【一升徳利に二升は入らぬ】の意味と使い方や例文!語源由来は?(類義語・英語)

一升徳利に二升は入らぬ

【ことわざ】
一升徳利に二升は入らぬ

【読み方】
いっしょうどっくりににしょうははいらぬ

【意味】
ものには限度があり、それ以上を望んでも無理だということ。能力や容量を超えたことは、どれほど求めても実現しにくいというたとえ。

ことわざ博士
「一升徳利に二升は入らぬ」は、一升入りの徳利に二升は入らないという事実から、能力や容量の限界を示す表現なんだよ。
助手ねこ
人の力、時間、場所、道具などに、無理な量や働きを求める場面で用いるニャン。

【英語】
・You cannot get a quart into a pint pot(大きすぎるものは小さい入れ物に入らない)

【類義語】
・一升入る壺は一升(いっしょういるつぼはいっしょう)

「一升徳利に二升は入らぬ」の語源・由来

ことわざを深掘り

「一升徳利に二升は入らぬ」は、容量の決まった入れ物には、それを超える量は入らないという、ごく具体的な事実から生まれたことわざです。一升は、尺貫法(しゃっかんほう)の容量の単位で、一合の十倍、約一・八リットルに当たります。

徳利(とっくり)は、酒を入れて杯に注ぐための容器で、口が狭く、胴のふくらんだ形のものが多い器です。徳利という名は室町時代中期から使われ、酒だけでなく、しょうゆや酢などの液体を入れる容器にも用いられました。大きさもさまざまで、五合から一升入りの徳利は、酒店の貸容器としても使われました。

このことわざは、「一升入る壺は一升」という、同じ考え方を表す言い方の一つとして理解できます。この形では、「壺」のほかに「瓶」「徳利」「柄杓」「瓢箪」「袋」などを入れ替えていうことがあり、一升入りの容器には、どうしても一升以上は入らない、つまり、ものには限度があるという意味を表します。

古い用例としては、鎌倉時代の仏教説話集『沙石集(しゃせきしゅう)』(1283年成立、無住一円著)に、近い形が出てきます。『沙石集』は、霊験談・高僧伝・笑話などを収めた仏教説話集で、庶民にも分かりやすい話を通して、仏教や処世の考え方を伝える作品です。

『沙石集』巻八「貧窮を追ひ出だす事」には、貧しさに苦しむ弟子が、ほかの国へ行こうとして、師に別れを願う場面があります。そこで師は、「一升入る瓶は、いづくにても一升入るぞ」と言います。これは、一升入る瓶は、どこへ行っても一升しか入らない、という意味です。

この話では、場所を変えれば貧しさから逃れられると考える弟子に対して、師が「生まれもった分や身のほどを超えて、むやみに望みすぎてはならない」と諭しています。ここでは、容器の容量というたとえが、人の境遇や望みの限度を考える言葉として使われています。

後の形では、「壺」「瓶」などが「徳利」に変わり、さらに「二升は入らぬ」として、入れようとする量が容器の倍であることをはっきり示す言い方になりました。「一升」と「二升」を対にすることで、限度を超えた要求の無理さが、いっそう分かりやすく表されています。

現在の「一升徳利に二升は入らぬ」は、入れ物そのものの話に限らず、人の能力、時間、予算、場所などにも広げて使います。たとえば、一人でできる量をはるかに超えた仕事を任せる場合や、小さな場所に多くの物を詰めこもうとする場合に、このことわざは、限界を知り、無理のない考え方をすることの大切さを教えています。

「一升徳利に二升は入らぬ」の使い方

ともこ
そんなにたくさんの習い事を一度に始めて大丈夫?毎日夜遅くまで大変そうだよ。
健太
大丈夫、大丈夫!ピアノに水泳、さらに塾の特別特訓も追加したんだ。全部こなして見せるよ。
ともこ
でも、昨日の授業中も眠そうだったじゃない。一升徳利に二升は入らぬと言うし、無理をすると体調を崩しちゃうよ。
健太
うーん、確かに昨日は宿題が終わらなくて泣きそうだったんだ……。少し整理して、集中できる分だけに絞ってみることにするよ!

「一升徳利に二升は入らぬ」の例文

例文
  • 小さなかばんに一週間分の荷物を詰めようとしても、一升徳利に二升は入らぬ。
  • 一人の担当者に五人分の仕事を任せるのは、一升徳利に二升は入らぬというものだ。
  • 一時間で自由研究のまとめを全部終わらせる計画は、一升徳利に二升は入らぬ。
  • 狭い教室に全校児童を集めようとしても、一升徳利に二升は入らぬ。
  • 予算を考えずに高価な備品ばかり選ぶのは、一升徳利に二升は入らぬという考え方に反する。
  • 体力を超えて練習を続けても、一升徳利に二升は入らぬで、かえって集中力が落ちる。

主な参考文献
・小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005〜2006年。
・松村明監修、小学館大辞泉編集部編『大辞泉 第二版』小学館、2012年。
・小学館『日本大百科全書』小学館、1984〜1994年。
・無住一円『沙石集』1283年成立。
・Elizabeth Knowles ed., 『The Oxford Dictionary of Phrase and Fable, 2nd edition』Oxford University Press, 2005.




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