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【馬の耳に風】の意味と使い方や例文!故事は?(類義語・対義語・英語)

馬の耳に風

【故事成語】
馬の耳に風

【読み方】
うまのみみにかぜ

【意味】
人の話や忠告を聞いても、少しも心を動かさず、聞き流すことのたとえ。

ことわざ博士
「馬耳東風」から出た言い方で、「馬の耳に念仏」と同じ意味で用いるよ。
助手ねこ
注意や忠告を受けても反省せず、知らない顔をしている場面に用いるニャン。

【英語】
・turn a deaf ear to …(忠告などに耳を貸さない)
・fall on deaf ears(忠告などが聞き入れられない)

【類義語】
・馬耳東風(ばじとうふう)
・馬の耳に念仏(うまのみみにねんぶつ)
・犬に論語(いぬにろんご)
・牛に経文(うしにきょうもん)

【対義語】
・耳を傾ける(みみをかたむける)
・肝に銘じる(きもにめいじる)

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「馬の耳に風」の故事

故事成語を深掘り

「馬の耳に風」は、中国で伝わった「馬耳東風」という表現を、日本語として言いやすくした形です。「馬耳東風」は、もとは「東風射馬耳」という形で、東風(とうふう:春風)が馬の耳を吹き過ぎても、馬が気にしないことを表しました。

もとになった詩は、唐代の詩人・李白の『答王十二寒夜獨酌有懷』です。この詩は『全唐詩』巻一七八にも収められており、「世人聞此皆掉頭,有如東風射馬耳」とあります。

この部分は、詩や賦を作っても、世の人はそのよさを分からず、頭を振るだけだ、という嘆きを表しています。そのようすを、春風が馬の耳を吹き過ぎても、馬の心には何も残らないことにたとえています。

ここでいう「東風」は春風のことです。「射」は矢で射る意味ではなく、風が吹きかすめる意味で使われています。

この詩は李白の作として伝わりますが、後の時代には、李白の作ではないとみる説もありました。それでも、「東風が馬の耳を吹き過ぎる」という言い方は、遅くとも宋代には知られていた古い表現として受け取られます。

宋代の詩人・蘇軾の「和何長官六言次韻」にも、「馬耳東風」という形が出てきます。自然の美しさを町の人に語っても分かってもらえないことを、「何殊馬耳東風」と述べています。

このように、中国では「東風射馬耳」から「馬耳東風」へと、言い方が短く整っていきました。どちらも、聞こえてはいても心に留まらず、すぐに過ぎ去ってしまうことを表します。

日本では、この「馬耳東風」にもとづいて、「馬の耳に風」という言い方が用いられました。漢字四字の形をそのまま使うだけでなく、意味を日本語の文として分かりやすく言い換えた形です。

江戸時代前期の俳諧書『毛吹草』(1638年序、松江重頼編)には、「むまのみみに風 うしのまへにしらぶる琴」という形が出てきます。馬に風、牛に琴という二つのたとえを並べ、どちらも相手に通じないことを表しています。

江戸時代前期の咄本『軽口御前男』(1703年)には、「馬(ムマ)の耳(ミミ)に風とは申さぬか」という用例があります。この用例では、高尚なことを聞いても理解しない相手への皮肉として使われています。

その後、「馬の耳」という略した形も使われました。浄瑠璃『心中二枚絵草紙』(1706年ごろ)には、「人の意見も馬の耳」とあり、忠告を聞いても心に留めない意味で用いられています。

現在の「馬の耳に風」は、相手の話が聞こえていないというより、聞いても受け止めない態度を表す言葉です。忠告や注意が、馬の耳をかすめる風のように通り過ぎてしまうところに、この表現のおもしろさがあります。

「馬の耳に風」の使い方

健太
廊下を走らないように、先生が何度も注意していたね。
ともこ
でも、太郎くんはまた走っていたよ。聞いているのかな?
健太
あれでは馬の耳に風だね。注意された意味を考えていないみたいだ。
ともこ
けがをする前に、次は私たちも落ち着いて声をかけよう!
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「馬の耳に風」の例文

例文
  • 何度注意しても宿題を後回しにする弟には、馬の耳に風だった。
  • 安全のための説明を聞き流していた彼には、係員の忠告も馬の耳に風だった。
  • 友人が心配して助言しても、本人が受け止めなければ馬の耳に風になる。
  • 会議で同じ問題を指摘されたのに、担当者は馬の耳に風とばかりに態度を変えなかった。
  • 母の忠告を馬の耳に風で聞き流した結果、忘れ物をして困った。
  • 周囲の批判を馬の耳に風と受け流すだけでは、失敗から学ぶことができない。

主な参考文献
・小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005〜2006年。
・松村明監修、小学館大辞泉編集部編『大辞泉 第二版』小学館、2012年。
・近藤いね子・高野フミ編集主幹『プログレッシブ和英中辞典 第4版』小学館、2011年。
・飯間浩明編『四字熟語を知る辞典』小学館、2018年。
・松江重頼編『毛吹草』1638年序。
・李白『答王十二寒夜獨酌有懷』唐代。
・『全唐詩』清代。
・蘇軾『和何長官六言次韻』宋代。





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