「席の暖まる暇もない」の意味(故事)
【慣用句】
席の暖まる暇もない
【読み方】
せきのあたたまるいとまもない
【意味】
一か所に落ち着いていられないくらい、非常に忙しい様子。
忙しさの極みを表す言葉やな。常に動き回って休む暇もないほどの忙しさやってことやね。
【故事】
韓愈「諍臣論」から。忙しくて、腰をかけている暇がないので、席があたたまる事がないという意味から。
「席の暖まる暇もない」の解説
「席の暖まる暇もない」という表現は、韓愈の「諍臣論」に由来しており、非常に忙しくて一箇所に長くとどまることができない、つまり一か所に落ち着いていられないほど多忙であることを意味しているんだ。このことわざは、席が暖まるほどの時間もないほどの忙しさを表現しているんだよ。
この表現で使われる「席の暖まる」とは、文字通りには座る場所が体温で暖かくなることを指しているんだね。つまり、その場所に長く座っている時間がないということを示しているんだ。
たとえば、仕事で次から次へと会議が入っている状況や、複数のプロジェクトを同時にこなしている状態などが「席の暖まる暇もない」に該当するんだよ。
このことわざは、非常に忙しい生活や仕事の様子を描写する際に使われ、多忙で忙しい日々の現実を示しているんだね。それは、忙しさの程度を強調し、時には忙しすぎることの難しさや挑戦を表現しているんだよ。
「席の暖まる暇もない」の使い方
「席の暖まる暇もない」の例文
- 彼は有能なのに、いくつかの支店や本店の各部をたらい廻しされて、席の暖まる暇もないので成果をのこせない。
- 選挙に立候補した彼は東奔西走、席の暖まる暇もないありさまで、少々痩せたようでもある。
- 少しくらい休みたいのに、現場が迷走するおかげで、今日も朝から三回も現場巡りで席の暖まる暇もない。
- せっかく念願の社長のイスに就いたのに、社長就任のあいさつ回りで、席の暖まる暇もない忙しさである。
- 自営業の家に嫁いだので、家事と仕事で席の暖まる暇もない日々が続いているが、姑が優しく手を貸してくれるので助かる。
「席の暖まる暇もない」の文学作品などの用例
ほとほと半蔵には席の暖まるいとまもない。彼は店座敷の障子のわきにある自分の旧い桐の机の前に坐って見る間もなく、またその座を立って、宗太へ譲るべき帳面の類なぞ取り纏めにかかった。(島崎藤村の夜明け前より)