「船頭多くして船山に上る」の意味(語源由来・類義語・対義語)
【ことわざ】
船頭多くして船山に上る
「登る」は「上る」とも書く。「山に登る」は「山へ登る(山へ上る)」ともいう。
【読み方】
せんどうおおくしてふねやまにのぼる
【意味】
指図する人が多すぎると、方針が統一できずに、物事がうまく運ばないこと。
指図する人が多すぎると混乱して、ものごとがうまく進まず、とんでもない結果になりかねないというたとえだよ。
博士、「船頭」ってなんのことニャ?船の頭ってことは船のてっぺんかニャ?それに船は山に上らないニャ…?教えてニャ!
このことわざの「船頭」は、船員が沢山乗っているような比較的大きな船(和船)の「船長」のことを言うんだ。船頭が沢山いたらどうなるかな?
船頭さんが沢山いてバラバラの指示を出したから、みんなが混乱しちゃったんだね!船が山を上るなんてビックリするニャ~!
そのとおり。「船頭が多い」という仮想の条件と「船が山に上る」という誇張表現が、このことわざを強く印象づけているんだよ。
船頭さんはリーダーで、リーダーを決めることは大事ってことニャンね。それにリーダーにはみんなの意見をまとめる力が必要ニャー。
【語源・由来】
船に船頭がたくさんいて、それぞれが勝手に指図すると、船が正しい方向に進まず、船が川ではなく山に登ってしまうということから。
【類義語】
・家を道端に作れば三年成らず
・船頭多けりゃ沖に乗り出す
・船頭多くして船岩に乗る
・三人寄れば文殊の知恵
・下手の大連れ
・役人多くして事絶えず
【対義語】
・鶴の一声
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「船頭多くして船山に上る」の使い方
今度のチームには、リーダーが5人いるんだ。
えー!5人もいるの?
リーダーが多いほうが、強くなりそうだよね。
船頭多くして船山に上るよ。リーダーはひとりに決めたほうがいいわ。
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「船頭多くして船山に上る」の例文
- まずはリーダーをひとりに決めなければ、ベテランが多いだけに船頭多くして船山に上ることになりかねない。
- プロ野球に入り、数人のピッチングコーチに投げ方を教えてもらったが、船頭多くして船山に上るで、いいピッチングはできなかった。
- 船頭多くして船山に上るという言葉の見本のように、あの会社は才能ある人を集めすぎてチームワークが取れず倒産した。
- 船頭多くして船山に上るというように、指図する人が多すぎると、まとまりがつかず、物事はうまくはこばない。
- みんな好きなことを言っているけれど、誰の指示に従ったらいいのかわからないよ。これじゃあ船頭多くして船山に上るで、準備が進まないじゃないか。
- 会社は今、船頭多くして船山に上るとなっているようだから、管理体制を再検討しよう。
- このプロジェクトには、経験者が多く集まっているから船頭多くして船山に上るとならないように、十分配慮しなければならない。
- 船頭多くして船山に上ることになって、失敗してしまわないように、まずは責任者を決めよう。
【注意!】間違った例文
❌「有能なリーダーが集まったから、売り上げが順調に伸びている。船頭多くして船山に上るという勢いだ。」
船頭が多いことで、勢いがつくという意味は誤り。
「船頭多くして船山に上る」を英語で言うと?
「船頭多くして船山に上る」の英語表現をご紹介します。
※英語の声:音読さん
Too many cooks spoil the broth.
- 意味:料理人が多すぎるとスープがうまくできない。
このことわざは、16世紀のイギリスの歴史家John Hookerの著作に由来し、「料理人が多いほど、ポタージュの味が悪くなる」という意味です。多くの料理人が調味料を加えることで味がまとまらなくなる様子を表し、英語圏でよく使われています。
If two men ride on a horse, one must ride behind.
- 直訳:2人の男性が馬に乗る場合、1人は後ろに乗らなければなりません。
- 意味:二人で何かを行うときは、リーダーを一人にするのがふさわしい。
このことわざはシェイクスピアの喜劇「空騒ぎ」に由来し、二人で取り組む際に一方がリーダーに従う方がうまく進む、というニュアンスを持っています。反対の意味を持つことわざとしては、「Two heads are better than one(三人寄れば文殊の知恵)」があります。
Too many chiefs and not enough Indians.
- 直訳:チーフは多いが、インディアンが足りない。
- 意味:指示を出す人ばかりで、実際に実行する人がいない様子。
この言葉は、第二次世界大戦終盤にアメリカ軍の状況を報じる記事で初めて使われたとされ、「All chiefs and no Indians」とも言われます。「Indians」はアメリカ先住民を指すが、ここでは「実際に指示を実行し、仕事をする人」のたとえとして使われています。