【慣用句】
家に杖つく
【読み方】
いえにつえつく
【意味】
自分の立場や言い分を、後へ引けないところまで強く押し通そうとすること。最後まで言い張って、退くすきのない状態にすること。


【英語】
・to press one’s claim to the bitter end(言い分を最後まで強く押し通す)
・to stick stubbornly to one’s position(自分の立場に強くしがみつく)
・to push a matter so hard that there is no retreat(後へ引けないほど強く押す)
【類義語】
・食い下がる(くいさがる)
・一歩も引かない(いっぽもひかない)
・後へは引けぬ(あとへはひけぬ)
【対義語】
・身を引く(みをひく)
・矛を収める(ほこをおさめる)
・折り合いをつける(おりあいをつける)
「家に杖つく」の語源・由来
この慣用句は、「家」と「杖つく」という二つの言葉からできています。どちらもふつうの言葉ですが、合わせると、ただ家に帰るとか、家の中で杖を使うという意味ではなくなります。
「杖つく」は、文字どおりには杖を地につくことです。杖に体をあずけて立つ姿には、そこにとどまる感じや、動かずに構える感じが出ます。
そこへ「家に」が加わることで、だれかの家まで押しかけ、そこで踏みとどまって言い分を通そうとするような、強い姿が思いうかびます。こうした言葉の形から、この慣用句の意味が分かるようになっています。
この慣用句には、ただ意見を言うだけではなく、相手に強く迫り、しかも自分でも引っこみがつかなくなる感じがあります。だから、強情に出ることや、最後まで押しきろうとすることを表す言い方として使われます。
ここで大事なのは、「強く主張すること」と「家に杖つく」が同じではないことです。理由をきちんと述べることや、ねばり強く説明することそのものを指すのではなく、もう後へは引けないほど押し出しているところに、この慣用句らしさがあります。
そのため、この言い方には少しきつい響きがあります。聞き手が、そこまで言うのか、そこまで押すのか、と感じるような場面で使われやすいのです。
はっきりした一つの故事が広く知られている慣用句ではなく、言葉の姿そのものが意味を支えているタイプだと考えると、意味がつかみやすくなります。だれかの家まで行き、杖をついて動かないような強い出方を思うと、なぜ「引けない」「押し通す」という意味になるのかが分かります。
昔の言い回しには、動作や姿をそのまま気持ちや態度に重ねるものが少なくありません。この慣用句もその一つで、見える動きがそのまま心の強張りや、態度の押しの強さにつながっています。
今では、本当に家まで行く場面にかぎらず、会議、相談、交渉、言い争いなど、いろいろな場面に広がって使われます。実際の場所よりも、態度の強さや、引く余地のなさを表すほうが大事になっているのです。
だから「家に杖つく」は、強い決意をほめる言葉ではありません。言い分を通そうとして、自分でも退きにくい形を作ってしまうことを、少しきびしく言う表現として受け取るのが自然です。
この慣用句を読むときは、杖をついてその場を動かない姿を思い浮かべるとよいでしょう。そうすると、自分の立場にしがみつき、相手にも強く迫る感じが、短い言葉の中からはっきり伝わってきます。
「家に杖つく」の使い方




「家に杖つく」の例文
- 学級会で自分の案を何度も押し通し、もう家に杖つく形になってしまった。
- 夕食の献立で強く言い張りすぎた兄は、家に杖ついて自分でも引けなくなった。
- 友だち同士の遊びの計画で家に杖つくように主張すると、あとで気まずくなりやすい。
- 文化祭の出し物で家に杖つくほど案を押した以上、準備の中心になるのは当然だった。
- 会議で家に杖つくように新しい方法を求めた社員は、実行の責任も負うことになった。
- 交渉の場で家に杖つく態度をとれば、相手との折り合いはつきにくくなる。























