【故事成語】
丘山は曳くきを積みて高きを為す
【読み方】
きゅうざんはひくきをつみてたかきをなす
【意味】
小さなものでも、数多く積み重ねれば、やがて大きなものになるというたとえ。


【英語】
・Many a little makes a mickle.(小さなものも数多く集まれば大きなものになる)
【類義語】
・塵も積もれば山となる(ちりもつもればやまとなる)
・九層の台は累土より起こる(きゅうそうのうてなはるいどよりおこる)
・水積もりて川を成す(みずつもりてかわをなす)
「丘山は曳くきを積みて高きを為す」の故事
「丘山は曳くきを積みて高きを為す」は、中国の古典『荘子(そうじ)』「則陽(そくよう)」に出てくる「丘山積卑而為高」という一節にもとづく表現です。『荘子』は、中国の戦国時代に生きた荘周と、その思想を受け継いだ人々の文章を集めた道家の古典で、「則陽」は、現在伝わる三十三篇のうち雑篇に含まれます。
見出しのように「曳くき」と書く形も、現代のことわざ集などで使われています。ただし、『荘子』の原文にある文字は「曳」ではなく「卑」であり、原典に即した書き下しは「丘山は卑きを積みて高きを為す」となります。ここでいう「卑き」は、身分が低いという意味ではなく、高い山に対する低い土や石を表しています。
「則陽」では、少知が大公調に「丘里の言とは何か」と尋ねます。大公調は、村里では多くの姓や名をもつ人々が集まり、一つの風俗を形づくると答えました。異なるものが集まって一つとなり、一つのものも、分けて見れば異なる多くの部分から成り立っているという考え方です。
大公調は、そのことを馬の体にたとえます。馬の頭・足・胴などを一つずつ指しても、それだけでは馬そのものではありません。しかし、それらの部分がまとまって目の前に立つとき、全体を馬と呼ぶことができます。大きな一つのものは、多くの異なる部分が集まることによって成り立つという説明です。
そのあとに、「是故丘山積卑而為高、江河合水而為大、大人合并而為公」と続きます。「そのため、丘や山は低い土や石を積んで高くなり、大河は多くの水を合わせて大きくなり、すぐれた人物は多くのものを受け入れて公平になる」という意味です。
原文では、丘や山だけでなく、川や人物も並べています。小さな土が集まって高い山となり、細かな水が合わさって大河となるように、多くの異なるものを受け入れることによって、より大きな全体が生まれると述べているのです。単に努力を続けることだけでなく、さまざまな部分を広く合わせることの大切さも含んでいます。
日本語の故事成語としては、この中から山のたとえが取り出され、小さなものやわずかな努力でも、積み重なれば大きな成果になるという意味で用いられています。「塵も積もれば山となる」や「九層の台は累土より起こる」と同じく、大きな物事も初めから大きいのではなく、小さな一歩を積み重ねることによって生まれると教える表現です。
「丘山は曳くきを積みて高きを為す」の使い方




「丘山は曳くきを積みて高きを為す」の例文
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主な参考文献
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・北村孝一編『ことわざを知る辞典』小学館、2018年。
・Jennifer Speake編『The Oxford Dictionary of Proverbs 第5版』Oxford University Press,2008.
・金谷治訳注『荘子 第四冊 雑篇』岩波書店、1983年。
・『荘子』雑篇「則陽」。























