ)
・親に似ぬ子は島流し(おやににぬこはしまながし)

【対義語】
・形は産めども心は産まぬ(かたちはうめどもこころはうまぬ)

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「親に似ぬ子は鬼子」の語源・由来

ことわざを深掘り

「親に似ぬ子は鬼子」は、子供は姿や性質が親に似るものだという考えを土台にしています。そこから、親に似ない子、特に親にはない乱暴さや悪い振る舞いを示す子を、人間ではなく「鬼の子」にたとえたものです。「鬼子」は「おにご」のほか、「おにっこ」とも読みます。

「鬼子」という言葉には、このことわざよりも古い、具体的な意味があります。『台記(たいき)』(12世紀・平安時代後期、藤原頼長の日記)の康治三年五月二十日、すなわち1144年の記録には、大津で異様な姿の子が生まれたという話があり、その子を「鬼子」と記しています。古くは、歯や髪が生えた状態で生まれた子や、普通とは異なる姿の子を、このように呼ぶことがありました。

この古い「鬼子」は、親に似ない子という意味そのものではありません。しかし、人々が普通の子供とは異なると考えた存在を「鬼子」と呼んだ点は、後に、親から大きく外れた子を鬼の子にたとえる表現の背景となっています。やがて「鬼子」は、異様な姿で生まれた子だけでなく、鬼のように荒々しく強い子を指す言葉としても使われました。

ことわざ全体の古い用例は、狂言『二千石(じせんせき)』(室町時代末期から近世初頭)にあります。大蔵虎寛が寛政四年、すなわち1792年に筆録した『虎寛本』には、「むかしから親に似ぬ子は鬼子じゃといふが、似たも道理よな」と記されています。文中に「むかしから」とあることから、この狂言で初めて作られた言葉ではなく、すでに広く知られた言い方として用いられていたことが分かります。

『二千石』では、太郎冠者が主人に断らず都へ出かけ、そこで覚えた「二千石」という謡を披露します。その謡は、主人の先祖に深く関わる大切なものであったため、主人は怒り、太郎冠者を手討ちにしようとします。すると太郎冠者は、刀を振り上げる主人の手が先祖にそっくりだと言って泣き、主人も心を動かされます。この、親や先祖との「似る・似ない」をめぐるやり取りの中に、ことわざが出てきます。

『摂津国長柄人柱(せっつのくにながらのひとばしら)』(1727年・江戸時代中期、並木宗助・安田蛙文作)にも、「悪に色増すしゅ天の相、親に似ぬ子を鬼子とは、此時よりや伝へけん」とあります。鬼である酒呑童子(しゅてんどうじ)の恐ろしい姿に重ね、「親に似ない子を鬼子と呼ぶ言い伝えは、この時から始まったのだろうか」と述べた表現です。これは、物語を面白くするための言い回しであり、ことわざの本当の始まりを示すものではありませんが、江戸時代にこの表現がよく知られていたことを伝えています。

さらに、式亭三馬の『浮世風呂(うきよぶろ)』(1809〜1813年・江戸時代後期)には、「親に似ねへ子は鬼子(オニッコ)とやらで」という、江戸の話し言葉による用例があります。ここでは、「似ぬ」が「似ねへ」、「おにご」が「おにっこ」となっており、ことわざが庶民の会話の中で使われていたことが分かります。

このように、「鬼子」は、もとは普通とは異なる姿で生まれた子や荒々しい子を指し、やがて親に似ず、親の手に負えない子を表す言葉ともなりました。「親に似ぬ子は鬼子」は、その「鬼子」を用いて、子供は親に似るものだという考えを強く言い表したことわざです。ただし、子供を人ではないものにたとえる厳しい表現なので、現在では、本人を責めるために使うより、昔の親子観や古い作品の言葉を説明する際に用いるのが望ましいでしょう。

「親に似ぬ子は鬼子」の使い方

健太
昔の物語に、まじめな両親とは正反対で、乱暴ばかりする子が出てきたよ。
ともこ
昔なら、親に似ぬ子は鬼子と言って、親に似ない悪い振る舞いを戒めたんだね。
健太
でも、今の友達に直接言ったら、すごく傷つけてしまいそうだな……。
ともこ
うん。昔のことわざとして、意味と言葉の強さを一緒に覚えよう!
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「親に似ぬ子は鬼子」の例文

例文
  • 温厚な両親とは正反対に乱暴を重ねる息子を見て、老人は親に似ぬ子は鬼子と嘆いた。
  • 母親は子供の失礼な口の利き方に、親に似ぬ子は鬼子とはこのことだと顔を曇らせた。
  • 親に似ぬ子は鬼子ということわざには、子は親に似るものだという昔の考えが表れている。
  • 小説の登場人物は、手に負えない我が子を親に似ぬ子は鬼子と厳しく戒めた。
  • 授業では、親に似ぬ子は鬼子を、現代では慎重に扱う必要がある古い表現として学んだ。
  • 親に似ぬ子は鬼子という一言から、その時代の親子観や子供への期待が読み取れる。

主な参考文献

・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・北村孝一編『ことわざを知る辞典』小学館、2018年。
・笹野堅校訂『能狂言 大蔵虎寛本』岩波書店、1942〜1945年。
・藤原頼長『台記』12世紀。
・並木宗助・安田蛙文『摂津国長柄人柱』1727年。
・式亭三馬『浮世風呂』1809〜1813年。
・Cambridge University Press, Cambridge Advanced Learner’s Dictionary & Thesaurus.





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