【ことわざ】
田舎の学問より京の昼寝
【読み方】
いなかのがくもんよりきょうのひるね
【意味】
田舎で一生懸命に学問をするより、都でゆったり過ごすほうが、自然に見聞が広まりやすいということ。環境によって得られる知識や経験の差をいう。


【英語】
・Travel broadens the mind(旅は見聞を広げる)
【類義語】
・田舎の利口は只の人(いなかのりこうはただのひと)
「田舎の学問より京の昼寝」の語源・由来
「田舎の学問より京の昼寝」は、「田舎」と「京」を対比させ、学ぶ環境の違いを表したことわざです。「田舎」は、都会から離れた地方や、人家が少なく静かな所を指します。一方、「京」は、皇居のある土地、すなわち都を指し、とくに平安時代の都である京都を表す言葉としても使われます。
このことわざの「学問」は、学校へ通ったり、先生についたり、本を読んだりして、新しい知識を学ぶことを指します。「昼寝」は、昼間にとる一時的な眠りのことです。つまり、字面だけを見れば、「地方で熱心に勉強すること」と「都で昼寝をすること」という、まったく反対に見える行動を並べています。
しかし、このことわざが言おうとしているのは、ただ都で怠けるほうがよい、ということではありません。田舎でこつこつ学んでも、書物に書いてあることを覚えるだけになりやすい一方、都には多くの人や物、文化、出来事が集まるため、そこにいるだけでも自然に見聞が開ける、という考えを表します。
ここでいう「京」は、単なる地名としての京都だけでなく、知識や文化が集まる都の象徴として用いられています。京都は延暦13年に長岡から遷都して以来、明治維新に至るまで日本の首都であり、史跡や文化財、伝統工芸、年中行事などに富む土地として知られてきました。そのため、このことわざにおける「京」は、人々の交流や文化の厚みを思わせる言葉として、強い意味を持っています。
「昼寝」という言葉が入っているところにも、このことわざの面白さがあります。実際に眠っているだけで知識が身につく、ということではなく、都に身を置けば、特別に力んで学ばなくても、人との会話、町の様子、店や行事、芸能や習慣などから、多くのことを見聞きできるという意味です。努力そのものよりも、どのような環境で何にふれるかが学びを大きく左右する、という見方がこめられています。
また、このことわざには、少し皮肉な響きもあります。田舎でまじめに学ぶ人より、都でのんびりしている人のほうが見聞が広くなるという言い方は、地方と都の情報量や文化の差を強く表しています。ただし、都で得る知識は広い反面、浅くなりやすいという受け止め方もあります。
そのため、「田舎の学問より京の昼寝」は、机に向かう勉強を否定する言葉ではありません。本で学ぶことに加えて、実際の場所へ行き、人と出会い、目で見て耳で聞くことによって、学びはさらに深まる、ということを教えることわざとして定着しています。
「田舎の学問より京の昼寝」の使い方




「田舎の学問より京の昼寝」の例文
- 都会の大きな展覧会で本物の作品にふれ、田舎の学問より京の昼寝という言葉を思い出した。
- 田舎の学問より京の昼寝というように、専門家の話を直接聞く経験は大きな学びになる。
- 本だけで調べていた友人は、現地を歩いて初めて田舎の学問より京の昼寝の意味を実感した。
- 田舎の学問より京の昼寝とはいえ、都で得た見聞を自分で考え直す努力も必要だ。
- 祖父は若いころ京都で多くの人に会い、田舎の学問より京の昼寝の通りだったと語った。
- 工場見学で職人の手元を見た経験は、田舎の学問より京の昼寝ということわざに通じる。
主な参考文献
・小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005〜2006年。
・北村孝一編『ことわざを知る辞典』小学館、2018年。
・集英社辞典編集部編『会話で使えることわざ辞典』集英社、1989年。
・Cambridge University Press『Cambridge Dictionary』。
・Oxford University Press『Oxford Advanced Learner’s Dictionary』。























