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【魚を得て筌を忘る】の意味と使い方や例文!故事は?(類義語・対義語・英語)

魚を得て筌を忘る

【故事成語】
魚を得て筌を忘る

【読み方】
うおをえてうえをわする

【意味】
目的を達すると、そのために役立ったものや受けた恩を忘れてしまうことのたとえ。

ことわざ博士
「魚を得て筌を忘る」は、魚を取ったあとに魚取りの道具を忘れるように、成功後に支えや手段を軽んじることを表すよ。
助手ねこ
助けてくれた人、学んだ方法、準備の苦労などを、目的達成後に忘れてしまう場面で用いるニャン。

【英語】
・to forget the means after attaining the end(目的を達したあと、その手段を忘れること)
・to forget those who helped after success(成功後に助けてくれた人を忘れること)

【類義語】
・喉元過ぎれば熱さを忘れる(のどもとすぎればあつさをわすれる)
・雨晴れて笠を忘る(あめはれてかさをわする)
・病治りて薬師忘る(やまいなおりてくすしわする)

【対義語】
・飲水思源(いんすいしげん)
・報謝(ほうしゃ)

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「魚を得て筌を忘る」の故事

故事成語を深掘り

この故事成語は、中国の古典『荘子(そうじ)』「外物」に出てくる言葉にもとづいています。『荘子』は道家思想を代表する書物で、現行本は三十三篇から成り、今日に伝わる形は晋の郭象による注本以来のものです。

「筌(うえ)」は、川の流れなどに仕掛けて魚を捕る道具です。割り竹をかご状に編み、一度入った魚が出にくいように工夫したもので、「うけ」「おけ」とも呼ばれます。

『荘子』「外物」には、「荃者所以在魚,得魚而忘荃」とあります。これは、筌は魚を得るためにあるが、魚を得ると筌を忘れる、という意味です。

この一節は、魚と筌のたとえだけで終わりません。続いて、兎を得るための「蹄(わな)」、意味を伝えるための「言葉」を並べ、目的を得たあとは、それに用いた手段を離れるという考えを示しています。

原文の末尾には、「言者所以在意,得意而忘言」とあります。言葉は心の意味を伝えるためにあり、意味を得たなら言葉にとらわれなくてよい、という流れです。

そのため、もとの『荘子』では、単に恩知らずを責めるだけの言葉ではありません。道家の考え方として、真に大切なものを得たなら、道具や言葉そのものに執着しない、という深い意味をもっています。

ただし、日本語の「魚を得て筌を忘る」では、この原典の哲学的な意味から、目的を果たすと役立ったものの功を忘れる、または恩を忘れるという意味へ広がりました。現在の意味では、手段や支えへの感謝を失うことへの戒めとして使われます。

表記には、「荃」と「筌」の違いもあります。『荘子』の本文には「荃」と出る形がありますが、後代の引用では「筌者,所以在魚。得魚而忘筌」「得魚忘筌」の形も現れ、日本語では魚を取る道具を表す「筌」の字で定着しました。

後の文献にも、この句は引き継がれました。中国の類書『太平御覧』には「得魚忘筌」「得魚而忘筌也」という形が見られ、短い成語としてまとまっていったことが分かります。

日本語では、「魚を得て筌を忘る」のほか、「魚を得て筌を捨てる」という形も用いられました。古い用例として、車屋本謡曲『放下僧』(1464年ごろ・室町時代)に「うををえてうへをすつ」という形が出てきます。

また、「忘筌(ぼうせん)」という二字の形も、同じ考えを表します。目的を達すると手段を忘れるという意味で、『荘子』「外物」の句にもとづく言葉として使われています。

このように、「魚を得て筌を忘る」は、魚と魚取りの道具という分かりやすいたとえから生まれました。もとは「意味を得たら言葉にとらわれない」という思想を含み、のちには「目的を果たしたあと、助けや恩を忘れてはならない」という戒めとして受け取られるようになった故事成語です。

「魚を得て筌を忘る」の使い方

健太
自由研究で金賞を取れたのは、ともこちゃんが資料探しを手伝ってくれたからなんだ。
ともこ
でも発表のあと、健太くんは自分だけで全部やったみたいに話していたよ?
健太
しまった。魚を得て筌を忘るになっていたね。ちゃんとお礼を言わなきゃ。
ともこ
気づけたなら大丈夫!次の発表では、協力してくれた人のことも伝えよう。
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「魚を得て筌を忘る」の例文

例文
  • 合格したとたん、受験勉強を支えてくれた先生への礼を忘れるのは、魚を得て筌を忘る態度だ。
  • 会社が成功したあと、創業時に協力してくれた仲間を軽んじれば、魚を得て筌を忘ると批判されても仕方がない。
  • 大会で優勝した選手が練習相手への感謝を忘れなかったので、魚を得て筌を忘ることにはならなかった。
  • 店が有名になると、古くからの客を大切にしなくなり、魚を得て筌を忘るような経営になった。
  • 研究成果を発表するなら、資料を提供してくれた人を記さなければ、魚を得て筌を忘る行いになる。
  • 困ったときだけ友人を頼り、問題が解決すると連絡もしないのは、魚を得て筌を忘るの典型である。

主な参考文献
・円満字二郎編『故事成語を知る辞典』小学館、2018年。
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・松村明監修『大辞泉 第二版』小学館、2012年。
・白川静『字通』平凡社、1996年。
・『荘子』。
・李昉ほか奉勅撰『太平御覧』北宋、10世紀。





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