「怪我の功名」とは
読み方・意味
- ことわざ:怪我の功名
- 読み方:けがのこうみょう
- 意味:失敗や過ちが、偶然にもよい結果を生むこと
「怪我の功名」とは、失敗や思いがけない出来事が、結果的に良い方向に転じることを表すことわざです。
もともと「怪我」は負傷ではなく「過ち」や「しくじり」を指し、意図せずに好結果が生まれた場合に使われます。
そのため、成功を狙っていたわけではないが、結果的に良い成果を得られた状況を表す言葉です。
また、このことわざには多少の皮肉やユーモアが含まれることが多く、他人を評するときや、自分の偶然の成功を謙遜して語る際に使われます。
ただし、負傷した人の前で使うのは適切ではないため、場面を選ぶ必要があります。
「怪我の功名」の語源・由来
「怪我の功名」の語源は、「功名」がもともと「高名」に由来することにあります。
「高名」とは、名声や手柄を立てて評判を得ることを意味し、それが「功名」と表記されるようになりました。
一方、「怪我」は「負傷」の意味ではなく、「過ち」や「汚れ」を指す「穢れる」の当て字とされています。
そのため、「怪我の功名」とは、本来の計画や意図とは異なり、偶然の失敗や過ちが思いがけず手柄となり、良い結果をもたらすことを指すようになりました。
このことわざは、失敗やトラブルが予期せぬ成功につながるという教訓を含んでおり、皮肉やユーモアを交えて使われることが多くなりました。
こうした背景から、ただの成功ではなく、意図しない状況から生まれた好結果を表す言葉として広く定着しています。
「怪我の功名」の使い方
「怪我の功名」の例文
- 「テストの答えを間違えて書いたけど、たまたまそれが正解だった!まさに怪我の功名だね。」
- 「うっかり調味料を入れすぎたけど、意外とおいしくなってみんなに好評だった。怪我の功名とはこのことだね!」
- 「寝坊して遅刻しちゃったけど、ちょうど電車が遅れていて、結果的に間に合った!怪我の功名だな。」
- 「狙って蹴ったわけじゃないのに、ボールが相手に当たってゴールに入った!まさに怪我の功名だ。」
- 「作文で書き間違えた表現が、先生に『面白い発想だね』と褒められた。これは怪我の功名かな?」
- 「舞台でセリフを間違えたけど、アドリブがウケて大成功だった。まさに怪我の功名だね!」
- 「道に迷ってしまったけど、偶然すごく綺麗な景色に出会えた。これは怪我の功名だね!」
文学作品などの用例
私が負けるのは他に当然な理由があつて、葛巻は恋の外には何事も考へてをらず、その身だしなみのために立派な雑誌(内容も)をだしたいと純一に思ひ決してゐるだけで、その追求は純粋きはまるものであつた。然るに我々の立場はといへば、怪我の功名でも良いし、落首を拾つてゞも天下に名を成したいといふ野武士のやうな魂胆で、少しぐらゐ不純だつて世間に受ければ良いぢやないか、といふサモしい量見をかくしてゐる。之ではとても葛巻の追求に勝てないのは当然で、私にとつて葛巻は非常に純潔な師匠でもあつたのである。(『処女作前後の思ひ出』坂口安吾)
「怪我の功名」の類義語・似たことわざ
- 過ちの功名
- 怪我勝ち
「怪我の功名」の対義語
「怪我の功名」の注意点
- 偶然の成功に対して使う
→ 最初から狙って成功した場合には適さない。
(例:✕「計画通りにいって、大成功!まさに怪我の功名だね。」→ もともと狙っていた結果なら不適切) - 失敗やトラブルが前提にある
→ 何のミスやトラブルもない状況で使うのは誤用。
(例:✕「順調に進んで、結果もうまくいった。まさに怪我の功名だね。」→ 失敗がないので適さない) - 皮肉に聞こえることがある
→ 人のミスや偶然の成功を評価するときに、悪意があるように受け取られる場合がある。
(例:✕「あの人、適当にやってたけど、たまたまうまくいったね。怪我の功名だね。」→ 言い方によっては嫌味になる)
「怪我の功名」の英語表現
a happy accident
直訳:幸せな事故
意味:思いがけないミスや偶然が、結果として良いことにつながることを指す。ポジティブな意味で使われる。
例文:I spilled paint on the canvas, but it actually made the artwork look better. It was a happy accident.
(キャンバスに絵の具をこぼしたけど、逆に作品が良くなった。まさに幸せな事故だった。)
fortunate error
直訳:幸運な間違い
意味:ミスをしたものの、結果的に良いことが起こったときに使う。意図しない成功を指す。
例文:I typed the wrong address, but it led me to a great new café. What a fortunate error!
(間違った住所を入力したけど、素敵なカフェにたどり着いた。なんて幸運な間違いだ!)
lucky mistake
直訳:ラッキーな間違い
意味:間違いをしたにもかかわらず、結果的に良いことが起こったときに使う。カジュアルな表現。
例文:I miscalculated the recipe, but the cake turned out even better. That was a lucky mistake!
(レシピの計算を間違えたけど、ケーキがもっと美味しくなった。これはラッキーな間違いだった!)