【ことわざ】
青葉は目の薬
【読み方】
あおばはめのくすり
【意味】
青々とした葉の緑を見ると、疲れた目が休まるということ。転じて、新緑は気持ちまでさわやかにしてくれるというたとえ。


【英語】
・Green is restful to the eyes.(緑は目を休ませてくれる)
・Fresh greenery soothes the eyes.(みずみずしい新緑は目をなごませる)
・A view of green refreshes the eyes.(緑の景色は目をさわやかにする)
【類義語】
・目の保養(めのほよう)
・目を慰める(めをなぐさめる)
【対義語】
・目の毒(めのどく)
・目障り(めざわり)
「青葉は目の薬」の語源・由来
このことわざは、青葉の青々とした色を、目によい薬になぞらえた言い方です。ここでいう「薬」は、本当に飲んだりぬったりする薬ではなく、見ているだけで目が楽になる、というたとえとして使われています。
「青葉」は、春から初夏にかけての、みずみずしい葉を指します。やわらかな若葉が少し育ち、木々がいちめんに青く見えるころの葉で、見た目にもすがすがしい季節の景色です。
このことばのもととしてよく挙げられるのが、1638年(寛永15年・江戸時代前期)に序がある『毛吹草(けふきぐさ)』です。『毛吹草』は、松江重頼(まつえしげより)が編んだ俳諧書で、季節のことばや俳諧の作り方を広く集めた書物として知られています。
その中で、このことわざにつながる言い方としてよく知られているのが、「夏山は目の薬なる新樹かな」という句です。ここに出てくる「新樹(しんじゅ)」は、初夏の若葉がいっせいに茂った木々のことです。
この句では、夏の山の新しい緑を見ていると、まるで目の薬のようだと感じる心持ちが、そのままことばになっています。青葉の色の美しさだけでなく、見ていて目が休まり、気持ちまで涼しくなる感じが、短い一句の中にこめられています。
ただし、「青葉は目の薬」という今の形が、最初からそのまま『毛吹草』に書かれていたと決めきるのは早すぎます。むしろ、俳諧の句にあらわれた「目の薬」という言い方が、のちに分かりやすく言い換えられ、ことわざとして広まったと考えるほうが自然です。
つまり、最初は季節の景色をほめる表現でしたが、それがしだいに、だれにでも通じる短い言い回しへとまとまっていったのです。こうして「青葉は目の薬」は、句の中の気分をそのまま取り出したような、親しみやすいことわざになりました。
昔の人にとって、山や木々の緑は、ただの背景ではありませんでした。季節の移り変わりを知らせるものであり、暑くなる時期に心をやわらげてくれる、身近で大切な景色でもあったのです。
そのため、「目の薬」というたとえも、とても素直に受け入れられました。冷たくてさわやかな感じのする青葉の色は、つかれた目にやさしいものとして感じられ、それがことばとして定着していったのでしょう。
このことわざのよいところは、目のことだけで終わらない点にもあります。青葉を見ると、視界が楽になるだけでなく、気分まですっきりすることがあります。昔から、この感覚もふくめて使われてきました。
ですから、今でもこのことわざは、木々の緑を見て目が休まるときに、そのまま使うことができます。また、気持ちが晴れる、心が落ち着くという感じをこめて使っても、不自然ではありません。
つまり「青葉は目の薬」は、初夏の木々の緑が、見ている人の目と心をやさしくなごませることを表したことわざです。季節の景色を大切に見つめる暮らしの中から生まれ、今も変わらず親しまれている、静かで美しい言葉なのです。
「青葉は目の薬」の使い方




「青葉は目の薬」の例文
- 漢字の練習で目がつかれたあと、庭の青葉を見て、青葉は目の薬だと思った。
- 病室の窓から見える若葉の山並みは、まさに青葉は目の薬であった。
- 長い会議のあとに街路樹の緑を眺めると、青葉は目の薬という気持ちになる。
- 遠足の帰り道、木立の新緑を見て、青葉は目の薬だと実感した。
- 一日じゅう帳簿を見ていた祖父は、庭のもみじの若葉を見て青葉は目の薬と言った。
- 雨あがりの公園でみずみずしい葉を見上げると、青葉は目の薬という言葉がよく分かる。























