【ことわざ】
片山曇れば片山日照る
【読み方】
かたやまくもればかたやまひでる(かたやまくもればかたやまひてるとも)
【意味】
一方に悪いことがあれば、もう一方に良いこともあり、世の中はさまざまで一様ではないというたとえ。


【英語】
・Every cloud has a silver lining.(どんな悪い状況にも良い面がある)
【類義語】
・入り船あれば出船あり(いりふねあればでふねあり)
・禍福は糾える縄の如し(かふくはあざなえるなわのごとし)
・苦あれば楽あり(くあればらくあり)
「片山曇れば片山日照る」の語源・由来
「片山曇れば片山日照る」は、山の一方が曇っていても、もう一方には日が照っているという自然の眺めをもとにしたことわざです。よいことと悪いことが同じ世の中に並んで起こることを、空模様の違いで分かりやすく表しています。
「片山」は、山の片側、また一方が傾斜面になっている山を指す言葉です。古い用例として、『日本書紀』(720年・奈良時代、舎人親王ら編)には「傍山」を「カタやま」と読む形が出てきます。
「曇る」は、雲や霧などで空がおおわれることを表します。『日本霊異記』(810〜824年ごろ成立・平安時代初期、景戒編)には、空が曇る意味の古い用例が出ています。
「日照る」は、日が照りかがやくこと、日光がよく差すことを表す言葉です。『古事記』(712年・奈良時代、太安万侶編)には、日の光が照る宮を述べる歌謡があり、古くから「日が照る」という表現が用いられていました。
また、『土左日記』(935年ごろ成立・平安時代前期、紀貫之著)には、「ひてりて、くもりぬ」という表現が出てきます。これは、日が照ったあとに曇ったという天気の移り変わりを述べるもので、「照る」と「曇る」が対になる感覚を伝えています。
このことわざでは、「曇る」と「日照る」が同じ山のまわりで対照的に置かれています。山のこちら側は暗くても、あちら側は明るいという景色が、物事には悪い面だけでなく良い面もあるという考えにつながっています。
表記には、「片山曇れば片山日照る」のほか、「片山曇れば片山照る」という形もあります。「日照る」と「照る」はどちらも日の光が差すことに関わり、ことわざの意味は大きく変わりません。
同じ考えを表すものに、「入り船あれば出船あり」があります。港に入る船があれば出ていく船もあるように、一方によいことがあれば他方には困ることもあり、世の中はさまざまであることを表します。
「片山曇れば片山日照る」は、幸不幸が一人の身の上だけで完全に決まるというよりも、世の中全体には明るい所も暗い所もある、という広い見方をもつことわざです。そのため、失敗や不運に出会ったときにも、別の面に目を向ける余地があることを静かに教えます。
このことわざは、天気の変化をそのまま心の持ち方に結びつける、生活感のある表現です。片方の山が曇っても、片方の山には日が照るように、世の中の出来事は一色ではなく、悲しいことのそばに救いになることもあると伝えています。
「片山曇れば片山日照る」の使い方




「片山曇れば片山日照る」の例文
- 試合には負けたが、控えの選手が大きく成長し、片山曇れば片山日照ると思える一日になった。
- 旅行中に雨が降ったものの、予定外に入った小さな店が楽しく、片山曇れば片山日照るだった。
- 仕事で一つ失敗しても、別の企画が評価されることもあり、片山曇れば片山日照るというものだ。
- 友人とけんかをした日に、家族が温かく話を聞いてくれて、片山曇れば片山日照るを実感した。
- 店の売り上げは落ちたが、新しい常連客が増え、片山曇れば片山日照るのような月だった。
- 進学先が第一希望ではなくても、そこでよい先生に出会えば、片山曇れば片山日照るとなることもある。
主な参考文献
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・松村明監修『大辞泉 第二版』小学館、2012年。
・北村孝一編『ことわざを知る辞典』小学館、2018年。
・現代言語研究会『日本語を使いさばく 故事ことわざの辞典』あすとろ出版、2007年。
・Merriam-Webster, “Merriam-Webster.com Dictionary.”























