【ことわざ】
商いは門門
【読み方】
あきないはかどかど
【意味】
客をよく見て、それぞれの相手に合った品物を売るのが、商売を成功させるこつだという教え。
商いは門門は、客をひとまとめに扱わず、一人一人の求めるものに応じて品物や売り方を考える大切さを表しているよ。
商売にはそれぞれ専門があるから、買う側も専門の店を選ぶ方がいい、という意味にも用いるニャン。
【類義語】
・餅は餅屋(もちはもちや)
「商いは門門」の語源・由来
「商い」は、品物を売り買いすること、すなわち商売を指す言葉です。「商いは門門」は、その商売の心得を、短く印象に残る形で言い表したことわざです。
このことわざが教えるのは、同じ品物を誰にでも同じように勧めればよいという考えではありません。客の年齢や暮らし、必要としているもの、品物を選ぶ理由は一人一人異なるため、その違いをよく見て、相手にふさわしい品物を勧めることが商売のこつになるという意味です。
「門門」は「かどかど」と読み、「商いは門々」とも書きます。同じ字を重ねたこの形は、客を大まかな一群として扱うのではなく、それぞれの相手に向き合うという教えを、ことわざの響きの中に表しています。
この言い方には、売り手の側から見た教えだけでなく、買い手の側から見た意味もあります。すなわち、商売にはそれぞれ得意な品物や専門の分野があるので、品物を求めるなら、その道に通じた店で買うのがよいという考え方です。
売り手の側の意味では、「相手に合ったものを見極めて勧めること」が大切になります。一方、買い手の側の意味では、「その品物に詳しい店を選ぶこと」が大切になります。向きは違っていても、どちらも、商売は相手や品物の違いをよく知るところから成り立つという、一つの考えにつながっています。
このうち、専門の店を選ぶという意味は、「餅は餅屋」と近い関係にあります。「餅は餅屋」は、餅は餅屋の作ったものが最もよいことから、その道のことは専門の者が一番よく知っているというたとえです。「商いは門門」の買い手側の意味も、専門に通じた相手を頼る大切さを表しています。
また、このことわざは、品物を売る場面だけに限らず、相手によって必要とする助けや応対が異なる場面にも引き寄せて使われています。客や利用者をよく知り、それぞれに合った対応をするという考えが、現代の仕事やサービスにも通じるためです。
「商いは門門」は、ただたくさん売ればよいという教えではありません。目の前の相手をよく見て、その人に合ったものを誠実に届けることが、よい商売につながると説くことわざです。
「商いは門門」の使い方




「商いは門門」の例文
- 商いは門門というから、店主は客の暮らしに合う道具を一つずつ選んで勧めた。
- 祖母の和菓子店は、商いは門門を大切にし、贈り物を探す客には季節に合った品を案内している。
- 商いは門門の教えにならい、書店員は読む人の年齢や興味に応じて本を紹介した。
- 地域の朝市では、商いは門門の心で、店ごとに得意な野菜や加工品を丁寧に売っている。
- 新しい靴を選ぶとき、父は商いは門門だから専門の店で足に合うものを見てもらおうと言った。
- 長く続く商店ほど、商いは門門を忘れず、客の相談に合わせて品物を整えている。
主な参考文献
・小学館『デジタル大辞泉』。
・小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005〜2006年。
・北村孝一編『ことわざを知る辞典』小学館、2018年。
・医学書院『臨床皮膚科』第72巻第5号、2018年。























