【大きい薬缶は沸きが遅い】の意味と使い方や例文!語源由来は?(類義語・対義語)

大きい薬缶は沸きが遅い

【ことわざ】
大きい薬缶は沸きが遅い

【読み方】
おおきいやかんはわきがおそい

【意味】
才能や器量の大きい人は、力を十分に発揮して大成するまでに長い年月がかかるというたとえ。

ことわざ博士
「大きい薬缶は沸きが遅い」は、すぐに目立った成果を出さなくても、のちに大きく成長する人がいることを表すよ。
助手ねこ
結果が早く出ない人を見限らず、長い目で成長を見守る場面で用いるニャン。

【類義語】
・大器晩成(たいきばんせい)

【対義語】
・小鍋はじきに熱くなる(こなべはじきにあつくなる)

【スポンサーリンク】

「大きい薬缶は沸きが遅い」の語源・由来

ことわざを深掘り

「大きい薬缶は沸きが遅い」は、容量の大きな薬缶が多くの水を入れられる一方、湯が沸くまでには時間がかかることを、人の成長に重ねた表現です。大きな力を備えた人物ほど、その才能が十分に育ち、世に認められるまでに長い年月を要することを表します。

ここでいう「薬缶(やかん)」は、湯を沸かすための身近な容器です。もとは薬を煮る道具であったため、「薬罐」「薬鑵」「薬缶」と書き、その字音から「やかん」という呼び名が生まれました。

「薬罐」という文字は、『下学集(かがくしゅう)』(1444年・室町時代中期、編者未詳)に出ています。『下学集』は、当時使われていた言葉などを分野ごとに集めた書物であり、室町時代には、すでに「薬缶」という道具の名が用いられていたことが分かります。

『鎌倉殿中以下年中行事(かまくらでんちゅういかねんじゅうぎょうじ)』(1454年ごろ・室町時代)には、「薬鑵など参時は、右の手にてはつるを取、左の手にては口のもとを取」とあります。薬鑵を運ぶ際には、右手でつるを持ち、左手で注ぎ口の付け根を支えるという作法を記したものです。

これらの古い記録に出る「薬缶」は、実際に使う道具の名称であり、ことわざの用例ではありません。薬缶という言葉そのものの歴史と、それを人の成長にたとえたことわざの成立とは、分けて捉える必要があります。

薬を煮るために別の鍋が使われるようになると、江戸時代の薬缶は、主として湯や茶を沸かす道具になりました。日常生活で大きさの異なる薬缶を使うなかから、大きな薬缶ほど役に立つ容量をもつ一方、沸くまでには時間がかかるという、分かりやすい比喩が形づくられたと考えられます。

このことわざと意味の近い表現に、「大器晩成」があります。中国古典『老子』第四十一章の「大器晩成」に基づき、大きな器が短時間では完成しないように、本当に優れた人物も時間をかけて実力を養い、のちに大成することを表します。

「大器晩成」が、大きな器を作り上げるまでの時間に注目するのに対し、「大きい薬缶は沸きが遅い」は、容器の中の水が十分に熱くなるまでの時間に注目しています。たとえに用いる道具は異なりますが、大きな力をもつ人物ほど成長に時間を要するという考えは共通しており、現在は類義語として扱われています。

反対の発想を表すのが、「小鍋はじきに熱くなる」です。小さな鍋はすぐに熱くなる一方、大きな薬缶は容易には沸かないという対照によって、早く才能を示す人と、時間をかけて大きく伸びる人との違いを印象深く表しています。

このことわざは、単に動作や仕事が遅い人をほめるための言葉ではありません。今は成果が目立たなくても、豊かな素質をもち、努力を積み重ねながら大きく成長しようとしている人を、早すぎる判断で見限らないようにする表現です。

「大きい薬缶は沸きが遅い」の使い方

健太
野球の練習を毎日頑張っているのに、最近ヒットが全然出なくて落ち込んでいるんだ……。
ともこ
焦らなくても大丈夫だよ! 基礎練習をしっかり重ねているんだから、これから成果が出てくるはずだよ。
健太
本当かな? すぐに試合で活躍する友達を見ると、どうしても羨ましくなっちゃうんだよね。
ともこ
大きい薬缶は沸きが遅いと言うでしょ? 健太くんの努力は大きな成果になるから、自分を信じて続けよう!
【スポンサーリンク】

「大きい薬缶は沸きが遅い」の例文

例文
  • 少年時代には目立たなかった画家が晩年に高く評価され、大きい薬缶は沸きが遅いという言葉を思わせた。
  • 弟は習得に時間がかかるが、基礎を丁寧に積み重ねる姿を見ると、大きい薬缶は沸きが遅いという言葉が浮かぶ。
  • 研究者は長い試行錯誤の末に画期的な成果を上げ、大きい薬缶は沸きが遅いことを示した。
  • 新人選手をすぐに見限らず、大きい薬缶は沸きが遅いと考えて成長を待つべきだ。
  • 大きい薬缶は沸きが遅いというように、若い社員の力は数年後に大きくびることがある。
  • 祖父は大きい薬缶は沸きが遅いを引き合いに出し、結果を急ぐ孫を励ました。

主な参考文献

・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・現代言語研究会著『故事ことわざの辞典―日本語を使いさばく』あすとろ出版、2007年。
・『下学集』1444年。
・『鎌倉殿中以下年中行事』1454年頃。
・『老子』


逆引き検索

言葉が思い出せないときも、意味や使う場面から探せます。

スポンサーリンク



講談社刊行・全3冊

運営者・北澤篤史の著書

ことわざ・四字熟語・漢字熟語を、マンガで楽しく学べる図鑑シリーズです。

※Amazon・楽天の購入先にはアフィリエイトリンクが含まれます。

マンガでわかる すごい!ことわざ図鑑〈試験に出る〉の表紙
ことわざ

マンガでわかる すごい!ことわざ図鑑〈試験に出る〉

試験によく出ることわざを、マンガと解説で楽しく学べる一冊。

マンガでわかる おもしろ四字熟語図鑑〈試験に出る〉の表紙
四字熟語

マンガでわかる おもしろ四字熟語図鑑〈試験に出る〉

四字熟語をマンガで理解し、意味・漢字・使い方を覚えたい人へ。

マンガでわかる 漢字熟語の使い分け図鑑の表紙
漢字熟語

マンガでわかる 漢字熟語の使い分け図鑑

似た意味・同じ読みの漢字熟語の違いを、マンガと用例で学べる一冊。