【ことわざ】
嵐の後には凪がくる
【読み方】
あらしのあとにはなぎがくる
【意味】
苦しいことや混乱した状態が続いても、やがて平穏な時期が訪れるというたとえ。


【英語】
・After a storm comes a calm.(嵐の後には凪が来る)
【類義語】
・待てば海路の日和あり(まてばかいろのひよりあり)
・雨降って地固まる(あめふってじかたまる)
・石の上にも三年(いしのうえにもさんねん)
【対義語】
・一難去ってまた一難(いちなんさってまたいちなん)
・弱り目に祟り目(よわりめにたたりめ)
「嵐の後には凪がくる」の語源・由来
「嵐の後には凪がくる」は、荒れた天気のあとに静かな状態が訪れるという自然の移り変わりを、人生や物事のたとえにした言い方です。凪(なぎ)は、風がやんで波がなくなり、海面が静まることを指します。そのため、このことわざでは、嵐が「苦難・混乱」、凪が「平穏・落ち着き」を表します。
この表現は、英語のことわざ “After a storm comes a calm.” に対応する日本語として知られています。英語のこのことわざは、怒りや混乱、苦しい出来事のあとには、相対的に静かで落ち着いた時期が続く、という意味で使われます。
英語圏では、13世紀半ばの宗教書『Ancrene Riwle』に、嵐のあとに静けさをもたらすという祈りに近い表現が出てきます。これは現在のことわざと同じ形ではありませんが、「荒れた状態のあとに静けさが来る」という考え方を早くから示すものです。
14世紀後半の『Piers Plowman』にも、激しいにわか雨のあとには太陽が明るく輝くという発想が出てきます。さらに、C. Holyband『The French Littleton』(1576年)には “After a storme commeth a calme.” という形が出て、Thomas Fuller『Church History of Britain』(1655年)では、現在の形に近い “After a storm comes a calm.” が使われます。
日本語の「嵐の後には凪がくる」は、この英語のことわざを直訳に近い形で受け取った表現です。「calm」を単なる「静けさ」ではなく「凪」と表すことで、嵐のあとに風も波もおさまる海の景色がはっきりします。また、似た発想をもつ「待てば海路の日和あり」は、時化(しけ)が続いても待っていれば航海に適した穏やかな天気になる、じっくり好機を待つたとえです。
したがって、このことわざは、苦しみそのものが必ず価値を生むというより、苦しい状態はいつまでも同じ強さでは続かず、耐えているうちに静かな時間が訪れる、という励ましとして働きます。学校生活、友人関係、家庭、仕事、災害後の立て直しなど、荒れた時期を越えて落ち着きを取り戻す場面で使いやすい表現です。
「嵐の後には凪がくる」の使い方




「嵐の後には凪がくる」の例文
- 大きな失敗で落ち込んだチームも、話し合いを重ねて立て直し、嵐の後には凪がくると実感した。
- 入院中は不安だったが、退院して家族と食卓を囲む時間に、嵐の後には凪がくると思えた。
- 台風で延期になった運動会は、翌週の晴天のもとで行われ、嵐の後には凪がくるという言葉がぴったりだった。
- 店の開店直後はトラブル続きだったが、客足が落ち着き、嵐の後には凪がくるように運営が安定した。
- 友人との誤解でつらい日が続いたが、謝り合った後の穏やかな時間に、嵐の後には凪がくると感じた。
- 長い受験勉強の緊張が合格発表のあとにほどけ、嵐の後には凪がくるという安心が胸に広がった。
主な参考文献
・小学館国語辞典編集部編『デジタル大辞泉』小学館。
・北村孝一編『ことわざを知る辞典』小学館、2018年。
・Jennifer Speake編『The Oxford Dictionary of Proverbs Fifth Edition』Oxford University Press、2008年。
・Martin H. Manser編『The Facts On File Dictionary of Proverbs Second Edition』Facts On File、2007年。























