【ことわざ】
秋茄子は嫁に食わすな
【読み方】
あきなすはよめにくわすな
【意味】
秋のなすはとりわけ味がよいので、嫁には食べさせたくないほどだということ。転じて、秋なすのうまさを強く言い表すことば。


【英語】
・Don’t let your daughter-in-law eat autumn eggplants.(秋なすを嫁に食べさせるな)
・Autumn eggplants are too good to give away.(秋なすは人に回したくないほどおいしい)
・Autumn eggplants are exceptionally delicious.(秋なすは格別においしい)
【類義語】
・秋鯖嫁に食わすな(あきさばよめにくわすな)
・秋かます嫁に食わすな(あきかますよめにくわすな)
・夏蛸嫁に食わすな(なつだこよめにくわすな)
【対義語】
・鯒の頭は嫁に食わせよ(こちのあたまはよめにくわせよ)
「秋茄子は嫁に食わすな」の語源・由来
もともとこのことわざは、秋にとれるなすの味のよさを、少し意地の悪い言い方で強く言い表したものと考えられている。秋のなすは香りがよく、皮が薄く、格別にうまいと説明されている。
古い用例としてよく挙げられるのが、『毛吹草(けふきぐさ)』巻二である。この書は1638年(寛永15年・江戸時代前期)に序があり、1645年(正保2年・江戸時代前期)に刊行された江戸前期の俳書である。
そこには、あきなすびよめにくはすなという形が出てくる。しかも続けて、嫁と姑の仲のよさはめったにない不思議なことだという趣旨のことばが添えられており、当時すでに、嫁と姑の緊張をふくんだ言い回しとして広まっていたことがうかがえる。
この続き方からすると、いちばん古いところで表れているのは、秋なすの味のよさを前にして、嫁にはやりたくないと言うような、からかい半分のきつい言い方である。今よく知られる、秋なすはとびきりおいしいという理解も、ここにしっかりつながっている。
その後、このことばには別の説明が重ねられていった。1699年(元禄12年・江戸時代前期)成立の『諺草(ことわざぐさ)』では、秋なすは種が少ないので子種が少なくなるのを嫌うという説明が知られている。
さらに、1783年ごろ(天明3年ごろ・江戸時代中期)の『安斎随筆(あんさいずいひつ)』では、秋なすは体を冷やすから、大事な嫁をいたわって食べさせないという考えが語られる。こちらは、意地悪とは反対に、嫁の身を気づかう読み方である。
ただし、これら二つの説明は、どちらも『毛吹草』に見える古い形より後に出てきた。そこで、後の時代に、きつく聞こえることばへ思いやりの意味を添えたり、子どもに関わる願いを結びつけたりして、理由づけが加えられていったと考えるのがわかりやすい。
また、このことわざだけが特別なのではなく、秋鯖や秋カマスにも「嫁に食わすな」という似た言い方がある。おいしい旬のものを、嫁に回すのは惜しいという誇張が、同じ型で広がっていたことがわかる。
こうした広がりを見ると、このことばの土台にあるのは、まず旬の食べ物への強い賛美である。そこへ、昔の家族関係、とくに嫁と姑の距離感が重なって、印象の強い言い回しになったのだろう。
現代の感覚では、ことばの形だけ取るときびしく聞こえやすい。けれども、由来をたどると、まずは秋なすのおいしさを大げさに言い立てたことばとして受け取るのがいちばん理解しやすい。
そして、体を冷やすからという説明や、種が少ないことに結びつける説明が後に加わり、一つのことわざの中にいくつもの読み方が残った。そうした重なりまで含めて、このことばは昔の暮らしや感じ方を今に伝えている。
「秋茄子は嫁に食わすな」の使い方




「秋茄子は嫁に食わすな」の例文
- 畑で朝採りした秋なすを焼いた父は、秋茄子は嫁に食わすなとはよく言ったものだと笑った。
- 祖母は、つやのある秋なすを見て、秋茄子は嫁に食わすなと言うほど今がいちばんうまいと言った。
- 料理屋の主人は、揚げびたしを出しながら、秋茄子は嫁に食わすなという古い言い回しを口にした。
- 古い小説には、秋茄子は嫁に食わすなという言葉で姑の意地悪さを描く場面がある。
- 家庭菜園の秋なすが見事に実り、母は秋茄子は嫁に食わすなというのも無理はないと話した。
- 秋の収穫祭で焼きなすを食べた人々は、秋茄子は嫁に食わすなという昔のことばを思い出していた。























