【ことわざ】
朝曇りに驚く者は所帯持ちが悪い
【読み方】
あさぐもりにおどろくものはしょたいもちがわるい
【意味】
朝の曇り空を見ただけで仕事に出るのをしりごみするような者は、怠け心が強く、家計のやりくりもうまくいかないということ。


【英語】
・If anyone will not work, neither shall he eat.(働こうとしない者は食べることもできない)
・The sluggard will not plow by reason of the cold.(怠け者は寒さを理由に畑を耕さない)
・A lazy person will end up poor.(怠け者はやがて貧しくなる)
【類義語】
・朝寝朝酒は貧乏のもと(あさねあさざけはびんぼうのもと)
・朝寝八石の損(あさねはちこくのそん)
・朝起きは三文の徳(あさおきはさんもんのとく)
【対義語】
・転ばぬ先の杖(ころばぬさきのつえ)
・石橋を叩いて渡る(いしばしをたたいてわたる)
・予防は治療に勝る(よぼうはちりょうにまさる)
「朝曇りに驚く者は所帯持ちが悪い」の語源・由来
このことわざは、名高い一つの故事から生まれたものではなく、朝の天気と働き方を結びつけた暮らしの知恵から育った日本のことわざです。空模様の見方と生活ぶりの評価とが、ひと続きになっているところに特色があります。
まず大事なのは「朝曇り」という言葉です。古くから、朝の曇りはその後に晴れやすいと考える言い方があり、「朝曇りは晴れ、夕曇りは雨」「朝曇り昼日照り」のような近いことわざも伝わっています。
そのため、朝に空が曇っているからといって、すぐ一日をだめだと決めつけるのは早いという感覚が生まれました。夜明けとともに働き始める農家や職人にとって、朝の判断はその日の稼ぎに直結したからです。
このことわざの「驚く」は、ただびっくりするというより、曇り空に気おくれして動き出せなくなることを指しています。少し都合が悪いだけでしりごみする心を、短くきびしく言い当てた言い方です。
つぎの「所帯持ち」は、家族をもって暮らす人という意味と、家計を切り回すことという意味をあわせ持つ言葉です。ですから「所帯持ちが悪い」は、単に結婚生活に向かないという意味ではなく、暮らしを支え、やりくりしていく力が弱いという意味合いになります。
ここで責められているのは、天気そのものではありません。朝の曇りを口実にして働きを鈍らせる心の持ち方、そしてそれが毎日の暮らしにも表れるだろうという見方です。
昔の生活では、今よりも天候と仕事の結びつきが強く、外での労働は空模様に大きく左右されました。それでも、少し曇っただけで仕事を休めば、その積み重ねが家計に響くという実感が、このことわざのうしろにありました。
同じ朝のことわざに、早起きや勤勉をほめるもの、朝寝や怠けをいましめるものが多いのも、そのためです。朝の時間をどう使うかが、暮らしぶりの差になりやすいと考えられていたのです。
こうして、このことわざは、空模様の話でありながら、人柄や生活態度を評する言葉として使われるようになりました。朝の曇りにおびえる姿の中に、先々のやりくりまでうかがえると考えたところに、このことわざの辛口な味わいがあります。
ただし、現代では本当に危険な悪天候や安全上の問題があるときまで、無理に動けという意味で使うのは適切ではありません。台風や大雨を前にして用心することは、怠けとは別の話だからです。
今でもこのことわざは、少しの不安や不便を大きく受け取り、やるべきことから逃げ腰になる人をたしなめる場面で生きています。朝の曇りをきっかけにしながら、実際には働きぶりと暮らしぶりのつながりを教える言葉なのです。
「朝曇りに驚く者は所帯持ちが悪い」の使い方




「朝曇りに驚く者は所帯持ちが悪い」の例文
- 祖父は、朝の曇り空を見ただけで畑仕事を休もうとする父に、朝曇りに驚く者は所帯持ちが悪いと言って送り出した。
- 店を開ける前から空模様だけで弱気になるようでは、朝曇りに驚く者は所帯持ちが悪いという戒めどおり、商いは長続きしない。
- 遠足の日の朝に少し曇っただけで準備をやめたら、朝曇りに驚く者は所帯持ちが悪いと言われてもしかたがない。
- 朝のくもりを理由に配達を後回しにする新人を見て、課長は朝曇りに驚く者は所帯持ちが悪いという古い言葉を思い出した。
- 祭りの手伝いを天気の気配だけで断るのは、朝曇りに驚く者は所帯持ちが悪いという見方に通じる。
- 少しの不安を口実にして動かない人をたしなめるとき、朝曇りに驚く者は所帯持ちが悪いということわざが使われる。























