【ことわざ】
縁の下の筍
【読み方】
えんのしたのたけのこ
【意味】
立身出世のできない人のたとえ。


【英語】
・be unable to get ahead(出世・成功ができない)
【類義語】
・梲が上がらない(うだつがあがらない)
・縁下の小豆の木(えんのしたのあずきのき)
・壁に塗られた田螺(かべにぬられたたにし)
・拓落失路(たくらくしつろ)
【対義語】
・立身出世(りっしんしゅっせ)
「縁の下の筍」の語源・由来
「縁の下の筍」は、家の縁側の下や床下に生えた筍を思い描いたことわざです。「縁の下」は縁側の下、または床下を指し、「筍」は竹類の地下茎から出る若い茎を指します。
筍は、本来なら地面から上へ伸びていく植物です。しかし、縁の下に生えた筍は、上に伸びようとしても頭がつかえ、大きく伸びることができません。
この姿から、才能や働く力があっても、地位や名声を得るところまで進めない人をたとえるようになりました。「立身出世」は、成功して世間に名をあげることをいうため、「縁の下の筍」はその反対側に置かれる表現です。
古い形としては、「縁下の小豆の木[=筍]」という言い方が伝わっています。これは、ひょろひょろと伸びても実らないところから、世に出られない人、うだつがあがらない人をたとえる表現です。
この古い用例は、『諺苑』(1797年・江戸時代後期、太田全斎著)に見えます。『諺苑』は、俗語や俗諺を集め、いろはの各音に配して語釈や出典を示した国語辞書です。
「小豆の木」と「筍」は、どちらも縁の下という、日当たりや空間に恵まれない場所に置かれています。小豆の木は実らないことに、筍は上へ伸びきれないことに重点があり、どちらも「世に出られない」という意味へ結びつきます。
表記には、「縁下の小豆の木」「縁下の筍」のような形と、現在よく用いられる「縁の下の筍」の形があります。「縁下」と「縁の下」は、ともに床下・縁側の下を表す言い方として、このことわざの背景を支えています。
このことわざに近い言い方に、「梲が上がらない」があります。これは、地位や生活などがよくならず、ぱっとしないことを表し、「縁の下の筍」と同じく、上へ進みにくい状態を表します。
また、「壁に塗られた田螺」も、身動きがとれず、一生世に出ることができず、栄えることのないたとえです。「縁の下の筍」と同じく、外へ出る道をふさがれたような境遇を表します。
一方で、「縁の下の力持ち」とは意味が異なります。「縁の下の力持ち」は、人に見えないところで力を尽くす人をほめる言葉ですが、「縁の下の筍」は、世に出られず立身出世できない人をいう言葉です。
つまり、「縁の下の筍」は、植物の伸びたい力と、それをさまたげる場所との対比から生まれた表現です。現在でも、力を発揮する機会に恵まれず、いつまでも上へ進めない人をたとえることわざとして使われます。
「縁の下の筍」の使い方




「縁の下の筍」の例文
- 実力はあるのに重要な仕事を任されず、彼は長い間、縁の下の筍のような立場にいた。
- 小さな部署に閉じ込められたまま昇進の機会がなく、縁の下の筍になってしまった。
- 才能を認められないまま年を重ねるのは、縁の下の筍という言葉そのものだ。
- よい提案を何度も出しているのに表に出られず、彼女は縁の下の筍の境遇にあった。
- 古い習慣にさまたげられて若手が活躍できない職場では、縁の下の筍が増えてしまう。
- 縁の下の筍で終わらないように、彼は自分の力を生かせる新しい場所を探した。
主な参考文献
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・松村明監修、小学館大辞泉編集部編『大辞泉 第二版』小学館、2012年。
・太田全斎『諺苑』1797年。
・Cambridge University Press, Cambridge Dictionary.























