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【恐れ入谷の鬼子母神】の意味と使い方や例文!語源由来は?(類義語・英語)

恐れ入谷の鬼子母神

【ことわざ】
恐れ入谷の鬼子母神

【読み方】
おそれいりやのきしもじん

【意味】
相手の力量や見事な行いに感服し、「恐れ入った」「まいった」と認めることを、しゃれていう言葉。

ことわざ博士
「恐れ入谷の鬼子母神」は、素直に感服する気持ちのほか、おどけや皮肉を込めて相手の上手さを認める言い方だよ。
助手ねこ
相手の知識、腕前、機転などが予想を上回り、かなわないと思った場面で用いるニャン。

【英語】
・I take my hat off to you(あなたには感服する)

【類義語】
・頭が下がる(あたまがさがる)
・シャッポを脱ぐ(しゃっぽをぬぐ)

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「恐れ入谷の鬼子母神」の語源・由来

ことわざを深掘り

「恐れ入谷の鬼子母神」は、「恐れ入る」の「入る」を、江戸の地名である「入谷(いりや)」に掛け、さらに、入谷の名所として知られた鬼子母神を続けたしゃれです。「恐れ入りました」と普通に言う代わりに、場所と寺院の名を付け加え、調子よく言い換えています。

この「鬼子母神」は、現在の東京都台東区下谷にある真源寺(しんげんじ)の鬼子母神を指します。真源寺は万治2年、すなわち1659年に創建され、「入谷鬼子母神」の名で広く親しまれてきました。

入谷の一帯は、江戸時代から入谷と呼ばれてきた土地です。真源寺の境内は、「恐れ入谷の鬼子母神」という言い回しによっても名高く、後には朝顔市でも知られるようになりました。

このように、同じ音や似た音の言葉を結び付け、もとの文句とは異なる面白い言い回しを作るしゃれを「地口(じぐち)」といいます。地口は江戸時代に広く流行し、よく知られた地名や寺社、人名などを用いて、日常の言葉を軽妙に言い換えました。

「恐れ入る」と「入谷」は、音がそのまま続きます。そこへ入谷の有名な鬼子母神を結び付けたため、聞き手には「恐れ入りました」という意味がすぐに伝わる一方、思いがけない地名と寺の名によって笑いも生まれます。

古い用例は、滑稽本(こっけいぼん)『花暦八笑人(はなごよみはっしょうじん)』(1820〜1849年刊・江戸時代後期、滝亭鯉丈ほか著)に出てきます。この作品は、江戸の若者たちが人を笑わせようとして、さまざまないたずらを企てる様子を描いた滑稽本です。

『花暦八笑人』には、「むかしから古いしゃれの氏神は、今のおそれ入谷の鬼子母神様だから」とあります。「恐れ入谷の鬼子母神」を「むかしから古いしゃれ」と呼んでいるため、この作品が刊行された江戸時代後期には、すでに人々に知られた言い回しであったことがうかがえます。

ここでいう「氏神(うじがみ)」は、本来、土地や一族を守る神を指します。この一節では、古くからあるしゃれを代表するもの、いわば、しゃれの元祖のようなものとして、入谷の鬼子母神を面白く持ち出しています。

鬼子母神そのものは、仏教で子どもの成長や安産を守る神として信仰されてきました。しかし、このことわざの意味は、鬼子母神にまつわる仏教の物語から生まれたものではありません。「恐れ入る」と「入谷」の音を掛け、土地の名物である鬼子母神を付け加えた言葉遊びが、直接の成り立ちです。

昭和期にも、この言い回しは受け継がれました。林不忘の『大岡政談』(昭和5年)には、人の優れた眼力をほめる場面で、「お若えが恐れ入谷の鬼子母神」とあります。江戸を舞台とする物語の会話に用いることで、登場人物の感服と、威勢のよい軽口の両方を表しています。

現在も、相手の腕前や知恵に心から感心したときだけでなく、「そこまでやるとはまいった」と、少しおどけて降参するときにも使います。「恐れ入谷」と後半を省略する場合もあり、真面目な敬意よりも、親しみのある会話や冗談に向く表現です。

つまり、「恐れ入谷の鬼子母神」は、江戸の地名と名所を用いて、「恐れ入りました」を調子よく言い換えたことわざです。相手を認める言葉に、笑いや洒脱(しゃだつ)さを添えるところに、江戸の言葉遊びらしい特色があります。

「恐れ入谷の鬼子母神」の使い方

健太
昨日の算数の宿題、あんなに難しい問題を全部一人で解いちゃったんだって?
ともこ
うん、おじいちゃんに少しヒントをもらったけれど、最後まであきらめずに頑張って計算してみたの。
健太
解説を読んでもさっぱり分からなかったから、全部正解するなんて本当に恐れ入谷の鬼子母神だよ!
ともこ
ふふ、ありがとう。今度健太くんにも、分かりやすく解き方のコツを教えてあげるね。
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「恐れ入谷の鬼子母神」の例文

例文
  • 初めて参加した大会で優勝するとは、恐れ入谷の鬼子母神だ。
  • 複雑な計算を暗算で解いた彼の速さには、恐れ入谷の鬼子母神としか言いようがない。
  • 母は散らかった部屋から探し物をすぐ見つけ、家族を恐れ入谷の鬼子母神とうならせた。
  • 友人は私の考えをすべて見抜いており、恐れ入谷の鬼子母神と降参した。
  • 新人が長年の問題を一日で解決したので、部長も恐れ入谷の鬼子母神と感心した。
  • 相手の見事な作戦に敗れた選手は、恐れ入谷の鬼子母神だと笑って健闘をたたえた。

主な参考文献

・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・北村孝一編『ことわざを知る辞典』小学館、2018年。
・ながたみかこ文、アキワシンヤ絵『恐れ入谷の鬼子母神』汐文社、2009年。
・滝亭鯉丈ほか『花暦八笑人』1820〜1849年。
・Cambridge University Press & Assessment『Cambridge Advanced Learner’s Dictionary & Thesaurus』。





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