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【痛む上に塩を塗る】の意味と使い方や例文!語源由来は?(類義語・対義語・英語)

痛む上に塩を塗る

【ことわざ】
痛む上に塩を塗る

【読み方】
いたむうえにしおをぬる

【意味】
悪いことの上に、さらに悪いことが起こって、つらさが増すことのたとえ。痛い傷口に塩を塗れば、しみていっそう痛くなることからいう。

ことわざ博士
「痛む上に塩を塗る」は、すでに苦しい状態に追い打ちがかかることを表すことわざなんだよ。
助手ねこ
失敗、損失、けが、心配事などが一つで終わらず、さらに重なる場面で用いるニャン。

【英語】
・rub salt in/into the wound(つらい状況をさらに悪くする)
・Misfortunes never come singly(不幸は一つだけでは来ない)

【類義語】
・泣きっ面に蜂(なきっつらにはち)
・弱り目に祟り目(よわりめにたたりめ)
・痛い上の針(いたいうえのはり)
・切身に塩(きりみにしお)

【対義語】
・雨降って地固まる(あめふってじかたまる)
・禍を転じて福となす(わざわいをてんじてふくとなす)

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「痛む上に塩を塗る」の語源・由来

ことわざを深掘り

「痛む上に塩を塗る」は、痛みのある傷口に塩を塗ると、さらにしみて痛くなるという具体的な体験から生まれたことわざです。そこから、すでに悪いことが起こっているのに、さらに悪いことが重なってつらさが増す、という意味になりました。

このことわざの「痛む」は、体が痛みを感じることだけでなく、心に苦しみを感じることにも用いられる言葉です。そのため、実際の傷の痛みだけでなく、心配、悲しみ、損害などの苦しみにも意味を広げやすい表現です。

「塩」は、食べ物の味を整える身近なものですが、傷に触れると強くしみるものとしても意識されてきました。塩は古くから生活に深く関わるもので、海水を煮詰めるなどして作られ、食用だけでなく多くの用途に用いられてきました。

傷に塩をそそぐ発想は、古い和歌の世界にも出てきます。『万葉集』(8世紀後半成立、奈良時代)には、山上憶良(やまのうえのおくら)に関わる歌の中で、「痛伎瘡には鹹塩をそそく」といった表現が使われています。これは、痛む傷に塩を注ぐように、苦しみがさらに増すという感覚を表したものです。

この古い表現は、「痛む上に塩を塗る」という現在の形そのものではありません。しかし、すでに痛む傷に塩を加えるという発想が、古くから「苦しみをさらに増す」たとえとして理解されていたことを示しています。

現在のことわざに近い表現としては、「切身に塩」があります。これは、傷口に塩をこすりつけるように、痛い上にさらに痛さを加えること、また打撃の上にさらに打撃を受けることを表す言い方です。

「切身に塩」の古い用例として、浄瑠璃(じょうるり)『加賀見山旧錦絵』(1782年・江戸時代後期)に「切身に塩が染み」という形が出てきます。ここでは、心にこたえる出来事が、傷に塩がしみるように痛切に感じられる文脈で使われています。

また、「痛い上の針」という近いことわざもあります。『毛吹草(けふきぐさ)』(1638年・江戸時代前期、松江重頼編)には「いたいうへのはり」という形が出てきて、痛い所にさらに針を刺す、すなわち災難の上に災難が重なることを表しています。

江戸時代の浮世草子(うきよぞうし)『和国小姓気質』(1746年)にも、「痛い上の針立」という形が出てきます。土蔵に火が入り、大きな損害にさらに損害が重なる場面で使われており、現在の「痛む上に塩を塗る」と同じく、追い打ちのつらさを表す言い方です。

このように、「痛む上に塩を塗る」は、古くからある「傷に塩」「切身に塩」「痛い上の針」と同じ発想の流れにある表現です。身体の痛みをもとにして、生活上の苦しみや不運の重なりを表すことわざとして定着しています。

なお、このことわざは、中国古典の人物や出来事に由来する故事成語ではありません。日本語の中で、痛みの体験をもとに、悪いことが重なる様子を言い表すことわざとして用いられてきた表現です。

「痛む上に塩を塗る」の使い方

健太
朝、理科の宿題を家に忘れてしまったんだ。しかも、休み時間に水筒を倒して、連絡帳までぬらしてしまったよ。
ともこ
それは痛む上に塩を塗るような一日だね。宿題のことだけでも落ちこむのに、連絡帳までぬれたの?
健太
うん。先生に事情を話したら、帰ったらすぐ乾かして、宿題も明日出しなさいと言われたよ……。
ともこ
それなら、まだ立て直せるよ! 今日は家に帰ったら、まず宿題と連絡帳をきちんと直そう。
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「痛む上に塩を塗る」の例文

例文
  • 財布を落としたうえに携帯電話まで故障し、痛む上に塩を塗るような一日となった。
  • 発表で失敗した直後に資料の誤りも見つかり、痛む上に塩を塗る結果となった。
  • けがで試合に出られないところへ大会の中止も知らされ、痛む上に塩を塗る思いだった。
  • 売り上げが下がった店に修理費までかかり、痛む上に塩を塗る事態になった。
  • 旅行の予定が雨で崩れたうえに電車も遅れ、痛む上に塩を塗るような出発だった。
  • 大切な書類をなくしたあと、取引先から急な変更を求められ、痛む上に塩を塗る状況に陥った。

主な参考文献
・旺文社編、尾上兼英監修『成語林 故事ことわざ慣用句』旺文社、1992年。
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・佐竹秀雄・武田勝昭・伊藤高雄編、北村孝一監修『故事俗信ことわざ大辞典 第二版』小学館、2012年。
・『万葉集』8世紀後半成立。
・松江重頼編『毛吹草』1638年。
・『加賀見山旧錦絵』1782年。





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