【ことわざ】
木に竹を接ぐ
【読み方】
きにたけをつぐ
【意味】
性質の違うものを無理につぎ合わせることから、前後のつじつまが合わないこと、筋が通らないこと、調和やつり合いがとれないことのたとえ。


【英語】
・mix apples and oranges.(性質の違うものを一緒に扱う)
・put a square peg in a round hole.(合わないものを無理に当てはめる)
【類義語】
・竹に接ぎ木(たけにつぎき)
・矛盾(むじゅん)
・水と油(みずとあぶら)
【対義語】
・首尾一貫(しゅびいっかん)
・終始一貫(しゅうしいっかん)
「木に竹を接ぐ」の語源・由来
「木に竹を接ぐ」は、木と竹という性質の異なるものを無理につぎ合わせる姿からできたことわざです。木と竹はどちらも固く、身近な材料として使われますが、性質の違うものとして対比され、その不似合いさが言葉の土台になっています。
「接ぐ」は、離れているものをつなぎ合わせることや、植物に接ぎ木をすることを表します。そこから、木に竹をつぐという、うまくなじまない組み合わせを思い浮かべることで、前後が合わないことを言うようになりました。
このことわざの古い形は、「木に竹」という短い形でも表れています。長い言い方である「木に竹を接ぐ」と、短い言い方である「木に竹」は、ともに不調和や筋の通らなさを表す表現として結びついています。
古い用例として、『月庵酔醒記(げつあんすいせいき)』(1573〜1592年ごろ)に、この表現が出てきます。『月庵酔醒記』は、戦国時代の関東の大名、一色直朝が著した啓蒙的な人文百科事典で、俗信、禁忌、食い合せ、占い、なぞ、ことわざなど、中世末から近世初期にかけての文化や風俗を記す書物です。
この段階では、木と竹の取り合わせそのものが、性質の合わないものを無理につなぐたとえとして用いられていました。つまり、もとの発想は、実際の木材や竹材の話にとどまらず、言葉や考えの不自然なつながりを表す方向へ広がっていたといえます。
江戸時代中期の浮世草子(うきよぞうし)『和国小姓気質(わこくこしょうかたぎ)』(1746年、九二軒鱗長)には、「木に竹ついだ挨拶」という用例があります。ここでは、受け答えや言葉づかいがちぐはぐで、前後の筋が合わない様子を表しています。
この用例から、このことわざが人の言い方や話の流れを評する場面にも使われていたことが分かります。目に見える物の不調和から、話の筋道の不調和へと意味が移っている点が大切です。
近代になると、夏目漱石の『吾輩は猫である』(1905〜1906年)にも、「木に竹を接いだようなことを言う」という形が出てきます。ここでも、話のつながりが不自然で、前後の釣り合いがとれていないことを言い表しています。
また、同じ発想から「竹に接ぎ木」という言い方も類義語として用いられます。どちらも、性質の異なるものを無理につぎ合わせるところから、不自然で筋が通らないことを表します。
このように、「木に竹を接ぐ」は、木と竹という異質なものの取り合わせを出発点とし、話・文章・説明・行動などの前後が合わないことを表すことわざとして定着しました。現在では、見た目の不調和だけでなく、説明のつじつまが合わない場合にも使われます。
「木に竹を接ぐ」の使い方




「木に竹を接ぐ」の例文
- 会議の説明は、最初の目的と最後の結論が合っておらず、木に竹を接ぐような内容だった。
- その小説は、まじめな歴史物語の途中に急に宇宙人が現れ、木に竹を接ぐ印象を与えた。
- 謝罪の言葉のあとに自慢話を続けるのは、木に竹を接ぐようで相手に伝わりにくい。
- 父の話は、家計の節約から急に旅行の思い出へ飛び、木に竹を接ぐようだった。
- 展示会の会場に、古典的な屏風と派手な電飾看板を並べると、木に竹を接ぐ感じになる。
- 企画書の前半と後半で方針が変わっており、木に竹を接ぐ文章になっている。
主な参考文献
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・北村孝一編『ことわざを知る辞典』小学館、2018年。
・佐竹秀雄・武田勝昭・伊藤高雄編、北村孝一監修『故事俗信ことわざ大辞典 第二版』小学館、2012年。
・集英社辞典編集部編『会話で使えることわざ辞典』集英社、1989年。
・服部幸造・美濃部重克・弓削繁編『月庵酔醒記 上』三弥井書店、2007年。
・服部幸造・美濃部重克・弓削繁編『月庵酔醒記 中』三弥井書店、2008年。
・九二軒鱗長『和国小姓気質』1746年。
・アルク『英辞郎 on the WEB』。























