【慣用句】
揚げ足を取る
【読み方】
あげあしをとる
【意味】
相手の言いまちがいや言葉じりをとらえて、非難したりからかったりすること。


【英語】
・nitpick(細かな点をあげつらって非難する)
・find fault with someone(人のあらを探して責める)
・split hairs(細かな違いにこだわる)
【類義語】
・けちを付ける(けちをつける)
・重箱の隅をつつく(じゅうばこのすみをつつく)
・論う(あげつらう)
【対義語】
・大目に見る(おおめにみる)
・目をつぶる(めをつぶる)
・水に流す(みずにながす)
「揚げ足を取る」の語源・由来
「揚げ足を取る」は、もともと体の動きに結びついた言い方です。相手が足を上げたり、ふっと浮かせたりしたところをとらえる、という具体的な場面が土台にありました。
ここでいう「揚げ足」は、足を上げた状態の足を指します。今の会話で使う意味から考えると少し意外ですが、出発点は人のことばではなく、まず体の動きだったのです。
古い時代には、「あげあし」という言葉そのものがすでに使われていました。1603年〜1604年(慶長8年〜9年・安土桃山時代末〜江戸時代初期)にまとめられた『日葡辞書』にも、足を上げることに関わる言葉として出てきます。
この段階では、まだ今のように「言いまちがいをとらえる」という意味が前面に出ていたわけではありません。まず、上がった足、浮いた足という、目に見える具体的な姿があったことが大切です。
その後、江戸時代になると、この言い方は会話ややり取りの場にも移っていきます。1779年(安永8年・江戸時代中期)の洒落本には、すでに「かへってあげあしを取られ」という形が出てきます。
ここでは、ただ相手に反対するのではなく、相手の言い方のすきや弱みにつけこむ感じがはっきりしています。つまり、勝負で相手の足が浮いたところをつかむ感覚が、ことばのやり取りへ移ったのです。
この移り変わりは、とても分かりやすいものです。相撲などで相手の足が浮いた一瞬をとらえるのと同じように、会話でも相手が少し言いそこなったところを見のがさず責める、というたとえになったのでしょう。
そのため、「揚げ足を取る」のいちばん大事な意味は、相手の意見を正面から批判することではありません。話の内容全体ではなく、言いまちがい、言葉じり、言い方の細かな部分だけを取り上げて責めることにあります。
明治時代に入ると、「揚足取り」という名詞の形も広がっていきます。1908年(明治41年・明治時代)の文章には、この形がすでに人をなじる言い方として出てきます。
こうして、この慣用句は、体の動きを表す具体的な言葉から、人の話し方を責める言葉へと意味を広げていきました。古い意味と今の意味が少し離れているように見えても、そのあいだには「相手のすきをつかむ」という共通した考え方が通っています。
今では、言いまちがいだけでなく、小さな失敗全体を責める意味で使われることもあります。それでも、本来の意味をていねいに考えるなら、やはり中心にあるのは、相手のことばの細かなところをとらえて責める、という点です。
つまり「揚げ足を取る」は、上がった足をとらえるという具体的な場面から生まれ、それが会話の中で相手の言いまちがいや言葉じりを責めるたとえへ育った慣用句です。相手の考えをまっすぐ論じるのではなく、細かな言い方を責めるところに、この言葉らしさがあります。
「揚げ足を取る」の使い方




「揚げ足を取る」の例文
- 会議で提案の中身を論じず、言い間違いだけを取り上げて揚げ足を取るのは感心しない。
- 友人の説明の小さな言い回しに揚げ足を取ると、話し合いが先へ進まなくなる。
- 発表の内容よりも言葉じりに揚げ足を取るような態度では、相手の考えは伝わりにくい。
- 兄は謝ろうとしているのに、昔の言いまちがいまで持ち出して揚げ足を取るので、話がこじれた。
- 仕事の相談をしている場で揚げ足を取るばかりでは、よい解決策は生まれにくい。
- 政策のよしあしより先に言葉じりだけで揚げ足を取ると、本当の論点がぼやける。























