【ことわざ】
朝起き千両夜起き百両
【読み方】
あさおきせんりょうよおきひゃくりょう
【意味】
朝早く起きて働くほうが、夜遅くまで起きて働くより、ずっと能率がよく得であること。早起きの大切さを強く言い表したことば。


【英語】
・The early bird catches the worm.(早く動く者がよい機会をつかむ)
・The early bird gets the worm.(早い者が得をする)
・Early to bed and early to rise makes a man healthy, wealthy, and wise.(早寝早起きは健康と富と賢さにつながる)
【類義語】
・朝起きは三文の徳(あさおきはさんもんのとく)
・朝の一時は晩の二時に当たる(あさのひとときはばんのふたときにあたる)
・早起き三両、倹約五両(はやおきさんりょう、けんやくごりょう)
【対義語】
・朝寝八石の損(あさねはちこくのそん)
・朝寝する者は貧乏性(あさねするものはびんぼうしょう)
・酒と朝寝は貧乏の近道(さけとあさねはびんぼうのちかみち)
「朝起き千両夜起き百両」の語源・由来
このことわざは、特定の人物の逸話から生まれた故事成語ではなく、暮らしの中の経験をもとに言い伝えられてきたことわざです。早く起きて働くことの値打ちを、はっきりと大きく言い表したところに特色があります。
まず目を引くのは、「千両」と「百両」という金額です。江戸時代の「両」は金貨の単位で、小判一枚を一両とするのが基本でした。
しかも「千両」は、ただ貨幣の数を表すだけでなく、非常に値打ちがあることのたとえとしても使われました。ふつうの「百両」よりも、はるかに大きな価値を感じさせる言い方です。
そのため、「朝起き千両夜起き百両」は、朝の働きが夜の働きの十倍ぴったりの利益になるという計算を示すより、朝のほうがずっとよいという実感を強く押し出した表現と考えられます。数字を使って、印象をぐっと強めたことわざなのです。
朝と夜の働きを比べる考え方は、このことわざだけに見られるものではありません。「朝の一時は晩の二時に当たる」という別のことわざもあり、昔から朝の時間が働きやすいものとして受けとめられていたことが分かります。
さらに、井原西鶴の『日本永代蔵(にっぽんえいたいぐら)』は1688年(貞享5年・江戸時代前期)に刊行された作品ですが、その中には、長者になるための心得を薬にたとえて「朝起き五両」などと並べる発想が出てきます。朝早く起きることに金額をあてて価値を示す考え方が、すでにこの時代に確かめられるのです。
もちろん、西鶴の文句は今の「朝起き千両夜起き百両」と同じ形ではありません。けれども、早起きの利益を金額で表す言い方が古くから親しまれていたことは、このことわざの成り立ちを考えるうえで大切です。
そこから考えると、このことわざは、朝の働きのよさを人びとが日々の生活の中で感じ取り、それを分かりやすく、覚えやすい形に言いまとめたものといえます。難しい理くつではなく、働き方の実感が先にあったのでしょう。
また、夜の仕事より朝の仕事を高く見るのは、昔の生活ではとくに自然な感覚でした。明るい朝のほうが動きやすく、集中しやすいという実感が、こうした言い回しを支えたと受け取れます。これは、電気の少ない時代の暮らしや仕事の条件ともよく合います。
このことわざは、後には「朝起き千両」と短く言う形でも伝わりました。短くなっても意味は同じで、早起きの価値を大きくほめる気持ちは変わっていません。
つまり「朝起き千両夜起き百両」は、江戸時代の貨幣のことばを使いながら、朝の働きのよさを力強く伝えることわざです。大事なのは、ほんとうの金額ではなく、早起きの習慣がそれほど大きな利益につながる、という昔の人のはっきりした実感にあります。
「朝起き千両夜起き百両」の使い方




「朝起き千両夜起き百両」の例文
- 受験勉強では、夜遅くまで問題集を続けるより朝に解き直すほうがよいとして、父は朝起き千両夜起き百両を口ぐせにしている。
- 母は、運動会のお弁当の下ごしらえを早めにすませ、朝起き千両夜起き百両だから本番前日に夜ふかしはしないと言った。
- 友だちは、眠いまま作文を書くより翌朝に清書したほうがまとまるとして、朝起き千両夜起き百両を実行している。
- 店長は、閉店後にだらだら作業するより開店前に準備したほうが進むとして、朝起き千両夜起き百両を大切にしている。
- 試験前の暗記では、夜中に無理をするより朝に見直すほうが頭に入りやすいので、朝起き千両夜起き百両という言葉は今でも通じる。
- 地域の清掃活動でも、朝の涼しいうちに動いたほうが人数もそろい仕事も進むため、朝起き千両夜起き百両という言い方がよく合う。























