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「暑さ寒さも彼岸まで」の意味(語源由来・類義語・対義語・英語)
【ことわざ】
暑さ寒さも彼岸まで
【読み方】
あつささむさもひがんまで
【意味】
彼岸を過ぎれば、暑さや寒さは落ち着き、過ごしやすい日々になるということ。
つまり、困難や苦しみも一定の期間が過ぎれば、楽になるってことを教えてくれてるんやな。
彼岸にあたる春分の日と秋分の日は、昼と夜の長さがほぼ同じと言われている。秋は、秋分を境に太陽の日の出が短くなり俗にいう“秋の夜長”になるため、これまでの夏の暑さがやわらぎ過ごしやすくなる。反対に春は、今まで長かった夜が春分を境に太陽の日の出が長くなるため、これまでの厳しかった冬の寒さがやわらぎ過ごしやすくなるという言い伝えからきている。
【類義語】
・寒さの果ても涅槃まで
・暑い寒いも彼岸ぎり
【対義語】
・彼岸過ぎまで七雪
【英語】
・Summer heat and winter cold don’t last after the equinox week.
・Neither summer heat nor winter cold goes beyond the equinox week.
「暑さ寒さも彼岸まで」の解説
「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉、これは春や秋の特別な期間を指す「彼岸」について言及しているんだよ。
「彼岸」っていうのは、一年で二回、春分と秋分の頃にある7日間のことを指していてね。その7日間っていうのは、春分の日や秋分の日を中心に、その前後3日ずつの日を含むんだ。
「春分の日」っていうのは、3月の中頃にあって、それが来ると冬の寒さが徐々に和らいで、気候が春らしくなってくるんだ。それと同じように、「秋分の日」は9月の中頃にあって、それが来ると夏の暑さが次第に引いて、秋の涼しさが広がるんだよ。
それで、「暑さ寒さも彼岸まで」っていう言葉は、「彼岸」の期間がくると、夏の暑さも冬の寒さも和らぎ、過ごしやすい気候になるっていう意味なんだよ。
でも、このことわざにはもう一つの意味もあって、それは人生の困難な時期も時間が経つと良くなるよ、という前向きなメッセージなんだよ。
このことわざは、江戸時代の辞書「諺苑(げんえん)」にも登場するから、その頃にはすでに人々の間でよく使われていたんだろうね。
というわけで、「暑さ寒さも彼岸まで」っていうことわざは、気候だけでなく、人生についての意味も含んでいるんだよ。
「暑さ寒さも彼岸まで」の使い方
「暑さ寒さも彼岸まで」の例文
- 夏バテで倒れてしまいそうだが、暑さ寒さも彼岸までという言葉を信じ頑張って仕事をしよう。
- 暑さ寒さも彼岸までとよくいったもので、今まであんなに寒かった日々も彼岸を機に穏やかになって来た。
- 暑さ寒さも彼岸までというのに、まだまだ暑いですねぇ。
- 暑さ寒さも彼岸までという言葉を信じていたのに、いっこうに涼しくならないじゃないか。
- 今日は春分の日で、とても穏やかな日差しで過ごしやすい日だった。暑さ寒さも彼岸までとはまさにこのことだ。
「暑さ寒さも彼岸まで」北村孝一先生の専門家コラム
ことわざ研究者(ことわざ学会代表理事)。エッセイスト。学習院大学非常勤講師として「ことわざの世界」を講義した(2005年から断続的に2017年3月まで)。
用例や社会的背景を重視し、日本のことわざを実証的に研究する。多くのことわざ資料集を監修し、『故事俗信ことわざ大辞典』第2版(小学館、2012)を編纂・監修した。後者を精選しエッセイを加え、読みやすくした『ことわざを知る辞典』(小学館、2018)も編んでいる。視野を世界にひろげ、西洋から入ってきた日本語のことわざの研究や、世界のことわざを比較研究した著書や論考も少なくない。近年は、研究を続けるほか、〈ミニマムで学ぶことわざ〉シリーズ(クレス出版)の監修や、子ども向けの本の執筆にも取り組んでいる。