【慣用句】
瓜二つ
【読み方】
うりふたつ
【意味】
親子や兄弟など、二人の顔かたちや姿が、見分けにくいほどよく似ていることのたとえ。


【英語】
・two peas in a pod(二人または二つのものが非常によく似ていること)
【類義語】
・生き写し(いきうつし)
・瓜を二つに割ったよう(うりをふたつにわったよう)
「瓜二つ」の語源・由来
「瓜二つ」は、一つの瓜を二つに割ったとき、左右の形や切り口が互いによく似ていることから生まれた表現です。その二つを、顔かたちのよく似た親子や兄弟などに重ねています。
ここでいう「二つ」は、もともと二個の瓜があるという意味ではありません。一個の瓜を二つに割ってできた、よく似た二つの部分を指しています。
このたとえの古い形は、『毛吹草(けふきぐさ)』(1638年序・江戸時代前期、松江重頼編)に出てきます。『毛吹草』は、七巻五冊からなる俳諧(はいかい)の書で、松江重頼が編んだものです。
『毛吹草』には、「瓜を二つに割ったよう」、または「瓜を二つに割りたる如し」に当たる形が収められています。この段階では、現在の「瓜二つ」よりも長く、瓜を割った様子をそのまま述べる言い方でした。
この表現は、一方の顔がもう一方に少し似ているという程度ではなく、二つに分けた瓜のように、どちらを見ても同じと思うほど似ている様子を表します。そのため、単なる「似ている」よりも、強い似通い方を示す言葉となりました。
『大内裏大友真鳥(だいだいりおおとものまとり)』(1725年初演・江戸時代中期、竹田出雲作)には、「此子が面相父上に生写し、兼道とは瓜を二つ割らずに其儘」という用例があります。子どもの顔が父親の生き写しであることを、「瓜を二つに割らず、そのまま」と強めて表したものです。
「割ったよう」ではなく、「割らずにそのまま」と言うことで、二人があまりによく似ていて、別々の人物とは思えないほどだというおもしろさを加えています。この用例からは、瓜を使った似姿のたとえが、形を変えながら用いられていたことが分かります。
やがて、「瓜を二つに割ったよう」という長い言い方は、「瓜二」のような短い形へまとまっていきました。『詞葉新雅(ことばのしんが)』(1792年・江戸時代後期、北辺成寿論定)には、「瓜二」の形が収められています。
「瓜二」は「うりふたつ」と読み、顔かたちがよく似ているさまを表します。もとの具体的なたとえを省いても意味が通じるほど、瓜を二つに割る比喩が広く定着していたことを示す形です。
山田美妙の『武蔵野(むさしの)』(明治20年、山田美妙著)には、「顔形〈略〉ほとほと前の婦人と瓜二つで」とあります。ここでは、ある女性の顔かたちが、前に現れた女性と非常によく似ていることを表しています。
夏目漱石の『吾輩は猫である』(明治38〜40年、夏目漱石著)にも、「彼の眉目がわが親愛なる好男子水島寒月君に瓜二つである」とあります。見知らぬ男の顔が、寒月という人物にそっくりで、同一人物ではないかと思うほど似ている場面です。
このように、初めは「瓜を二つに割ったよう」という具体的な比喩として使われ、江戸時代後期には「瓜二」という短い形が現れました。明治時代以降は、現在と同じ「瓜二つ」の形で、人の顔や姿が非常によく似ていることを表す言い方として定着しました。
現在も、親子、兄弟、姉妹など、近い関係にある二人の外見がそっくりな場合によく用います。性格や考え方が似ていることよりも、まず、顔つきや姿の強い類似を表す慣用句です。
「瓜二つ」の使い方




「瓜二つ」の例文
- その姉妹は瓜二つで、初めて会った人には見分けがつかない。
- 成長した息子は若いころの父親と瓜二つになった。
- 二人は瓜二つの双子だが、性格はまるで違う。
- 写真に写った祖母と母の顔は、驚くほど瓜二つだった。
- 舞台に登場した兄弟は瓜二つで、観客からどよめきが起こった。
- 彼女は母親と瓜二つなので、親戚からすぐに娘だと気づかれた。
主な参考文献
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・北村孝一編『ことわざを知る辞典』小学館、2018年。
・松江重頼編『毛吹草』1638年序。
・竹田出雲『大内裏大友真鳥』1725年。
・北辺成寿論定、西村惟俊・藤木正名筆授『詞葉新雅 初編』1792年。
・山田美妙『武蔵野』1887年。
・夏目漱石『吾輩は猫である』大倉書店、1905〜1907年。
・Merriam-Webster『Merriam-Webster.com Dictionary』。























