【ことわざ】
蛙の行列
【読み方】
かえるのぎょうれつ(かわずのぎょうれつとも読む)
【意味】
先のことや危険をよく考えず、向こう見ずに行動すること。また、そのような人々の集まり。


【英語】
・Fools rush in where angels fear to tread(よく知らないまま、思慮なく危ないことへ踏み込む者を戒める言葉)
【類義語】
・向こう見ず(むこうみず)
・無鉄砲(むてっぽう)
【対義語】
・石橋を叩いて渡る(いしばしをたたいてわたる)
・用意周到(よういしゅうとう)
「蛙の行列」の語源・由来
蛙の行列という表現は、蛙が後足で立つと、目が後ろ向きになって前が見えない、という見立てから生まれました。前を見ずに進む姿を、人が先のことや危険を考えないまま進む様子へ移した言い方です。
古い形としては、『譬喩尽(たとえづくし)』(1786序・江戸時代後期、松葉軒東井編)に「かえるの行列」にあたる形が出てきます。この書物は江戸時代のたとえや言い伝えを集めたもので、当時すでに、蛙の姿を借りて「向こう見ず」を表す言い方が広まっていたことが分かります。
このことわざは、蛙の実際の動きを細かく説明する言葉というより、後足で立った蛙を人間の姿に重ねた見立てとして受け取ると分かりやすい言葉です。蛙は前を見ずに列を作って進むものだ、というユーモラスな想像が、何も考えずに集団で突き進む人々への批評になっています。
読み方には「かえるの行列」のほか、「かわずの行列」もあります。『児雷也豪傑譚話(じらいやごうけつものがたり)』(1852年・江戸時代後期、河竹黙阿弥作)三幕には、「蛙(カハヅ)の行列(ギャウレツ)むこう見ずとやられたが腹が立つ」という形が出てきます。
『児雷也豪傑譚話』は、嘉永5年7月に江戸・河原崎座で初演された歌舞伎狂言で、草双紙合巻を脚色した作品です。この芝居の中では「蛙」を「カハヅ」と読ませ、ことわざの意味を「むこう見ず」と結びつけているため、芝居のせりふにも用いられるほど意味が通じる表現だったといえます。
その後、現在の意味としては、「向こう見ずなこと」だけでなく、「そのような人々の集まり」まで含めて用いられます。個人の軽率さだけでなく、周りに流されて集団で危ない方へ進む様子を表せるところに、このことわざの特色があります。
「蛙の行列」の使い方




「蛙の行列」の例文
- 下調べをせずに高い道具を買いそろえる計画は、蛙の行列になりかねない。
- 班のみんなが注意書きを読まずに実験を始めたので、先生は蛙の行列だと注意した。
- 危険な道だと分かっているのに人の後ろについて進むだけでは、蛙の行列と言われても仕方がない。
- 新しい店を出す前に地域の様子を調べないのは、蛙の行列のようなやり方だ。
- 旅行の予定を立てずに全員で駅へ向かったため、蛙の行列のように行き先が決まらなかった。
- 友人の勢いに流されて無理な応募をするのは、蛙の行列になってしまう。
主な参考文献
・松村明監修『デジタル大辞泉』小学館。
・小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005〜2006年。
・松葉軒東井編『譬喩尽』1786年。
・河竹黙阿弥作『児雷也豪傑譚話』1852年。
・Oxford University Press『Oxford Advanced Learner’s Dictionary』Oxford University Press.























