【ことわざ】
汚く稼いで清く暮らせ
【読み方】
きたなくかせいできよくくらせ
【意味】
世間体を気にせず懸命に金を稼ぎ、そのかわり使うときは惜しまず、すがすがしく暮らせということ。


【類義語】
・汚く集めてきれいに使う(きたなくあつめてきれいにつかう)
・汚く儲けてきれいに使え(きたなくもうけてきれいにつかえ)
【対義語】
・きれいな商売をして汚く暮らす(きれいなしょうばいをしてきたなくくらす)
「汚く稼いで清く暮らせ」の語源・由来
「汚く稼いで清く暮らせ」は、金銭を得るときの苦労や世間体と、得た金銭でどう暮らすかを対にして言い表したことわざです。この言葉そのものは、稼ぐときにはがめついほどに金儲けに励み、使うときには惜しまず使ってすがすがしく生活せよ、という意味で伝わっています。
「汚く」は、ただ不潔であるというだけでなく、物事の見た目ややり方が整っていないこと、また道徳的に好ましくないことにも広がって使われる言葉です。このことわざでは、泥や汗にまみれる仕事、世間からきれいに見られにくい仕事、また金銭を得るための強い働き方をまとめて表しています。
「稼ぐ」は、働いて収入を得ることを表します。そのため、このことわざの前半は、体面ばかりを気にして働く機会を避けるのではなく、生活のために力を尽くして収入を得る姿勢を示しています。
「清く」は、けがれがなく、さっぱりしていることを表す言葉です。後半の「清く暮らせ」は、得た金銭を卑しく抱え込むのではなく、使うべきところで使い、心持ちをさっぱりさせて生活することにつながっています。
このことわざには、近い形として「汚く過ぎて清く食え」という言い方もあります。こちらは、日々を送るための働き方が泥くさくても、食べるときや暮らすときには清らかな心でいよ、という方向で受け取ることができます。
また、「汚く集めてきれいに使う」「汚く儲けてきれいに使え」という近い言い方もあります。これらは、金を集める段階と、金を使う段階を分けて考え、金銭そのものよりも、使い方に人の品性が出るという見方を含んでいます。
ただし、このことわざは、盗みや人をだます行為など、明らかに悪い方法で金を得ることを正しいと教える言葉ではありません。「汚く」という強い言い方によって、見栄や世間体にとらわれず、生活のために働く厳しさを表していると受け止めるほうが、学習用の解説としては穏当です。
ことわざや俗言は、人間生活の経験に基づいて生まれ、長い時間をかけて人から人へ伝えられてきた短い言葉です。この表現も、特定の古典の人物や一つの事件から生まれたものというより、働くこと、金を得ること、金を使うことへの生活上の考え方を短くまとめた言い方です。
「暮らす」は、日々を過ごし、生計を立てていくことを表します。したがって、このことわざの結びは、ただ金を使い切るというだけではなく、稼いだ後の暮らしをさっぱりと整えることに重きがあります。
現在、このことわざを使うときは、働き方の泥くささを恥じず、得たお金をいやしくため込まず、必要なことに気持ちよく使うという意味で用いるのがよいでしょう。前半だけを切り取ると誤解を招きやすいため、後半の「清く暮らせ」まで含めて理解することが大切です。
「汚く稼いで清く暮らせ」の使い方




「汚く稼いで清く暮らせ」の例文
- 父は若いころ、泥だらけになる仕事も断らず、汚く稼いで清く暮らせを実践していた。
- 汚く稼いで清く暮らせという言葉には、見栄よりも働くことを重んじる考えがある。
- 祖母は、商売で得た金を地域の行事に惜しまず出し、汚く稼いで清く暮らせの精神を大切にした。
- 汚く稼いで清く暮らせは、不正をすすめる言葉ではなく、働く苦労と金の使い方を考えさせることわざだ。
- 汗を流して得た報酬を家族のために使う姿は、汚く稼いで清く暮らせという言葉に通じる。
- 兄はアルバイトで大変な作業を引き受け、汚く稼いで清く暮らせと言って、給料の一部を寄付した。
主な参考文献
・日本語研究会編『よくわかる使いやすいことわざ・故事・俗言・辞典』同文書院、1998年。
・佐竹秀雄・武田勝昭・伊藤高雄編、北村孝一監修『故事俗信ことわざ大辞典 第二版』小学館、2012年。
・小学館国語辞典編集部編『デジタル大辞泉』小学館。
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005〜2006年。























