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【公家の位倒れ】の意味と使い方や例文!語源由来は?(類義語・対義語)

公家の位倒れ

【ことわざ】
公家の位倒れ

【読み方】
くげのくらいだおれ

【意味】
身分や地位は高いのに、収入や実質がそれに伴わず、その地位にふさわしい体面を保てないことのたとえ。

ことわざ博士
公家の高い位階と、苦しい暮らしとの食い違いを皮肉る表現だよ。
助手ねこ
肩書きや格式ばかりが立派で、資力や実力が伴わない人や組織について用いるニャン。

【類義語】
・位倒れ(くらいだおれ)
・有名無実(ゆうめいむじつ)
・看板倒れ(かんばんだおれ)

【対義語】
・名実相伴う(めいじつあいともなう)

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「公家の位倒れ」の語源・由来

ことわざを深掘り

「公家の位倒れ」の「公家」は、朝廷に仕える貴族や役人を指します。「位倒れ」は、地位ばかりが高く、それに見合う実質がないことです。この二つを結び付け、由緒ある家柄や高い位階を持ちながら、収入が少なく、格式にふさわしい暮らしを保てない公家の姿を皮肉ったものが、このことわざです。

公家の身分や、昇ることのできる位は、家柄と深く結び付いていました。そのため、位階や家格は高くても、実際の収入まで十分に得られるとは限りませんでした。ただし、公家がすべて貧しかったわけではなく、豊かな所領や大名などからの援助によって、大きな経済力を持つ家もありました。このことわざは、公家社会のすべてを表すものではなく、位の高さと暮らしの苦しさとの落差を取り上げた風刺です。

この表現につながる古い用例は、人形浄瑠璃(にんぎょうじょうるり)の『酒呑童子枕言葉(しゅてんどうじまくらのことのは)』(宝永4年・1707年、近松門左衛門著)に出てきます。この作品は、大坂の竹本座で初演され、酒呑童子の物語をもとに、宮中の人物や武将たちを登場させた作品です。

作中には、「何ぼお位高ふても借錢には勝れぬ、ほんの位倒れじゃ」とあります。どれほど位が高くても借金には勝てず、これではまさに位倒れだ、という意味です。ここでは、「公家の位倒れ」という完成した形ではなく、「位倒れ」という言葉によって、高い身分と苦しい金銭事情との食い違いを表しています。

この用例からは、「位倒れ」が、単に肩書きと能力が釣り合わないことだけでなく、もとは、高い位を保つだけの経済力がない状態を強く表していたことが分かります。「倒れ」は、ほかの言葉の下に付くと、外から見える姿に実体が伴わないことを表します。「位倒れ」も、位だけが立派で、内実がそれを支えられないという組み立てです。

藤井乙男の『俗諺論(ぞくげんろん)』(1906年・明治時代)には、「公卿ノ位倒レ」という形が掲げられ、「位階のみ高くして、貧困なるを嘲りていふ」とあります。さらに、その例として、『酒呑童子枕言葉』のせりふを挙げています。ここでは、高い位階を持ちながら貧しいことをあざける表現として、その意味が明確にまとめられています。

「公卿(くぎょう)」は、公家のなかでも、大臣・大納言・中納言・参議などの高い官職にある人々を指す言葉です。そのため、「公卿の位倒れ」は、とりわけ位の高い朝廷の貴族を念頭に置いた形でした。一方、同じ『俗諺論』には「公家の位倒れ」という言い方もあり、より広く朝廷に仕える貴族を表す「公家」を用いた形も、明治時代には使われていました。

このように、江戸時代の「位倒れ」という表現から、「公卿の位倒れ」「公家の位倒れ」という形が使われるようになりました。もとは、高い位にありながら暮らしが苦しいことを表す意味合いの強い言葉でしたが、後には、地位や肩書きだけが立派で、それに見合う資力・能力・実績などがない場合にも用いられるようになりました。

「公家の位倒れ」は、外から見える地位や格式だけでは、真の権威や信用を保てないことを表します。立派な名目を掲げるなら、それを支える中身も必要だという、風刺を含んだことわざです。

「公家の位倒れ」の使い方

ともこ
学芸会の実行委員長になったのに、役の分担も練習の日程もまだ決めていないの。委員長の名札だけは立派なんだけど……。
健太
肩書だけで仕事が進まなかったら、公家の位倒れになってしまうよ。今日から一緒に計画を立てよう!
ともこ
そうだね。まず、今日中に台本を読んで、必要な役と道具を書き出すよ。
健太
それなら大丈夫だね。名前だけでなく、みんなが頼れる実行委員長を目指そう!
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「公家の位倒れ」の例文

例文
  • 立派な役職に就いていても決定する権限がないのでは、公家の位倒れといわざるを得ない。
  • 名門の看板を掲げながら設備も人材も不足している会社は、公家の位倒れの状態にあった。
  • 高い官位を持ちながら借金に苦しむその人物は、まさに公家の位倒れだった。
  • 全国組織を名乗っていても会員が数人しかいなければ、公家の位倒れと評されても仕方がない。
  • 豪華な屋敷を受け継いだものの、修理費さえ出せない暮らしは公家の位倒れそのものだった。
  • 肩書きに頼るばかりで実績を残さない指導者を、人々は公家の位倒れと批判した。

主な参考文献

・小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2006年。
・藤井乙男『俗諺論』冨山房、1906年。
・近松門左衛門『酒呑童子枕言葉』1707年。





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