【ことわざ】
行きはよいよい帰りは怖い
【読み方】
ゆきはよいよいかえりはこわい
【意味】
行くときや始めるときは気楽でも、帰るときや終えるときには思ったよりむずかしさや心配があること。入り口はやさしくても、出口や後始末は楽ではないことのたとえ。


【英語】
・Going is easy, coming back is hard(行くのはやさしいが、帰るのはむずかしい)
・The way in is easier than the way out(入るほうが出るより楽だ)
・It’s easy to begin, but hard to get out(始めるのはやさしいが、抜けるのはむずかしい)
【類義語】
・借りる時の地蔵顔返す時の閻魔顔(かりるときのじぞうがお かえすときのえんまがお)
・言うは易く行うは難し(いうはやすくおこなうはかたし)
【対義語】
・終わりよければすべてよし(おわりよければすべてよし)
・案ずるより産むが易し(あんずるよりうむがやすし)
「行きはよいよい帰りは怖い」の語源・由来
「行きはよいよい帰りは怖い」は、古くから歌われてきたわらべ歌『通りゃんせ』の一節として広く知られる言葉です。今では歌の中だけでなく、ことわざのように独立して使われることも多くなりました。
『通りゃんせ』には、細い道を通って向こうへ行く場面が出てきます。その中で「行きはよいよい帰りは怖い」と歌われるため、まずは実際の道の往復を思わせる、たいへん具体的な言い方でした。
この一節が印象深いのは、「行き」と「帰り」の感じ方がはっきり分かれているからです。行くときには止められなかったのに、帰るときには何か気がかりがあり、安心して同じようには戻れない、という不安が短い言葉に込められています。
『通りゃんせ』の背景については、神社へお参りに行く子どもの歌とする考えや、門や関所のような場所を通る不安を重ねて読む考えなど、いくつかの伝え方があります。けれども、どの伝え方でも、行くときより帰るときのほうに気づかいが増す、という感じは共通しています。
歌の中には「この子の七つのお祝いに」という言葉もあり、子どもの節目の行事と結びつけて受け取られることもあります。そこから、ただの道案内ではなく、無事に行って無事に戻ることの大切さをにじませる歌として親しまれてきました。
この言葉がことわざとして広がったのは、道の話だけでは終わらなかったからです。実際の行き帰りだけでなく、物事を始めるときと終えるときの差を言い表すのに、とても分かりやすかったのです。
たとえば、入るのは簡単でも、やめるのがむずかしいことがあります。借りるのはすぐでも返すときに苦労したり、引き受けるのは軽くても後始末が重かったりする場面に、このことわざはよく当てはまります。
ここでいう「怖い」は、必ずしも化け物が出るような怖さだけではありません。困るかもしれない、面倒が起こるかもしれない、帰りや終わりに手間がかかるかもしれない、という広い意味の不安を表しています。
そのため、今の使い方では、ほんとうの帰り道だけでなく、契約、会員登録、約束、仕事の引き受けなどにも広く使われます。最初は気軽でも、あとで抜けにくい、終えにくい、責任が重くなる、という場面にぴたりと合うのです。
また、このことわざは、出発前に帰りのことまで考えておく大切さも教えています。行くときの楽しさだけでなく、戻る方法、片づけ、返却、解約、後始末まで見ておくと、失敗が少なくなります。
こうして「行きはよいよい帰りは怖い」は、もともとは歌の一節でありながら、今では広い教えを持つことわざとして使われています。入り口の楽さに気を取られず、帰り道や終わり方まで考える心がけを、やさしい調子の中にしっかり伝えている言葉です。
「行きはよいよい帰りは怖い」の使い方




「行きはよいよい帰りは怖い」の例文
- 遠足の山道では、行きはよいよい帰りは怖いという言葉どおり、下り道で足をすべらせないよう注意した。
- 図書館の本は気軽に借りられても返却日はすぐ来るので、行きはよいよい帰りは怖いと思うことがある。
- 無料体験だけのつもりで始めた習い事も、やめる時期を決めておかないと、行きはよいよい帰りは怖いになりやすい。
- 新しい取引を結ぶ前に解約の条件まで読むのは、行きはよいよい帰りは怖いを忘れないためだ。
- 楽しい旅行でも、帰りの電車の時刻や荷物の重さまで考えると、行きはよいよい帰りは怖いという言葉が思い出される。
- 入会は簡単でも退会の手続きが複雑なサービスには、行きはよいよい帰りは怖いという評が当てはまる。























