【ことわざ】
秋の入り日と年寄りは、だんだん落ち目が早くなる
【読み方】
あきのいりひととしよりは、だんだんおちめがはやくなる
【意味】
秋の日が深まるにつれて暮れやすくなるように、年を重ねた人の衰えも前より早く進むこと。


【英語】
・The autumn sun sinks as quickly as a bucket falling into a well.(秋の日が釣瓶のようにすばやく沈む。)
・be on the decline(衰えが目立ってくる。)
・age is beginning to tell on someone(年齢による衰えがあらわれはじめる。)
【類義語】
・寄る年波には勝てぬ(よるとしなみにはかてぬ)
・年には勝てぬ(としにはかてぬ)
・年は争えない(としはあらそえない)
【対義語】
・老いてますます盛んなり(おいてますますさかんなり)
・老い木に花(おいきにはな)
・老木にも花咲く(おいきにもはなさく)
「秋の入り日と年寄りは、だんだん落ち目が早くなる」の語源・由来
このことわざの土台にあるのは、秋が進むにつれて夕暮れがぐっと早くなるという実感です。日本では冬に近づく時期、日の入りが日ごとに早まり、人びとはその変化を暮らしの中で強く感じてきました。
「入り日」は、沈もうとする夕日を表す古い言い方です。『万葉集』や『源氏物語』にもこの語が出てきて、かなり古くから日本語の中に根づいていたことがたどれます。
秋の夕暮れの早さを表す、よく知られた言い方に「秋の日は釣瓶落とし」があります。これは、秋の日暮れが早いことを、井戸の釣瓶がすとんと落ちる感じにたとえた言葉です。
「釣瓶落」という語そのものは、もともと井戸に釣瓶をおろすように、まっすぐ急に落ちることを表しました。秋の暮れやすさを言う用法は、1862年(文久2年・江戸時代末期)の歌舞伎『勧善懲悪覗機関(かんぜんちょうあくのぞきからくり)』に出てきます。
さらに、1876年(明治9年・明治時代)初演の『牡丹平家譚(なとりぐさへいけものがたり)』にも、秋の日が暮れやすいことをいう文が書かれています。秋の夕方が急に短く感じられるという感覚が、近代に入ってからも広く共有されていたことがうかがえます。
また、「落目」は、境遇や勢いが衰えかかることを表す古い語です。中世にはすでに使われていて、1430年(永享2年・室町時代)の『申楽談儀(さるがくだんぎ)』に例が残っています。
つまり、このことわざは、古くからある「入り日」という語と、衰えを表す「落目」という語を土台にしながら、秋の夕暮れの早さを人の老いに重ねた言い方です。秋の空の変化を、人の体力や気力の変化に移しているところに、このことわざのたとえの鋭さがあります。
このことわざそのものは、秋の日が急速に沈むように、老人も急速に老いるという意味の言い回しとして伝えられています。ここで大事なのは、ただ年を取るというだけでなく、前より早く衰えが進むように感じられる点です。
そのため、このことわざがよく合うのは、少し疲れやすくなった程度の場面ではありません。年を重ねるにつれて体力や回復の落ち方が目立ち、変化の速さを実感する場面でこそ、ことばの重みがはっきり伝わります。
今の感覚では、「年寄り」という語がやや古風で、言い方もかなり直截です。けれども、昔の人が季節の移り変わりと人の一生を重ねて、老いの進み方を短く強く言い表そうとした、その観察の細やかさは今もよく伝わってきます。
このことわざの語源・由来は、一つの事件や人物から生まれたというより、秋の日暮れの早さを見つめてきた暮らしの実感から育ったものです。そして、その実感に古くからの語を重ねて、老いの進み方をたとえる言葉としてまとまっていったと考えられます。
「秋の入り日と年寄りは、だんだん落ち目が早くなる」の使い方




「秋の入り日と年寄りは、だんだん落ち目が早くなる」の例文
- 学校の稲刈り体験を手伝った老人会の人が、去年より早く腰を下ろした姿に、秋の入り日と年寄りは、だんだん落ち目が早くなるという言葉が重なった。
- 祖父は庭の草取りを一時間で切り上げ、秋の入り日と年寄りは、だんだん落ち目が早くなるとはこのことだと苦笑した。
- 久しぶりに会った友人は、母の回復が以前より遅いと話し、秋の入り日と年寄りは、だんだん落ち目が早くなるとしみじみ漏らした。
- 敬老会の準備で朝から動いた町内会長は、夕方には声にも疲れが出て、秋の入り日と年寄りは、だんだん落ち目が早くなるという古い言い方を思い出させた。
- 長年現場に立つ職人が午後には手元の疲れを気にするようになり、秋の入り日と年寄りは、だんだん落ち目が早くなるということわざが話題にのぼった。
- 高齢者の見守り体制を話し合う会合では、秋の入り日と年寄りは、だんだん落ち目が早くなるということわざを引きながら、早めの支え合いの必要が語られた。























