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【一飯の徳も必ず償い、睚眦の怨みも必ず報ゆ】の意味と使い方や例文!故事は?(対義語)

一飯の徳も必ず償い、睚眦の怨みも必ず報ゆ

【故事成語】
一飯の徳も必ず償い、睚眦の怨みも必ず報ゆ

【読み方】
いっぱんのとくもかならずつぐない、がいさいのうらみもかならずむくゆ

【意味】
たった一度の食事ほどの小さな恩にも必ず報い、少しにらまれたほどの小さな怨みにも必ず仕返しすること。受けた恩も怨みも忘れず、必ず返そうとする態度を表す。

ことわざ博士
「一飯の徳も必ず償い、睚眦の怨みも必ず報ゆ」は、義理堅さと執念深さの両方を含む表現なんだよ。
助手ねこ
人から受けた小さな親切や小さな怨みまで忘れず、それぞれに強く報いようとする人物や態度を述べる場面で用いるニャン。

【対義語】
・恩を仇で返す(おんをあだでかえす)
・仇を恩で報ずる(あたをおんでほうずる)

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「一飯の徳も必ず償い、睚眦の怨みも必ず報ゆ」の故事

故事成語を深掘り

この故事成語は、中国の歴史書『史記』「范雎蔡澤列伝」に出てくる范雎(はんしょ)の人物像に基づく言葉です。『史記』は前漢の司馬遷がまとめた通史で、帝王の記録、制度の記録、人物の伝記などを組み合わせて歴史を述べています。

范雎は、戦国時代の魏の人で、はじめは魏の役人であった須賈に仕えていました。のちに秦へ逃れ、昭襄王に仕えて重く用いられ、秦の政治を動かす立場になります。

物語の初めで、范雎は須賈に従って斉へ行きます。そこで、范雎が魏の秘密を斉に漏らしたと疑われ、魏の有力者であった魏斉からひどい暴行を受け、死んだものとして扱われますが、番人の助けを得て逃れます。

范雎はその後、鄭安平の助けを受け、名を張禄と変えて秦へ入ります。秦で才能を認められた范雎は、やがて秦の相となり、かつて自分を見下した魏の人々を上から迎える立場になりました。

のちに、須賈が魏の使者として秦へ来ます。范雎は貧しい姿をして須賈の前に現れ、須賈はそれが秦の相になった范雎だとは知らず、昔のよしみから食事を与え、粗い絹の綿入れを贈ります。

須賈は、あとになってその貧しい人物が秦の相である范雎だと知り、恐れて謝ります。范雎は須賈の過ちを責めながらも、綿入れを贈った行為に昔の情けが残っていたとして、須賈の命だけは助けます。

一方で、范雎は自分を死ぬほど苦しめた魏斉への怨みを忘れませんでした。秦の力を背景に、魏へ魏斉の首を求めるほど、かつて受けた屈辱に厳しく報いようとします。

『史記』には、范雎が家の財物を分け、かつて困窮したときに自分を助けた人々へ報いたあと、「一飯之德必償,睚眥之怨必報」とあります。「一飯」は一度の食事ほどの小さな恩、「睚眥」は目を怒らせてにらむことを表し、ここでは、ほんのわずかな恩も怨みも忘れず返すという意味になります。

日本語では、「一飯の徳」「睚眥の怨み」がそれぞれ古くから使われ、「睚眥の怨み」は室町時代中期の『文明本節用集』にも出てきます。また、明治期の『浮雲』(1887〜1889年、二葉亭四迷著)にも、一飯の恩と睚眥の怨みを対にした文脈が現れ、恩と怨みをともに強く心に刻む言い方として受け止められてきました。

このため、「一飯の徳も必ず償い、睚眦の怨みも必ず報ゆ」は、単に恩を忘れない立派さだけをいう表現ではありません。小さな恩にも必ず報いる義理堅さと、小さな怨みにも必ず仕返ししようとする激しさとが、同時に含まれる故事成語です。

「一飯の徳も必ず償い、睚眦の怨みも必ず報ゆ」の使い方

健太
先生に貸してもらった画用紙のお礼を言いに行くんだ。あのとき、本当に助かったからね。
ともこ
それはいいことだね。でも、下級生が少し文句を言ったことまで、まだ怒っているの?
健太
うん、恩も怨みも忘れないって、一飯の徳も必ず償い、睚眦の怨みも必ず報ゆっていうでしょ?
ともこ
恩を返すのはすてきだけど、小さな怨みまで返すのはこわいよ。文句のことは話し合いで済ませよう?
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「一飯の徳も必ず償い、睚眦の怨みも必ず報ゆ」の例文

例文
  • その人物は、一飯の徳も必ず償い、睚眦の怨みも必ず報ゆという気性で、助けてくれた人には手厚く礼をした。
  • 一飯の徳も必ず償い、睚眦の怨みも必ず報ゆという言葉は、恩にも怨みにも強くこだわる態度を表す。
  • 彼は昔の親切を忘れず返礼したが、一飯の徳も必ず償い、睚眦の怨みも必ず報ゆのように、小さな侮りにも厳しかった。
  • 祖父はその故事を引き、一飯の徳も必ず償い、睚眦の怨みも必ず報ゆのような生き方は、長所と短所をあわせ持つと語った。
  • 会社の創業者は、一飯の徳も必ず償い、睚眦の怨みも必ず報ゆというほど、受けた恩と屈辱を忘れない人だった。
  • 一飯の徳も必ず償い、睚眦の怨みも必ず報ゆを人に当てはめるときは、義理堅さだけでなく執念深さも含む。

主な参考文献
・松村明監修、小学館大辞泉編集部編『大辞泉 第二版』小学館、2012年。
・小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005〜2006年。
・北村孝一編『ことわざを知る辞典』小学館、2018年。
・司馬遷『史記』前漢。
・『文明本節用集』室町時代中期。
・二葉亭四迷『浮雲』1887〜1889年。





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