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【怪我の功名】の意味と使い方や例文!語源由来は?(類義語・対義語・英語)

「怪我の功名」の漫画

【ことわざ】
怪我の功名

【読み方】
けがのこうみょう

【意味】
失敗や過ち、災難と思われたことが、思いがけずよい結果を生むこと。

ことわざ博士
怪我の功名は、ねらって成功したのではなく、偶然の失敗や手違いが結果として役に立つことを表すよ。
助手ねこ
最初は失敗に見えた行動が、あとになって予想外の成果につながった場面で用いるニャン。

【英語】
・A blessing in disguise(一見悪いことに見えて、実は幸運だったこと)
・Every cloud has a silver lining(どんな不運にもよい面がある)
・A fortunate accident(幸運な偶然)

【類義語】
・災い転じて福となす(わざわいてんじてふくとなす)
・瓢箪から駒(ひょうたんからこま)
・物怪の幸い(もっけのさいわい)

【対義語】
・骨折り損のくたびれ儲け(ほねおりぞんのくたびれもうけ)

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「怪我の功名」の語源・由来

ことわざを深掘り

「怪我の功名」は、過失や災難と思われたことが、思いがけず好結果をもたらすことをいうことわざです。ここで大切なのは、よい結果が本人の計画や努力だけで生まれたのではなく、失敗や偶然が思わぬ形で役に立った、という点です。

この「怪我」は、現在よく使う「体に傷を負うこと」という意味だけではなく、過ちやしくじりを指す言葉として働いています。「功名」は、手柄を立てて名をあげること、またはその手柄を表す言葉です。古くは「功名」が「高名」と関係して用いられたこともあり、名が高くなるような成果を意味する流れをもっています。

古い用例として、『日葡辞書(にっぽじしょ)』(1603〜1604年、イエズス会宣教師たちと日本人協力者により編纂)に、この表現が収められています。『日葡辞書』は日本語の見出しにポルトガル語で訳語や説明を付けた辞書で、当時の日本語の姿を伝える重要な文献です。そこに「怪我の功名」が入っていることから、江戸時代初めごろには、過ちが思わぬ手柄になるという言い方がすでに使われていたことが分かります。

近い形として、「過ちの功名」という言い方もあります。『世話尽(せわづくし)』(1656年・江戸時代前期、皆虚編)には、「過の功名」が出てきます。この表現も、失敗したことがかえって幸いし、よい結果を生むという意味で、「怪我の功名」と同じ考え方を示しています。

「怪我の功名」という形では、「怪我」と「功名」という対照的な言葉の取り合わせが、ことわざらしいおもしろさを生んでいます。ふつうなら悪い結果を思わせる「怪我」や「過ち」が、かえって「功名」、つまり手柄のような結果につながるため、言葉の中に意外性があります。この意外性が、失敗をただの失敗で終わらせず、思わぬ好結果としてとらえる見方につながっています。

後の時代にも、このことわざは自然な言い回しとして使われていきました。たとえば、丸谷才一『年の残り』(1968年)や手塚治虫『ぼくはマンガ家』(1969年)にも用例があり、意図しなかったことが結果としてよい効果を生んだ場面で使われています。近代以後も、偶然の失敗がよい方向へ転じる表現として広く受け入れられてきたことが分かります。

ただし、「怪我の功名」は、実際にけがをした人に向かって使う言葉ではありません。負傷を話題にして冗談のように使うこともありますが、本来の意味は、過ちや災難と思われたことが偶然よい結果になることにあります。したがって、相手が痛みや損害を受けている場面では、軽々しく使わないほうがよい表現です。

現在では、失敗から思いがけない成果が生まれたときや、手違いがかえってよい発見につながったときに使われます。成功をほめるだけでなく、「最初は失敗だったけれど、結果としてはよかった」という、少し控えめで味わいのある見方を表すことわざです。

「怪我の功名」の使い方

健太
図工で絵の具をこぼして、空の色がにじんでしまったんだ。
ともこ
でも、そのにじみが夕焼けの雲みたいで、とても自然に見えるよ。先生も表現が面白いって言っていたよ?
健太
本当だ。失敗だと思ったけれど、怪我の功名で、前より雰囲気のある絵になったみたいだね。
ともこ
うん!次はこぼさないように気をつけながら、そのにじみ方をわざと使えるようになるといいね。
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「怪我の功名」の例文

怪我の功名
  • 道を一本まちがえたおかげで評判のよい本屋を見つけたのは、怪我の功名だった。
  • 発表資料の順番を入れ替えてしまったが、説明の流れがかえって分かりやすくなり、怪我の功名となった。
  • 料理で砂糖を少し入れすぎたものの、味にこくが出て家族に好評だったのは怪我の功名だ。
  • 雨で遠足の予定が変わったが、屋内見学で貴重な展示を見られたのは怪我の功名だった。
  • 仕事の書類を作り直すことになったが、その途中で大きな計算ミスに気づき、怪我の功名となった。
  • 練習試合で負けたことが弱点を知るきっかけになり、本番の勝利につながったのは怪我の功名といえる。

主な参考文献
・松村明監修、小学館大辞泉編集部編『大辞泉 第二版』小学館、2012年。
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・北村孝一編『ことわざを知る辞典』小学館、2018年。
・イエズス会宣教師たち・日本人協力者編『日葡辞書』1603〜1604年。
・皆虚編『世話尽』1656年。
・Cambridge University Press『Cambridge Dictionary』Cambridge University Press。





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