【ことわざ】
有る時払いの催促無し
【読み方】
あるときばらいのさいそくなし
【意味】
借金や代金の支払いについて、返済期限を決めず、お金に余裕ができた時に払えばよく、貸し手も催促しないという、非常に寛大な返済条件のこと。


【英語】
・Pay me back when you can.(返せるときに返してくれればよい)
・You can repay this at your convenience.(都合のよいときに返済してよい)
【類義語】
・出世払い(しゅっせばらい)
「有る時払いの催促無し」の語源・由来
「有る時払いの催促無し」は、「有る時払い」と「催促無し」が結びついてできた言い方です。「有る時払い」は、品物の代金や借金などを、支払う期限を決めず、お金のある時に払うことを指します。そこへ「催促無し」が付くことで、貸した側が返済を急がせないという条件まで含む表現になっています。
このことわざの背景には、金銭の貸借を、人と人との信頼関係の中で行う考え方があります。返済期限を細かく決めるのではなく、借り手の都合がついた時に返せばよいとするため、貸し手にとっては大変おおらかで、借り手にとっては非常に助かる条件です。
近代以前には、このような信頼関係にもとづく寛大な返済条件が広く行われていました。ただし、この言い方は「返さなくてよい」という意味ではありません。返済の義務そのものを消すのではなく、返す時期を相手の都合に任せ、貸し手が催促しないという点に重点があります。
表記としては、現在の辞書類では「有る時払いの催促なし」と書く形も広く用いられます。一方で、「無し」と漢字で書いても、意味の中心は変わりません。「無し」は「ない」という条件を強く示し、催促をしないという約束をはっきり見せる表記です。
昭和45年の小説『花埋み』(渡辺淳一著)には、「ある時払いの催促なし」という形の用例があります。その文脈では、返済を急かされないために日々苦しむことはないものの、相手の好意が分かるだけに、かえってその厚意に報いたいという気持ちが描かれています。
このように、「有る時払いの催促無し」は、単なる支払い方法をいうだけでなく、貸し手の寛大さと、借り手がその好意を受ける重みを含むことわざです。現代では、親しい間柄で「返せる時でいいよ」とやわらかく言う場合にも使われますが、あまりにゆるい約束を表す言い方として、少し注意をこめて使われることもあります。
「有る時払いの催促無し」の使い方




「有る時払いの催促無し」の例文
- 祖父は、急いで返さなくてよいと言って、有る時払いの催促無しで学用品代を貸してくれた。
- 友人の開店資金を、有る時払いの催促無しで貸すには、深い信頼関係が必要だ。
- 有る時払いの催促無しという言葉に甘えすぎず、借りたお金は早めに返すべきだ。
- 叔母は有る時払いの催促無しで旅費を立て替えてくれたが、私は毎月少しずつ返した。
- 会社の先輩は、有る時払いの催促無しのつもりで参考書代を貸してくれた。
- 有る時払いの催促無しという約束でも、返済の記録を残しておくと互いに安心できる。
主な参考文献
・松村明監修『大辞泉 第二版』小学館、2012年。
・北村孝一編『ことわざを知る辞典』小学館、2018年。
・近藤いね子・高野フミ編集主幹『小学館プログレッシブ和英中辞典 第4版』小学館、2011年。
・渡辺淳一『花埋み』河出書房新社、1970年。























