「蝸牛角上の争い」の意味(語源由来・出典・類義語・英語訳)
【ことわざ】
蝸牛角上の争い
【読み方】
かぎゅうかくじょうのあらそい
【意味】
小さなことで争ったり、喧嘩をしたりすること。また、家や学校などといった狭い世界の中で争うこともいう。
つまり、ちっちゃいことでケンカするのは、大人気ないってことかいな。大事なことは、くだらないことで揉めず、みんなで仲良くすることやね。なるほど、これは良い教えやな!
【語源・由来】
中国の戦国時代・魏の第3代君主として君臨していた恵王(けいおう)は斉王の暗殺を企てていたところ、側近の恵施(けいし)が載晋人(たいしんじん)という人格者を連れてきた。載晋人は恵王に蝸牛の存在を知っているか尋ね、王は肯定し、さらに載晋人は話を続けた。載晋人曰く、蝸牛の左の角に触氏という者の国があり、右の角には蛮氏という者の国が存在した。あるときその両者が角の上で互いの領地を争ったという。載晋人はその逸話を現世に置き換え恵王に、「広大な宇宙に対し、魏はほんのささやかな存在である。そんな中に存在する、梁などちっぽけな存在でしかない。恵王のしようとしていることは蝸牛角上の争いでしかない。」そう説得したという話が由来とされている。
【出典】
『荘子』
【類義語】
・蝸角の争い
・蝸牛の角争い
・蛮触の争い
・蝸牛の角の上に何事をか争う
・コップの中の嵐
・石火光中この身を寄す
【英語訳】
・A storm in a teacup.
・Meaningless argument.
「蝸牛角上の争い」の解説
「蝸牛角上の争い」という言葉は、中国の古典『荘子』から来ていますね。原話では、かたつむりの左と右の角にそれぞれ小さな国があって、その二つの国が領土を争っていたというエピソードがあります。しかし、大きな世界の中で見れば、かたつむりの角は非常に小さいので、そんな小さな場所での争いはとてもつまらないという意味が込められています。
これを日常の生活や人間関係に当てはめると、些細なことでの言い争いや、小さな問題に固執して大きな争いを起こすことを指す時に使われます。つまり、大事にすべきでないことを大事にして争ってしまうことの愚かさや短絡性を皮肉っているわけです。
「蝸牛角上の争い」という言葉を使うことで、争いの原因や背景がどれほど些細なものかを強調し、その争いの不毛さを指摘することができます。
「蝸牛角上の争い」の使い方
「蝸牛角上の争い」の例文
- 大人になっても蝸牛角上の争いなんてみっともないことはやめなさい。
- ケーキの上のイチゴを取ったとか取らなかったとかで喧嘩なんて、まさに蝸牛角上の争いだ。
- 蝸牛角上の争いというようにくだらないことで喧嘩をするな。
- 授業中に男子生徒が蝸牛角上の争いをし、先生に怒られた。
「蝸牛角上の争い」の文学作品などの用例
世の中は蝸牛角上の争闘――私は東京にいるころには、つくづくそれが厭になったんですよ。人の弱点を利用したり、朋党を作って人をおとしいれたり、一歩でも人の先に出よう出ようとのみ齷齪している。実にあさましく感じたですよ。(田山花袋の田舎教師より)
これは、本当に小さなことで争うこと、つまり、些細なことにこだわって争う様子を表現している言葉だ。