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【あだし野の露、鳥辺野の煙】の意味と使い方や例文!語源由来は?(類義語・対義語・英語)

あだし野の露、鳥辺野の煙

【ことわざ】
あだし野の露、鳥辺野の煙

【読み方】
あだしののつゆ、とりべののけむり

【意味】
人の世や命の無常、はかなさのたとえ。墓地の露と火葬場の煙のように、人生がはかなく消えていくことを表す。

ことわざ博士
あだし野は京都の嵯峨にあった葬送の地で、「あだし野の露」は人生のはかなさを表す言い方として用いられているよ。
助手ねこ
鳥辺野は京都の東山にあった火葬場・葬送地で、鳥辺山とも呼ばれるニャン。

【英語】
・the transience of life(人生のはかなさ)
・the impermanence of life(人生の無常)

【類義語】
・明日ありと思う心の仇桜(あすありとおもうこころのあだざくら)
・朝に紅顔ありて夕べに白骨となる(あしたにこうがんありてゆうべにはっこつとなる)

【対義語】
・千古不易(せんこふえき)
・千代に八千代に(ちよにやちよに)

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「あだし野の露、鳥辺野の煙」の語源・由来

ことわざを深掘り

このことわざの中心には、京都の二つの葬送地があります。あだし野は、京都市右京区嵯峨の小倉山のふもとにあった葬送の地で、中古には火葬場があり、東山の鳥辺山と並び称されました。そこから「仇野の露」「仇野の霜」は、無常な場所や人生のはかなさを表す言い方として用いられるようになりました。

あだし野は「徒野」「仇野」「化野」とも書かれ、その名は「無常の野」の意味をもつといいます。京都の西にあるこの野は、死者を葬る土地であると同時に、露がすぐ消えるような人の世のはかなさを思わせる歌枕としても働いてきました。

鳥辺野は、京都市東山区の清水寺から西大谷へ通じる一帯の地名で、古く火葬場があり、鳥辺山とも呼ばれました。平安時代から京都近郊の葬送地として知られ、火葬の煙によって死を思わせる場所として、人々の記憶に残っていきました。

この二つを結びつける大切な古い表れが、『徒然草(つれづれぐさ)』(鎌倉時代、吉田兼好著、1330〜1331年ごろ成立か)第七段にあります。そこでは「あだし野の露消ゆる時なく、鳥部山の煙…」と、露と煙が消えずに人が永遠に住み続けるなら、もののあはれはないだろう、と述べたあと、「世はさだめなきこそ、いみじけれ」と続きます。

ここでの露は、墓所に置かれたはかないものを表すだけでなく、消えるはずのものが消えないと仮定することで、命に限りがあるからこそ心が動く、という考えを引き出しています。鳥部山の煙も、火葬の煙として死を直接思わせるものですから、露と煙は、目に見えてすぐ失われるものとして対になっています。

ただし、現在広く用いられる「あだし野の露、鳥辺野の煙」という形は、『徒然草』の一節をそのまま写したものではなく、あだし野の露と鳥辺野・鳥部山の煙を並べた言い回しとして整ったものです。「あだし野」は「仇野」「徒野」、「鳥辺野」は「鳥部野」とも書き、鳥辺野は鳥辺山ともいうなど、表記や地名の形にはゆれがあります。

江戸時代中期の浄瑠璃(じょうるり)『壇浦兜軍記(だんのうらかぶとぐんき)』(1732年初演、文耕堂・長谷川千四合作)にも、この取り合わせは印象的に出てきます。遊女の阿古屋(あこや)が胡弓を弾く場面で、「吉野竜田の花紅葉」「更科、越路の月雪」などの美しい名所を挙げたあと、「あだし野の露鳥辺野の、煙は絶ゆる時しなき、これが浮世の誠なる」と歌い、華やかな夢が消えたあとに残る世の無常を響かせています。

このように、このことわざは、ただ「悲しい」という心情を言うだけの表現ではありません。京都の葬送地、露と煙という消えやすいもの、『徒然草』に見える無常観、さらに後代の舞台表現が重なり、人の命や栄えが永遠ではないことを静かに示す言葉として伝わってきたのです。

「あだし野の露、鳥辺野の煙」の使い方

健太
昨日、おじいちゃんが大事にしていた古い時計を見ていたら、時間の流れが急にこわくなったよ。
ともこ
形あるものも、人の命もいつかは変わっていくものだね。
健太
先生が読んでくれたあだし野の露、鳥辺野の煙って、こういうはかなさを言うのかな?
ともこ
うん。だからこそ、今日伝えられるありがとうは今日伝えたいね!
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「あだし野の露、鳥辺野の煙」の例文

例文
  • 古い写真を整理していると、あだし野の露、鳥辺野の煙という言葉が胸にしみた。
  • 祖母の葬儀を終え、家族はあだし野の露、鳥辺野の煙の思いを新たにした。
  • 栄えていた町が姿を変える様子に、あだし野の露、鳥辺野の煙を感じた。
  • 若さも名声も永遠ではないと、あだし野の露、鳥辺野の煙は静かに教えている。
  • 友人との別れのあと、あだし野の露、鳥辺野の煙という表現の重みを知った。
  • あだし野の露、鳥辺野の煙を思えば、日々の何げない時間もおろそかにできない。

主な参考文献
・北村孝一編『ことわざを知る辞典』小学館、2018年。
・小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005〜2006年。
・平凡社編『日本歴史地名大系』平凡社、1979〜2004年。
・平凡社編『改訂新版 世界大百科事典』平凡社、2007年。
・吉田兼好『徒然草』1330〜1331年ごろ成立。
・文耕堂・長谷川千四『壇浦兜軍記』1732年。
・Merriam-Webster『Merriam-Webster.com Dictionary』Merriam-Webster、2026年。
・HarperCollins Publishers『Collins COBUILD Advanced Learner’s Dictionary』HarperCollins、2026年。





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