【ことわざ】
家に鼠、国に盗人
【読み方】
いえにねずみ、くににぬすびと
【意味】
家には鼠がいて、国には盗人がいるように、どこにも害やわずらわしさをもたらす者はいるということ。そうしたものをすべてなくすのはむずかしいというたとえ。


【英語】
・No house is without mice, and no country without thieves(どの家にも鼠がおり、どの国にも盗人がいる)
・Troublemakers can be found anywhere(困らせるものや人はどこにでもいる)
・Every place has its own pests(どこにもそれぞれの困りものがいる)
【類義語】
・無くて七癖(なくてななくせ)
・人に盗人心あり(ひとにぬすびとごころあり)
【対義語】
・家内安全(かないあんぜん)
・天下泰平(てんかたいへい)
「家に鼠、国に盗人」の語源・由来
このことわざは、家と国という二つの場を並べて、それぞれに付きまといやすい困りものを言い表したものです。家には鼠、国には盗人という取り合わせが、とても分かりやすい形になっています。
家の鼠は、食べ物をかじったり、物をいためたりして、暮らしにじわじわと害を与えます。昔の家では、今よりも鼠の被害が身近で、家の中の厄介ものとして強く意識されていました。
一方、国の盗人は、社会の秩序を乱し、人びとの安心をこわす存在です。家の鼠が家の中の害なら、盗人は国の中の害だという対応になっています。
このため、このことわざは、どんな場所にも、その場所なりの困りものがいる、という見方を短くまとめた言い方になりました。家と国を並べることで、小さな場から大きな場まで、完全にはなくならない厄介ごとを言い表しています。
このことわざについては、特定の一つの有名な故事に結びつくというより、暮らしの実感から生まれたことわざとして読むのが自然です。家で鼠に悩まされることも、国で盗人に悩まされることも、昔の人には身近な現実でした。
そこから、鼠や盗人そのものを指すだけでなく、どこにでもいくらかはいる困りもの、悪事を働く者、完全には消えない害という意味へ広がっていきました。たとえば、組や集まりの中に、いつも少しは規則を破る人がいる、といった場面にも重ねやすい言い方です。
ただし、このことわざは、悪いものがいるのだから仕方がない、と投げ出すための言葉ではありません。なくしきれないと分かったうえで、用心したり、減らしたりする工夫がいる、という受け取り方のほうが自然です。
家の鼠も、戸だなを閉めたり、食べ物をしまったりして減らそうとします。国の盗人も、決まりを整えたり、見回りをしたりして防ごうとします。
そう考えると、このことわざは、困りものはどこにもいるという現実を言いながら、同時に、それに対して油断しない気持ちもふくんでいると分かります。ただ嘆くのではなく、世の中を冷静に見る視点があるのです。
言い方は古くても、今の生活にも通じるところがあります。学校にも町にも、なくなってほしい困りごとはありますが、一度で全部きれいに消すのはむずかしいからです。
だから家に鼠、国に盗人は、世の中には完全にはなくならない困りものがある、ということを端的に示すことわざです。そして、その現実を知ったうえで、どう守るか、どう減らすかを考える大切さも、そっと教えてくれる言葉です。
「家に鼠、国に盗人」の使い方




「家に鼠、国に盗人」の例文
- 学級文庫の本に毎月いたずら書きが見つかるたび、家に鼠、国に盗人という言葉を思い出す。
- 台所の食べ物をしまっても鼠の気配が絶えず、祖父は家に鼠、国に盗人だと苦笑した。
- 約束を何度も破る友だちがいて、どの集まりにも困りものはいるという意味で家に鼠、国に盗人を口にした。
- 祭りの会計で少額の持ち出しが毎年見つかり、古くから家に鼠、国に盗人と言う理由が分かる気がした。
- 職場で規則をくぐろうとする人が出るたび、上司は家に鼠、国に盗人だから点検を怠るなと言った。
- 社会の中から不正を一度でなくすむずかしさを考えると、家に鼠、国に盗人ということわざは重みをもつ。























