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【悪女の深情け】の意味と使い方や例文!語源由来は?(類義語・対義語・英語)

悪女の深情け

【ことわざ】
悪女の深情け

【読み方】
あくじょのふかなさけ

【意味】
昔の言い方で、容姿のよくない女性ほど情が深く、愛情や嫉妬が重くなりやすいということ。転じて、相手にとってはありがた迷惑な、一方的で重すぎる親切や思い入れのたとえ。

ことわざ博士
『悪女の深情け』は、今ふつうに思い浮かべる「性格の悪い女」という意味ではなく、昔の言い方では、見た目がよくないとされた女性の重すぎる愛情を表すよ。そのため、親切そのものはあっても、相手が困ってしまう場面や、一方だけが強く思いつづける場面にも使われるんだ。
助手ねこ
ことばそのものに、昔の見方が強く残っている表現だニャン。

【英語】
・the tenaciousness of an ugly woman in love(みにくい女のしつこい恋情)
・an unwelcome favor(ありがた迷惑な親切)
・excessive love [affection](度を越した愛情)

【類義語】
・悪女の深情(あくじょのふかなさけ)
・有り難迷惑(ありがためいわく)
・余計な御世話(よけいなおせわ)

【対義語】
・痘痕も靨(あばたもえくぼ)
・惚れた目には痘痕も靨(ほれためにはあばたもえくぼ)

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「悪女の深情け」の語源・由来

ことわざを深掘り

このことわざを理解するうえで、まず大切なのは「悪女」の意味です。今の日本語では、ずるい女や人を惑わせる女を思い浮かべやすいですが、古くは「容姿の醜い女」という意味でも使われていました。『曾我物語(そがものがたり)』にも、その古い用法が出てきます。

つぎに「深情け」は、異性への愛情が度を越してしまうこと、またその愛情そのものをいう言葉です。つまり「悪女の深情け」は、もともと、容姿のよくないとされた女性の愛情が深く、しかも重くなりがちだとする、古い時代の見方をことわざにしたものです。

古い書物の中で、この言い方がはっきり出てくるのは、1791年(寛政3年・江戸時代後期)の洒落本(しゃれぼん)『傾城諺種(けいせいことわざぐさ)』です。そこでは、今の形に近い意味で「悪女の深情」と書かれており、このころにはすでに、世間に通じる言い回しとして扱われていたことが分かります。

ここで大事なのは、古い形が「悪女の深情」であることです。今のように「け」を付けた「悪女の深情け」が広く定着する前に、まずは「深情」という形で書かれていたのです。

その後、もとになる「深情け」という言葉が、度を越した情愛を表す語として広く通じていたため、「悪女の深情」も、しだいに「悪女の深情け」という、今の人にも意味がつかみやすい形で言われるようになったと考えられます。

大正時代になると、1923年(大正12年・大正時代)の岡本綺堂(おかもときどう)『半七捕物帳(はんしちとりものちょう)』にも「悪女の深情け」が出てきます。そこでは、女のほうが相手に夢中になりすぎている様子を指しており、恋愛の場面でよく通じることばとして使われていました。

ただ、このことわざは、単に「情が深い」というだけでは終わりません。愛情が深すぎて、相手には重く感じられ、ありがた迷惑になってしまうところまで含めて言うのが、この言葉の大事なところです。

そのため、後の時代には、男女の恋愛にかぎらず、一方的に思い入れて離れないことや、親切でも受け取る側には迷惑になってしまうことのたとえとしても使われるようになりました。ここまで意味が広がると、恋愛だけのことばではなく、人間関係全体の重い好意を表す言い方にもなります。

もう一つ気をつけたいのは、このことわざに、昔の男性側の見方が色濃く残っていることです。「悪女」は容貌の劣る女性であり、この表現全体にも、女性の姿や愛情を一方から決めつける感じが含まれています。

だから、今このことわざを読むときは、「昔からある表現だから、そのまま使われてきた意味を知る」という受け取り方が大切です。今ふつうに使う「悪女」という語感で読むと、もともとの意味を取り違えやすくなります。

まとめると、「悪女の深情け」は、古くは容姿のよくないとされた女性の重い愛情を表す言い方として生まれ、1791年(寛政3年・江戸時代後期)の『傾城諺種』には「悪女の深情」という形で現れます。そして後には、ありがた迷惑な一方的な好意を表すたとえとして広がり、今の「悪女の深情け」という形が一般的になりました。

「悪女の深情け」の使い方

ともこ
駅前の花屋さんで、男の店員さんに毎日お弁当を渡そうとする女の人がいるって、お母さんから聞いたよ。何度断られても、店の前で待っているんだって?
健太
それは親切のつもりでも、相手が受け取りたくないなら、もう迷惑になっているね。
ともこ
うん。ああいう一方的で重い思いを、昔の言い方で悪女の深情けと言うことがあるんだよ。好意でも、相手の気持ちを見ないとだめなんだね。
健太
ほんとうだね。気持ちを押しつけずに、相手が困っていないか考えることが大事だと分かったよ。
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「悪女の深情け」の例文

例文
  1. 文化祭の準備で一度親切にされた相手へ、断られても差し入れと手紙を送り続けるのは、悪女の深情けというほかない。
  2. 別れたあとも毎晩家の前に料理を置いて帰る行動を、祖母は悪女の深情けだと戒めた。
  3. 友人は、何度断っても贈り物をやめない相手の様子を見て、悪女の深情けでは心はつかめないと言った。
  4. 芝居のけいこが終わったあとも相手役につきまとい、用のない世話まで焼く姿は、悪女の深情けと受け取られた。
  5. 退職した元同僚に連日の電話と差し入れを重ねるのは、職場では悪女の深情けに近い振る舞いと見なされた。
  6. 支援のつもりでも、相手の断りを聞かず世話を続ければ、悪女の深情けのようなありがた迷惑になりうる。




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