【ことわざ】
新しい畳でも叩けばごみが出る
【読み方】
あたらしいたたみでもたたけばごみがでる
【意味】
どんなに立派で欠点がなさそうに見えるものでも、細かく調べれば多少の欠点は見つかるというたとえ。むやみに粗探しをするものではない、という戒めにも用いる。


【英語】
・Nobody’s perfect.(誰も完全ではない)
【類義語】
・叩けば埃が出る(たたけばほこりがでる)
・垢は擦るほど出る(あかはこするほどでる)
・粗は探すほど出る(あらはさがすほどでる)
【対義語】
・完全無欠(かんぜんむけつ)
・非の打ち所がない(ひのうちどころがない)
「新しい畳でも叩けばごみが出る」の語源・由来
このことわざは、畳という身近な敷物をもとに、完全に見えるものにも欠点はあるという考えを表すことわざです。畳は、古くは敷物の総称として用いられ、のちに稲わらを重ねた畳床(たたみどこ)へ藺草(いぐさ)で編んだ畳表(たたみおもて)をつけた敷物を指すようになりました。
「新しい畳」は、本来なら清潔で、傷みも少なく、気持ちよく使えるものの代表です。それでも叩けば細かなごみが出るという言い方によって、どれほどよく見える人や物事でも、細かく探れば何かしらの不足や欠点は見つかる、という意味に広がりました。
このことわざの底には、「叩けば埃(ほこり)が出る」という近い表現の発想も重なっています。「叩けば埃が出る」は、どんなものでも細部までせんさくすれば欠点や弱点が見つかるという意味で用いられ、古い用例として『武玉川(むたまがわ)』(1750〜1776年・江戸時代中期、慶紀逸ほか編)五に「背中たたけば埃のたつ乳母」という句が出てきます。
『武玉川』は、江戸中期の雑俳集で、江戸の俳諧の高点付句を集めたものです。その中の「叩けば埃が出る」に近い用例は、実際に何かを叩くと埃が立つという具体的な動作から、人の身の上や立場を細かく探れば弱点が出るという比喩へ移っていることを示しています。
一方で、「畳を叩く」という行為そのものは、暮らしの中の掃除とも結びついていました。『石山本願寺日記』の永禄三年(1560年・戦国時代)の記録には、掃除の場面で畳を叩く記述があり、畳を叩いて清める行為が生活の中にあったことが分かります。
「新しい畳でも叩けばごみが出る」は、こうした「叩くと隠れていた細かなものが出る」という実感を、さらに強めた言い方です。古くなった畳ではなく、あえて「新しい畳」を出すことで、「新しく立派に見えるものでも例外ではない」という意味がはっきりします。
ただし、このことわざは、欠点を見つけて責めるための言葉ではありません。むしろ、不必要な粗探しをするべきではない、世の中に完全なものはない、という落ち着いた見方を教えることわざとして用いられます。
つまり、「新しい畳でも叩けばごみが出る」は、完璧に見えるものにも小さな欠点はあるという事実を示しながら、人や物事を見るときに、細かな欠点だけに目を向けすぎないよう戒める表現です。良いところを認めたうえで、必要な改善だけを考える姿勢につながることわざといえます。
「新しい畳でも叩けばごみが出る」の使い方




「新しい畳でも叩けばごみが出る」の例文
- 新しい畳でも叩けばごみが出るというように、どんなに評判のよい計画にも小さな課題は残る。
- 友人の発表を細かく責めすぎるのは、新しい畳でも叩けばごみが出るというものだ。
- 新しい畳でも叩けばごみが出るのだから、一つの失敗だけでその人の努力を否定してはいけない。
- 完成したばかりの家にも気になる点はあるが、新しい畳でも叩けばごみが出ると考えて、必要な所だけ直した。
- 会議では新しい畳でも叩けばごみが出るような指摘ばかりでなく、全体のよさも見て話し合うべきだ。
- 新しい畳でも叩けばごみが出るという考えを忘れると、人の欠点ばかりに目が向いてしまう。
主な参考文献
・集英社辞典編集部編『会話で使えることわざ辞典』集英社、1989年。
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・小学館国語辞典編集部編『大辞泉 第二版』小学館、2012年。
・公益財団法人日本漢字能力検定協会『漢検 漢字辞典 第二版』日本漢字能力検定協会、2014年。
・『武玉川』1750〜1776年。
・Merriam-Webster, Inc.『Merriam-Webster.com Dictionary』。























