「知らぬが仏」の意味(類義語・英語訳)
【ことわざ】
知らぬが仏
【読み方】
しらぬがほとけ
【意味】
知れば腹も立ち、悩んだりもするけれど、知らなければ仏のように心を動かされずに穏やかでいられるということ。
それと、自分だけが何も知らへんでのんびりしてると、他人から見たらちょっと笑える状況になったりもするんやな。まあ、時には知らない方がええこともあるけど、自分だけが知らへんでバカにされないようにも注意せなあかんな。
【類義語】
・聞けば気の毒見れば目の毒
・人生、字を識るは憂患の始め
・見ぬが清し
【英語訳】
・Innocence is bliss.(無知は至福)
・Ignorance is bliss.(知らぬが至福)
・What you don’t know can’t hurt you.(自分が知らないことで心が痛むことはない)
・He that knows nothing doubts nothing.(何も知らぬものは何も疑わぬ)
「知らぬが仏」の解説
「知らぬが仏」という言葉は、「江戸いろはかるた」からきているんだよ。これは、江戸時代に人気があった遊びの一つで、「いろは歌」を元に作られているんだ。
「いろは歌」っていうのは、平安時代の弘法大師が作った日本語の仮名を全部使った短歌なんだよね。それを基に、それぞれの仮名に対応することわざが書かれた札と、そのことわざに合った絵が描かれた札で遊ぶんだ。
「知らぬが仏」の意味は、何かを知らない方が心が安らかになれる、ということなんだよ。
例えばね、何か困ったことが起きた時、それを知ってしまうと心が乱れたり、悲しくなったりすることがあるよね。でも、その事実を知らなければ、心は穏やかで平和に保つことができるんだ。だから、「知らないことは心の平和を保つ」っていう意味だよ。
でも、この言葉はもう一つの意味も持っていて、それは「知らないのをいいことに、自分の責任を逃れる」っていう意味だよ。たとえば、宿題を忘れたときに、「それを知らなかった」と言って、責任を逃れようとするんだ。これはちょっとあざける意味があるね。つまり、「知らない方がいい」っていうのは、本当は自分が何かを知って行動するべきなのに、知らないふりをして都合のいいように事を進めるときに使われることが多いんだよ。
「知らぬが仏」の使い方
みんなはもっといい点数を取っていたんだ。
「知らぬが仏」の例文
- 知らぬが仏というのだから、このことは知らせずにおいたほうがいい。
- 女房は知らぬが仏でのんびり構えているが、亭主は借金で首が回らないらしい。
- 夕食のとき、母が父に内緒でノンアルコールビールを出したら、父は上機嫌で酔っ払っていた。知らぬが仏だね。
- 離れて暮らす息子のことは心配だけれど、知らぬが仏というように本人に任せておくことにしている。
- 隣の家のご主人は、出張で離れて暮らしていて知らぬが仏で一生懸命働いているらしいけれど、奥さんは高級な服ばかり買っているらしい。
【注意!】間違った例文
❌「ともこちゃんが僕の悪口を言うのを聞いたけれど、知らぬが仏なので、聞かなかったことにした。」
「知らぬが仏」の文学作品などの用例
そんな陰謀があるとは、知らぬが仏の奈良の都へ、一足飛びに飛んだ佐助は、その夜は大仏殿の大毘盧遮那仏の掌の上で夜を明かした。(織田作之助の猿飛佐助より)
「知らぬが仏」を深掘り
「知らぬが仏」ということわざは、知らない方が心が安らぎ、トラブルが生じにくいことを示しています。これを現代のSNS文化と結びつけてみると、多くの科学的研究がこの古いことわざの真実性を裏付けています。
現代のSNS文化において、多くの人が恋人や家族、友人とオンライン上で繋がり、日常を共有しています。しかしこの行為が、関係性の複雑さや心の平穏を乱す要因となることが示唆されています。
具体的に、ゲルフ大学の研究では、恋人のSNSをチェックする頻度が高いほど、ジェラシー(嫉妬)が高まるという結果が出ています。
また、南洋理工大学の研究では、SNSの利用が、知人の成功や友人の幸せな姿など、ユーザーの嫉妬心を刺激する情報の露出を増やすことから、心の平穏を乱し、鬱症状を引き起こす可能性があると指摘しています。
さらに、オハイオ州立大学とハワイ大学の共同研究では、過去の恋人のSNSを頻繁にチェックする行為は、人間的成長を妨げる可能性があると示されています。
具体的には、失恋後に元恋人の情報をSNSでチェックする習慣がある大学生は、新しい友人や趣味を作る動機が低く、未練や恨みが持続する傾向にあることが明らかにされました。
これらの研究結果から、SNSを通じて知ることができる情報は、必ずしも私たちの心の平穏や人間関係の質を高めるものではなく、場合によっては逆に心のトラブルを引き起こす可能性があることが分かります。
このことから、「知らぬが仏」ということわざが、情報過多のSNS文化においても、心の平穏や人間関係の質を保つための重要な考え方であることが理解できます。
参考文献
このことわざ、科学的に立証されているんです | 堀田 秀吾
つまり、知ってしまうとイライラするような事でも、知らなければ平和に過ごせるということなんだ。また、時には自分だけが知らないで平然としている状況を皮肉って表現することもあるよ。