【慣用句】
虫の知らせ
【読み方】
むしのしらせ
【意味】
何の根拠もないのに、よくない出来事が起こりそうだと心に感ずること。
【語源由来】
人の体の中にいる虫が、悪いことを知らせるということから。
「虫の知らせ」の使い方
「虫の知らせ」の例文
- あの夜、たまたま目が覚めたのは、虫の知らせだったのだろうか、隣の家が火事になっていることに早く気付くことができた。
- 虫の知らせがあったのか、祖父は亡くなる一月前から急に身辺の整理をしていたらしい。
- 電話が鳴ったので、放っておこうかと思ったが、重い手をのばしたのは虫の知らせだったろうか。
- 虫の知らせというやつなのか、なにかいまにこの島で、恐ろしいことが起こるんじゃないかという気がして、探偵さんを呼んだんです。
- 彼が飛行機に乗るとき、なんだか虫の知らせで胸がざわついたので、思わず彼の手を取った。
【注意!】間違った例文
❌「登校中に急に思いついて回り道をしたら、大好きな子にばったり会った。虫の知らせだね。」
「虫の知らせ」を深掘り
「虫の知らせ」という慣用句は、何も知らせられていないのに、何か起こったことや変わった状況を直感的に感じ取ることを指します。
日常的には、なぜか予感が当たったり、突然の違和感から特定の事象や人物を思い浮かべることなどをこの慣用句で表現することがあります。
上記の文章で触れられている研究は、「虫の知らせ」が科学的な背景を持つかのように解釈できます。
具体的には、ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンのツーピンとグイヤデールの研究では、直感的な判断を重視した方が、ある場面で正解率が高くなることが示されています。
また、直観という概念も紹介されており、これは経験や訓練によって養われる直接的な判断力を指すものです。
理化学研究所の脳科学総合研究センターのワンらの研究によれば、熟練度や経験を積んだ者は、直観的に状況を正確に判断する能力が高まることが示唆されています。
さらに、ワシントン大学のレイクルらの研究からは、ぼーっとしているときの脳が非常に活発に動き、アイデアが湧きやすくなるとの結果が出ています。
この状態は「デフォールト・モード・ネットワーク」と呼ばれ、脳がアイドリング状態のように働いていることが示されています。
これらの研究から、人は経験や知識を背景に、特定の状況や変化を直感的、あるいは直観的に察知する能力を持っていることがわかります。この能力は、日常生活の中で「虫の知らせ」として表現されることがあるかもしれません。
科学的には、人の脳が持つ直感や直観の力が、独特の状況判断や予感として現れることを示していると言えるでしょう。
参考文献
このことわざ、科学的に立証されているんです | 堀田 秀吾