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【船頭多くして船山に上る】の意味と使い方や例文!語源由来は?(類義語・対義語・英語)

「船頭多くして船山に上る」の漫画

【ことわざ】
船頭多くして船山に上る

【読み方】
せんどうおおくしてふねやまにのぼる

【意味】
指図する人が多すぎると、かえって物事がまとまらず、見当違いの結果になること。

ことわざ博士
船頭多くして船山に上るは、中心となって決める人が多すぎるため、方向が乱れることを表すことわざだよ。
助手ねこ
会議、班活動、仕事、行事の準備などで、指示や意見が多すぎて目的から外れていく場面で用いるニャン。

【英語】
・Too many cooks spoil the broth.(料理人が多すぎるとスープが台無しになる)
・Too many chiefs, not enough Indians.(指導者ばかりで実行する人が足りない)

【類義語】
・船頭多くして船動かず(せんどうおおくしてふねうごかず)
・役人多くして事絶えず(やくにんおおくしてことたえず)

【対義語】
・三人寄れば文殊の知恵(さんにんよればもんじゅのちえ)
・鶴の一声(つるのひとこえ)

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「船頭多くして船山に上る」の語源・由来

ことわざを深掘り

「船頭多くして船山に上る」は、日本で育ったことわざです。中国古典の具体的な故事から生まれた故事成語ではなく、船を動かす仕事のたとえから、物事の進め方への戒めとして広まりました。

船頭(せんどう)は、船を操り、進む向きや動かし方を決める人です。船は水の上を進むものなので、「船が山に上る」というのは、本来ありえない、まったく見当違いの結果を表しています。

このことわざの考え方は、一つの船に船頭が何人もいて、それぞれが別々に指図をしたら、船はまっすぐ進めないというところにあります。船の行き先を決める人が多すぎると、かえって進む方向が乱れるのです。

古い用例としては、大田南畝(おおたなんぽ)の狂歌集『千紅万紫(せんこうばんし)』(1817年・文化14年跋・江戸時代後期、大田南畝著)が重要です。大田南畝は、蜀山人(しょくさんじん)の名でも知られる江戸時代後期の文人で、狂歌や随筆で広く知られました。

『千紅万紫』には、山王祭(さんのうまつり)の船屋台(ふなやたい)に関する狂歌として、「船頭が多くて舟は山王の山にものぼる」という趣向が出てきます。これは、船頭が多いので、舟が山王の山にまで上ってしまう、というしゃれを含んだ言い方です。

ここでいう山王祭は、江戸の大きな祭礼の一つで、山車(だし)や屋台が町を進む華やかな行事でした。船屋台は、船の形をした屋台であり、実際の船ではなく祭礼の出し物として人々に見られました。

この狂歌では、「船頭が多い」と「山王の山にのぼる」を結びつけ、船が水辺ではなく山へ行くというおかしさを作っています。そこには、指図する人が多すぎると、物事が思わぬ方向へ行くという発想がすでに含まれています。

ただし、『千紅万紫』の一首だけを、現在のことわざの唯一の起源と断定する必要はありません。船頭が多いと船がうまく進まない、という発想は、船を身近に見ていた人々の暮らしの中でも自然に生まれやすいものです。

表記には、「船山に上る」のほか、「船山へ上る」「船山に登る」と書く形もあります。古い用例では「舟」と書かれることもあり、現代のことわざとしては「船頭多くして船山に上る」が広く用いられます。

「上る」と「登る」は、どちらも「のぼる」と読むことができます。「船が山にのぼる」という場面を字面で表せば「登る」も自然ですが、ことわざとしては「上る」の表記もよく用いられています。

近代以後の文章にも、このことわざは用いられています。夏目鏡子(なつめきょうこ)の『漱石の思ひ出』(1928年・昭和3年、夏目鏡子著)には、統一がとれず議論がまとまらない様子を表す言葉として出てきます。

また、坂口安吾(さかぐちあんご)の『探偵小説とは』(1948年・昭和23年、坂口安吾著)では、合作について述べる中で、人数が多くなりすぎると「船頭多くして船山に登る」おそれがある、という意味で使われています。ここでは、力を合わせることそのものではなく、指揮や考えが多すぎることへの注意として使われています。

このことわざは、「人が多いことは悪い」という意味ではありません。問題は、考える人や手伝う人が多いことではなく、指図する人、決定する人が多すぎて、全体の方針が一つに定まらないことにあります。

そのため、「三人寄れば文殊の知恵」とは反対の発想をもつ言葉として受け取られることがあります。多くの人が知恵を出し合うことはよいことですが、最終的な方向をまとめる役目がはっきりしないと、かえって混乱してしまうのです。

「船頭多くして船山に上る」は、船を操る具体的な仕事から出発し、祭礼の狂歌にも表れ、のちに会議や仕事、共同作業の失敗を言うことわざとして定着しました。今も、責任の所在や指示系統をはっきりさせる大切さを教える言葉として使われています。

「船頭多くして船山に上る」の使い方

健太
班の壁新聞づくりで、表紙の絵はぼくが決めるって言ったのに、二人が別の題名と色を指示してきたよ。
ともこ
そのまま進めると、見出しも絵もばらばらになるね。船頭多くして船山に上るになりそうだよ!
健太
たしかに。まず班長が全体の方針を決めて、ほかの人は役割ごとに意見を出す形にしよう。
ともこ
それならまとまりそうだね。意見は大切だけれど、進む方向を決める人は一人にしたほうがいいね。
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「船頭多くして船山に上る」の例文

船頭多くして船山に上る
  • 文化祭の出店計画は、責任者が何人も別々に指示を出したため、船頭多くして船山に上る状態になった。
  • 旅行の行き先を全員が強く主張し、船頭多くして船山に上るように予定がまったく決まらなかった。
  • 新商品の会議では、各部の責任者が自分の案を押し通そうとして、船頭多くして船山に上る結果となった。
  • 合唱コンクールの練習で、何人もの生徒が同時に指示を出し、船頭多くして船山に上るように歌声が乱れた。
  • 町内会の防災計画は、指揮する人を一人にしなければ、船頭多くして船山に上るおそれがある。
  • 船頭多くして船山に上るを避けるため、編集作業では最終判断を担当する人をあらかじめ決めた。




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