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【秋の日と娘の子はくれぬようでくれる】の意味と使い方や例文!語源由来は?(類義語・対義語・英語)

秋の日と娘の子はくれぬようでくれる

【ことわざ】
秋の日と娘の子はくれぬようでくれる

【読み方】
あきのひとむすめのこはくれぬようでくれる

【意味】
秋の日が、まだ暮れないように思えて急に暮れるように、娘もなかなか嫁に出さないようでいて、思いのほか早く縁づくことをいう。

ことわざ博士
このことわざは、結婚の話がなかなか進まないように見えて、あるとき急にまとまる様子を表すよ。
助手ねこ
秋の夕方が、まだ明るいと思っているうちに、すっと暗くなる感じを重ねた言い方ニャン。

【英語】
・before you know it(気づかないうちに、すぐに)
・before long(まもなく)
・all of a sudden(不意に、急に)

【類義語】
・秋の日は釣瓶落とし(あきのひはつるべおとし)
・縁は異なもの、味なもの(えんはいなもの、あじなもの)
・合縁奇縁(あいえんきえん)

【対義語】
・一人娘と春の日はくれそうでくれぬ(ひとりむすめとはるのひはくれそうでくれぬ)
・春の日は暮れそうで暮れぬ(はるのひはくれそうでくれぬ)
・春の日と継母はくれそうでくれぬ(はるのひとままはははくれそうでくれぬ)

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「秋の日と娘の子はくれぬようでくれる」の語源・由来

ことわざを深掘り

このことわざは、秋の夕方が急に暗くなる感じと、娘の縁談がなかなか進まないように見えて思いのほか早くまとまることを重ねた言い方です。言葉全体は、親が娘を嫁に出す場面を前提にした、昔の暮らしに根ざすたとえになっています。

土台にあるのは、「秋の日は短く、暮れ方が早い」という古くからの実感です。「秋の日」という言葉そのものも、平安時代の歌や物語に早くから出てきており、秋の光や秋の一日を表す古い言い方として文学の中に残っています。

この季節感は、後には「秋の日は釣瓶落とし」という、もっとよく知られたことわざにもはっきり表れます。こちらは、井戸の釣瓶が落ちるように、秋の日暮れがとても早いことをいう表現として伝わっています。

実際に「秋の日の釣瓶落し」という形は、河竹黙阿弥(かわたけもくあみ)の『勧善懲悪覗機関(かんぜんちょうあくのぞきからくり)』1862年(文久2年・江戸時代後期)や、『牡丹平家譚(なとりぐさへいけものがたり)』1876年(明治9年・明治時代)にも出てきます。秋の日がすっと暮れるという感覚が、近世から近代にかけて広く共有されていたことがうかがえます。

一方、このことわざの「娘の子」は、今の日本語で言う「娘の子ども」という意味ではありません。古い言い方では「娘の子」で、そのまま「娘」を指しました。

その用法は、井原西鶴の『好色一代男(こうしょくいちだいおとこ)』1682年(天和2年・江戸時代前期)の例でも確かめられます。ですから、このことわざの後半は孫のことではなく、娘を嫁にやることを言っています。

さらに大事なのは、「くれる」に二つの意味が重ねられていることです。秋の日のほうでは「暮れる」、娘のほうでは「与える」「嫁にくれる」が響き合い、一つの文の中で季節の変化と婚姻の話が結びつけられています。

この言い回しは、単独でぽつんとできたというより、同じ型のことわざと並んで伝わってきたと考えるほうが分かりやすいです。ことわざの本には、「春の日と継母はくれそうでくれぬ」が合わせて載り、反対向きのたとえとして扱われています。

また、「一人娘と春の日はくれそうでくれぬ」という近い形もあります。こちらは、春の日はなかなか暮れず、一人娘は親が惜しんでなかなか嫁に出さない、という意味で、秋のことわざときれいな対になっています。

こうして見ると、このことわざは、秋の夕暮れの早さという身近な自然の観察、娘を親が嫁に出すという昔の家の考え方、そして「くれる」という同音の言葉遊びが重なって生まれた表現だと分かります。短い文ですが、季節感と暮らしの感覚とことばのおもしろさが、うまく一つにまとめられています。

そのため、このことわざがもっともよく合うのは、娘の結婚の話がなかなか進まないように見えて、急にまとまる場面です。単に「急だった」というだけではなく、長く先延ばしに見えたものが、思いのほか早く実現するというところまで含めて受け取ると、意味がはっきりします。

「秋の日と娘の子はくれぬようでくれる」の使い方

健太
先月まで進学の話をしていた美咲お姉ちゃんが、来月もう結婚式なんだって!びっくりしたよ。
ともこ
それは急だね。おばさんたちも、まだ先の話だと思っていたんじゃないの。
健太
うん、相手の人に会ってから、顔合わせも式場も新しい家も、とんとん拍子に決まったらしいんだ。
ともこ
それなら秋の日と娘の子はくれぬようでくれるだね。なかなか嫁に出さないようでいて、急に話がまとまるときに合う言い方なんだよ。
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「秋の日と娘の子はくれぬようでくれる」の例文

例文
  1. 親戚は、長女の縁談が急に決まった様子を見て、秋の日と娘の子はくれぬようでくれると言った。
  2. 近所では、相手がまだ見つからないと思われていた娘の結婚が決まると、秋の日と娘の子はくれぬようでくれるという声が上がった。
  3. 祖母は、顔合わせから式の日取りまで一気に進んだので、まさに秋の日と娘の子はくれぬようでくれるだと笑った。
  4. 仲人を頼まれた叔父は、縁談がまとまる早さに、秋の日と娘の子はくれぬようでくれるを思い出した。
  5. 地域の人々は、箱入り娘と思われていた家の娘がほどなく嫁いだので、秋の日と娘の子はくれぬようでくれると語り合った。
  6. 古い小説では、娘の結婚話が思いのほか早くまとまる場面に、秋の日と娘の子はくれぬようでくれるが使われることがある。




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