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【暑さ寒さも彼岸まで】の意味と使い方や例文!語源由来は?(類義語)

暑さ寒さも彼岸まで

【ことわざ】
暑さ寒さも彼岸まで

【読み方】
あつささむさもひがんまで

【意味】
きびしい残暑も秋の彼岸ごろには弱まり、冬の余寒も春の彼岸ごろにはやわらぐということ。季節の変わり目を、人の体感に即して言い表すことわざ。

ことわざ博士
暑さ寒さも彼岸までは、夏や冬のきびしさがいつまでも続くわけではないという季節の経験則を表しているよ。
助手ねこ
春先の寒さや秋口の暑さに疲れたとき、もう少しで過ごしやすくなるという見通しを述べる場面で用いるニャン。

【類義語】
・暑い寒いも彼岸まで(あついさむいもひがんまで)
・暑さ寒さも彼岸ぎり(あつささむさもひがんぎり)

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「暑さ寒さも彼岸まで」の語源・由来

ことわざを深掘り

「彼岸(ひがん)」は、もとは仏教に関わる言葉です。仏教では、迷いや苦しみのあるこちら側の世界を「此岸(しがん)」といい、そこから離れた悟りの境地や涅槃(ねはん)を「彼岸」と表します。つまり、もともとの「彼岸」は、季節そのものを表す言葉ではなく、向こう岸にたとえられた理想の境地を指す言葉でした。

日本では、この「彼岸」が暦(こよみ)の中の行事名としても定着しました。春分・秋分の日を中日(ちゅうにち)とし、その前後三日ずつを合わせた七日間を彼岸と呼びます。春分・秋分のころは昼と夜の長さがほぼ等しく、季節の折り返しを感じやすい時期でもあります。

このことわざは、そうした彼岸の時期と、日本の季節感とが結びついて生まれた表現です。春の彼岸ごろには、冬のあとの名残の寒さが少しずつやわらぎます。秋の彼岸ごろには、夏のあとの残暑がしだいに衰えます。そのため、暑さも寒さも「彼岸まで」を一つの目安としてとらえる言い方が、暮らしの中で自然に使われるようになりました。

文献の上では、『諺苑(げんえん)』(1797年・江戸時代後期、太田全斎著)に「暑い寒いも彼岸まで」という形が出てきます。『諺苑』は、俗語や俗諺(ぞくげん)を集め、語釈や出典を示した江戸時代の国語辞書です。この形は、今の「暑さ寒さも彼岸まで」とほぼ同じ意味を表す古い言い方として大切です。

また、近代の文章にも、この言葉が土地の人々の実感をこめた言い回しとして使われています。島崎藤村の『千曲川のスケッチ』(1912年)には、「熱い寒いも彼岸まで」という形があり、長い冬を越えて彼岸を聞くとほっとする、という春先の感覚が描かれています。これは、単なる暦の知識ではなく、寒さを耐えてきた人の体感に根ざした表現として、このことわざが生きていたことを示しています。

ただし、春の彼岸と秋の彼岸の気温が同じくらいになるという意味ではありません。春は冬の寒さに慣れた体に暖かさが感じられ、秋は夏の暑さを過ぎた体に涼しさが感じられます。このことわざは、温度計の数字そのものよりも、人間が季節の移り変わりをどう感じるかを言い表したものといえます。

「暑さ寒さも彼岸まで」は、仏教語としての「彼岸」、日本の暦の行事、春と秋の体感の変化が重なってできたことわざです。きびしい季節もやがて過ぎるという、自然のめぐりへの安心感がこめられているため、今でも春先や秋口のあいさつ、天候についての会話の中でよく使われます。

「暑さ寒さも彼岸まで」の使い方

健太
今日の登校、手がかじかんで鉛筆を持つのも大変だったよ。
ともこ
でも、もう春の彼岸が近いよ。暑さ寒さも彼岸までって、おばあちゃんがよく言っていたよ。
健太
本当に? じゃあ、あと少しで外のドッジボールも寒くなく遊べるかな!
ともこ
うん。マフラーはまだいるけれど、来週は少し春らしくなるかもしれないね。
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「暑さ寒さも彼岸まで」の例文

  • 暑さ寒さも彼岸までという通り、九月の終わりになると朝の風が涼しくなった。
  • 祖母は、三月の冷たい雨を見ながら、暑さ寒さも彼岸までだからもう少しの辛抱だと言った。
  • 暑さ寒さも彼岸までとはいえ、今年の残暑は彼岸を過ぎてもなかなかおさまらなかった。
  • 長く続いた冬の寒さも、暑さ寒さも彼岸までという言葉の通り、少しずつやわらいできた。
  • 町内の彼岸の墓参りの日には、暑さ寒さも彼岸までを思わせる穏やかな風が吹いていた。
  • 店先の秋物の服を見て、暑さ寒さも彼岸までという季節の移り変わりを実感した。

主な参考文献
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・北村孝一編『ことわざを知る辞典』小学館、2018年。
・小学館国語辞典編集部編『デジタル大辞泉』小学館。
・太田全斎『諺苑』1797年。
・島崎藤村『千曲川のスケッチ』1912年。





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