【ことわざ】
芋茎で足を突く
【読み方】
いもがらであしをつく
【意味】
かよわいものに痛めつけられること。油断して思わぬ失敗をすること。また、ありえないほど大げさなことのたとえ。


【英語】
・be caught off guard(不意を突かれる)
・get tripped up(思わぬところで失敗する)
【類義語】
・長芋で足を突く(ながいもであしをつく)
・黄牛に腹突かる(あめうしにはらつかる)
【対義語】
・転ばぬ先の杖(ころばぬさきのつえ)
・石橋を叩いて渡る(いしばしをたたいてわたる)
「芋茎で足を突く」の語源・由来
このことわざの「芋茎」は、「いもがら」と読みます。芋幹・芋茎は、サトイモの長い葉柄、またはそれを干したものを指し、食用にもされてきました。
もとの形としては、「芋幹で足を衝く」という表記がよく確認できます。「芋幹」は「芋茎」とも書き、「衝く」は「突く」とも書くため、現在の「芋茎で足を突く」は、その異なる表記の一つです。
芋茎は、刀や針のように人を傷つけるものではありません。そのため、「芋茎で足を突く」という言い方は、本来なら足を痛めるとは思えないものにやられる、という意外さを土台にしています。
この意外さから、第一に「かよわいものに痛めつけられること」という意味が生まれます。そこから、弱い相手や小さなことを見くびって、思わぬ失策をするという意味へつながります。
さらに、この言い方には「大げさなこと」「ありえないこと」という意味もあります。柔らかい芋茎で足を突かれて大けがをするような話は、ふつうには考えにくいため、実際以上に大きく言うたとえとしても使われます。
古い用例として重要なのは、『諺苑』(1797年・江戸時代後期、太田全斎著)に出てくる形です。『諺苑』は、江戸時代の言葉を集めた七巻の書物で、いろはの順に語を配し、意味や出典を示す形をとっています。
『諺苑』には、このことわざに近い表現として「芋幹で足を衝く」が示され、あわせて「黄牛に腹突かる」という近い言い方も伝わっています。どちらも、油断しているところを思わぬ相手や状況に突かれる、という発想をもっています。
この言葉は、現実に芋茎で足を強く傷つける話から生まれたというより、ありえなさを利用したたとえとして理解すると分かりやすい表現です。弱いものでも、軽く見ると失敗につながるという戒めと、そんなことは大げさだという笑いの両方を含んでいます。
表記の面では、「芋幹」「芋茎」、「衝く」「突く」が併用されます。見た目は少し違っても、「いもがらであしをつく」と読み、意味は同じ流れに属します。
現在の使い方では、相手を弱いと思って油断したときや、簡単な作業だと思って手を抜いたときの失敗に当てはめやすいことわざです。また、少しの失敗を必要以上に大事件のように言う場合にも、「芋茎で足を突くようだ」と表せます。
「芋茎で足を突く」の使い方




「芋茎で足を突く」の例文
- 強い相手ばかり警戒していたチームが、最下位のチームに逆転負けし、芋茎で足を突く結果となった。
- 簡単な計算だと思って暗算で済ませたため、合計金額を誤り、芋茎で足を突くことになった。
- 古い道具だから問題ないと点検を省いた作業員は、小さな部品の破損で工程を止め、芋茎で足を突くことになった。
- 提出前の名前の書き忘れで答案が減点され、芋茎で足を突くような失敗になった。
- 新人だからと相手の発表を軽く見た代表者は、鋭い質問に答えられず、芋茎で足を突くことになった。
- 少し転んだだけで大けがのように騒ぐ様子は、芋茎で足を突くという言い方に近い。
主な参考文献
・小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005〜2006年。
・小学館『大辞泉 第二版』小学館、2012年。
・北村孝一編『ことわざを知る辞典』小学館、2018年。
・太田全斎著、頼惟勤解説『諺苑 春風館本』新生社、1966年。























