【ことわざ】
学の前に書来る
【読み方】
がくのまえにしょきたる
【意味】
好きで熱心に打ち込んでいれば、必要なものやよい機会が自然と集まり、道が開けるということ。


【類義語】
・鹿は射手の前に来る(しかはいてのまえにくる)
・花好きの畑に花が集まる(はなずきのはたけにはながあつまる)
・笑う門には福来る(わらうかどにはふくきたる)
「学の前に書来る」の語源・由来
「学の前に書来る」は、学ぶことを心から好む人のところには、自然と書物が集まってくるという見立てから生まれたことわざです。「学」は学ぶこと、学問、身につけた知識を表し、「書」は書物や本を表します。
このことわざには、「学ぶ門に書来る」という別の言い方もあります。「門」は家の出入り口を表すため、「学ぶ心をもつ人の家の門前に、学びに必要な書物がやって来る」という情景を思い浮かべやすくなっています。
もとの意味は、書物がただ偶然に届くということではありません。勉強を好み、知りたいという気持ちをもち続けている人には、先生や友人から本をすすめられたり、必要な資料に出会ったりする機会が自然に増える、という経験則を表しています。
「学」は、ただ学校で授業を受けることだけを指す言葉ではありません。学問、知識、学び習うことを広く表すため、このことわざの「学」も、読書・研究・習い事・技術の習得など、知識や力を身につけようとする営み全体に広げて理解できます。
一方、「書」は、文字を書くことや筆跡を表すほか、書物・本を表す言葉です。このことわざでは、学問を進めるために必要な本や資料という意味で使われています。
「前に来る」という言い方には、必要なものが相手の方から近づいてくるという働きがあります。そのため、このことわざは「努力すれば必ず何でも手に入る」と強く断定する言葉ではなく、熱心に取り組む姿勢が、よい出会いや助けを呼び寄せるという考えを表します。
同じ発想は、「花好きの畑に花が集まる」という言い方にも通じます。花を大切にする人のところに花が集まるように、学問を大切にする人のところには、学びを助ける本や情報が集まりやすいという考えです。
また、「鹿は射手の前に来る」とも近い関係にあります。求めているものに心を向け、準備をしている人の前には、その対象が現れやすいという点で、「学の前に書来る」と考え方が重なります。
さらに、「笑う門には福来る」とも並べて考えられます。明るく和やかな家に福が来るということわざと同じように、「学の前に書来る」は、よい姿勢や気持ちが、ふさわしいものを引き寄せるという見方を含んでいます。
このことわざの大切な点は、ただ待っていれば幸運が来るという意味ではないことです。学ぶ意欲をもち、自分から知ろうとし、続けて取り組むからこそ、書物や知識や機会がその人の前に現れる、というところに意味があります。
現在では、文字どおりの書物だけでなく、よい先生、役立つ情報、同じ目標をもつ仲間、挑戦の機会などにも広げて使えます。何かを好きになり、真心をもって打ち込む人のもとには、その道を進むための助けが自然に集まりやすい、という励ましのことわざです。
「学の前に書来る」の使い方




「学の前に書来る」の例文
- 宇宙に興味をもち続けていた弟のもとに、先生から天文学の本が届き、学の前に書来ると思った。
- 祖父は、知りたい気持ちを失わなければ学の前に書来ると、読書の大切さを教えてくれた。
- 歴史好きの友人には次々と資料や展覧会の情報が集まり、まさに学の前に書来るであった。
- 研究に打ち込む彼女のもとへ協力者が現れ、学の前に書来るという言葉がふさわしい展開になった。
- 学の前に書来るというように、熱心に取り組む人には必要な本や助言が集まりやすい。
- ただ待つだけではなく、自分から学ぼうとする姿勢があってこそ、学の前に書来るという結果につながる。
主な参考文献
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・佐竹秀雄・武田勝昭・伊藤高雄編、北村孝一監修『故事俗信ことわざ大辞典 第二版』小学館、2012年。
・小学館『日本大百科全書(ニッポニカ)』小学館。
・鎌田正・米山寅太郎著『角川新字源 改訂新版』KADOKAWA、2017年。























