【ことわざ】
一災おこれば二災おこる
【読み方】
いっさいおこればにさいおこる
【意味】
一度災難が起こると、それに伴って別の災難も起こりやすいこと。悪いことは重なりやすいというたとえ。


【英語】
・Misfortunes never come singly(災難は一つだけでは来ない)
【類義語】
・一度ある事は二度ある(いちどあることはにどある)
・二度あることは三度ある(にどあることはさんどある)
・一難去ってまた一難(いちなんさってまたいちなん)
・弱り目に祟り目(よわりめにたたりめ)
【対義語】
・雨降って地固まる(あめふってじかたまる)
・禍を転じて福と為す(わざわいをてんじてふくとなす)
「一災おこれば二災おこる」の語源・由来
「一災おこれば二災おこる」は、一つの災難がそれだけで終わらず、さらに別の災難を引き起こすという考えを、数字の「一」と「二」で分かりやすく表したことわざです。「一災」は最初の災難、「二災」はそれに続いて起こる次の災難を指し、現在は「悪いことは重なる」という意味で使われます。
古い用例として、近松門左衛門の浄瑠璃(じょうるり)『心中万年草(しんじゅうまんねんそう)』(1710年・江戸時代中期、近松門左衛門作)に、「一さいおこれば二さいおこる」という形が出てきます。近松門左衛門は浄瑠璃・歌舞伎の作者で、『心中万年草』は、1710年に上演された浄瑠璃作品として伝わっています。
『心中万年草』は、寺小姓の成田久米之介と商家のお梅をめぐる世話物です。二人は思い合っていますが、お梅は親の言いつけで京の商人と仮祝言を交わすことになり、久米之介とお梅は一緒に駆け落ちしようとします。物語は、高野山の女人堂まで来た二人が、家族との縁や逃れがたい事情に向き合い、最後には悲しい結末へと進む流れをもっています。
この作品に出てくる「一さいおこれば二さいおこる」という形は、漢字交じりの現在の表記ではなく、かな書きの形でことわざ的に用いられています。災難が一つ起きると、その余波によって次の災難まで呼び込んでしまうという、暮らしの中の実感を表した言い方です。
現在の表記では、「一災起これば二災起こる」と漢字で書く形が広く示されます。一方、ユーザー入力のように「おこれば」「おこる」をかなで書いても、読みや意味は同じで、やわらかく読みやすい表記になります。
このことわざは、「悪いことが必ず二回起こる」と決めつける言葉ではありません。最初の災難を軽く見たり、原因をそのままにしたりすると、別の問題に広がることがある、という戒めを含んでいます。「一度ある事は二度ある」「二度あることは三度ある」と同じく、続けて起こる不運に注意を促す言い方として受け継がれています。
そのため、現在の使い方では、災難が重なったことを嘆くだけでなく、早めに対処して次の災難を防ぐという意味合いも読み取れます。一つの失敗や事故を見過ごさず、次に何が起こりうるかを考えるための、生活に根ざしたことわざです。
「一災おこれば二災おこる」の使い方




「一災おこれば二災おこる」の例文
- 大雨で電車が止まり、さらに会議資料まで忘れてしまい、一災おこれば二災おこると思った。
- 風邪をひいたうえに宿題の提出日も間違えていて、一災おこれば二災おこる一日になった。
- 店の冷蔵庫が故障した直後に仕入れの手違いも起こり、店主は一災おこれば二災おこると嘆いた。
- 旅行先で財布を落とし、帰りの切符まで見つからず、一災おこれば二災おこるという状況になった。
- 最初の連絡ミスを放置したため、別の部署にも混乱が広がり、一災おこれば二災おこる結果となった。
- 一災おこれば二災おこるにならないよう、事故のあとは原因をすぐに調べる必要がある。
主な参考文献
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・北村孝一編『ことわざを知る辞典』小学館、2018年。
・近松門左衛門『心中万年草』1710年。























