【馬は馬方】の意味と使い方や例文!語源由来は?(類義語・対義語・英語)

馬は馬方

【ことわざ】
馬は馬方

【読み方】
うまはうまかた

【意味】
物事は、その道の専門家に任せるのがよいということ。馬を扱うには、馬方のように慣れた人の技術が必要だというたとえ。

ことわざ博士
馬方は、馬で人や荷物を運ぶことを職業とした人をいうよ。
助手ねこ
専門の知識や経験が必要な仕事を、慣れない人ではなく、その分野に詳しい人に頼む場面で用いるニャン。

【英語】
・Every man to his trade(人にはそれぞれ自分の専門がある)

【類義語】
・餅は餅屋(もちはもちや)
・芸は道によって賢し(げいはみちによってかしこし)
・商売は道によって賢し(しょうばいはみちによってかしこし)

【対義語】
・左官の垣根(さかんのかきね)

「馬は馬方」の語源・由来

ことわざを深掘り

「馬は馬方」の「馬方」は、馬で人や荷物を運ぶことを職業とした人のことです。馬子、馬引き、馬追いとも近い意味で用いられ、馬を扱いながら運送にたずさわる人を指しました。

昔の日本では、道路や車による運送が十分に発達する前、人や荷物を運ぶには牛馬の力が大切でした。馬の背に荷物をのせて運ぶ仕事は、陸上交通を支える重要な役割を担っていました。

中世には、馬で荷を運ぶ専門の集団が現れ、商品流通の発展とともに、各地の道で働くようになりました。近世になると街道や宿駅の制度が整い、宿場町では多くの馬方が荷物の継ぎ送りに関わりました。

このことわざのもとにある考えは、馬を動かす仕事には、馬に慣れた人だけがもつ技術があるというものです。馬は力が強く、気性もあり、慣れない人が思いどおりに扱おうとしても、簡単にはいきません。

『譬喩尽(たとえづくし)』(1786年序・江戸時代後期、松葉軒東井編)は、ことわざを中心に広く言葉を集めた書物です。この書物には、牛を後ろから追う牛追と対比して、「馬は馬方とて右の肩に付くもの」という用例が出てきます。

この用例では、「馬は馬方」という表現が、馬を扱う人の実際の動きと結びついています。牛を後ろから追うのに対して、馬は馬方がそばについて扱うものだ、という職業上の知識を表しています。

ここから分かるのは、「馬方」という言葉が、単なる呼び名ではなく、馬の扱い方を知る専門職として理解されていたことです。馬を安全に進ませ、荷物や人を運ぶには、力任せではなく、経験に基づいた扱いが必要でした。

同じ発想をもつ言い方に「餅は餅屋」があります。江戸中期から、専門の仕事は専門の人に任せるのがよいという考えを表す言葉として、「酒は酒屋」や「馬は馬方」なども用いられていました。

「餅は餅屋」は、後に広く定着しましたが、「馬は馬方」も同じように、その道の人の技術を認める言い方として使われました。家庭でも作れる餅と違い、馬を扱う仕事は、よりはっきりと専門の経験がものをいう場面でした。

現在の「馬は馬方」は、実際の馬だけでなく、機械の修理、料理、医療、法律、道具の扱いなど、専門的な知識が必要なこと全般に広げて用いられます。専門家には、その分野で積み重ねてきた知識と経験があるという意味が、馬方の姿に重ねられています。

したがって、このことわざは、ただ「人に任せなさい」と言うだけの言葉ではありません。慣れた人の技術を尊重し、むやみに素人判断で手を出さないことの大切さを、馬と馬方の関係を通して伝える表現です。

「馬は馬方」の使い方

健太
自転車のブレーキが壊れちゃったから、自分で工具を使って直そうとしたんだけど、全然直らないんだ。
ともこ
無理して自分で直そうとすると、もっと壊れちゃうかもしれないよ!
健太
うーん、やっぱり自転車屋さんに持って行ったほうがいいのかな?
ともこ
馬は馬方と言うし、プロの自転車屋さんに任せるのが一番安全だよ!

「馬は馬方」の例文

例文
  • 時計の修理は細かい部品を扱うので、馬は馬方と思って専門の店に頼んだ。
  • 祖父は、庭木の剪定は馬は馬方だから植木職人に任せると言った。
  • 古い自転車のブレーキ調整は危ないため、馬は馬方で自転車店に持って行った。
  • 文化祭の音響設備は難しく、馬は馬方と考えて経験のある先生に相談した。
  • 会社の契約書は内容が複雑なので、馬は馬方で法律に詳しい人の確認を受けた。
  • 料理に慣れない人だけで大量の弁当を作るより、馬は馬方で調理の専門家に頼むほうが確実だ。

主な参考文献
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・松村明監修、小学館大辞泉編集部編『大辞泉 第二版』小学館、2012年。
・北村孝一編『ことわざを知る辞典』小学館、2018年。
・小学館『日本大百科全書(ニッポニカ)』小学館。
・松葉軒東井編『譬喩尽』1786年序。
・LanGeek Inc.『LanGeek English Dictionary』2024年。




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