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【顔を立てる】の意味と使い方や例文!語源由来は?(類義語・対義語・英語)

顔を立てる

【慣用句】
顔を立てる

【読み方】
かおをたてる

【意味】
相手の名誉や面目が保たれるようにし、体面が傷つかないように配慮すること。

ことわざ博士
顔を立てるとは、相手をただほめることではなく、相手が恥をかかないように立場を守る言い方なんだよ。
助手ねこ
目上の人、先輩、取引先、友人などの名誉や役割に気を配り、自分が前に出すぎない場面で用いるニャン。

【英語】
・help someone save face.(人に面目を保たせる、恥をかかないようにする)

【類義語】
・人を立てる(ひとをたてる)
・花を持たせる(はなをもたせる)
・面目が立つ(めんぼくがたつ)

【対義語】
・顔を潰す(かおをつぶす)
・顔に泥を塗る(かおにどろをぬる)
・顔を汚す(かおをよごす)

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「顔を立てる」の語源・由来

慣用句を深掘り

「顔を立てる」の「顔」は、目や鼻のある顔そのものだけを指すのではありません。人を見分ける目立つ部分であることから、人によく知られていること、信用や評判、さらに社会上の体面・面目・名誉を表す意味にも広がりました。

この慣用句では、「顔」はその人の世間に対する立場や名誉を表します。つまり、相手の「顔」を大切にするということは、相手が周囲からどう見られるか、相手の立場が傷つかないかに配慮することです。

「立てる」には、物を立てるという基本的な意味だけでなく、一段高いものとして大切にする意味や、面目などを損なわないように保たせる意味があります。そのため「顔を立てる」は、相手の面目を損なわず、きちんと保たせるという考えから成り立っています。

「面目」は、世間や周囲に対する体面・立場・名誉、また世間からの評価を表す言葉です。「顔を立てる」は、この「面目」を相手に保たせる動きを、より日常的で分かりやすい「顔」という言葉で表した言い方です。

「顔」を面目や名誉の意味で用いる発想は、江戸時代の文芸にも現れます。たとえば、1698年の浮世草子『新色五巻書』には「私の㒵(カホ)をよごし」という形が出てきており、ここでは顔を汚すことが、面目を失わせることにつながっています。

また、1738年の雑俳『火燵ひらき』には「大関の顔に泥ぬる河津掛け」という例があり、「顔に泥を塗る」が名誉を傷つけ、面目を失わせる意味で使われています。顔を「汚す」「泥を塗る」といった表現が、面目や名誉を損なう比喩として用いられていたことが分かります。

「顔を立てる」の古い用例として重要なのは、『関取千両幟』(1767年・江戸時代中期、近松半二・三好松洛・竹田文吉・竹田小出雲・八民平七・竹本三郎兵衛合作)です。この作品は、明和4年に大坂竹本座で初演された浄瑠璃で、当時の人気力士を題材にした世話物です。

『関取千両幟』二段目には、「お前のお顔を立てまして、今日中は待ちます」という用例が出てきます。相手の立場を傷つけないようにし、期限を今日中まで待つ場面で、「お顔を立てまして」という言い方が使われています。

同じ作品には、「太夫殿を外の手へ渡しては、どうも岩川が顔が立たぬ」という「顔が立つ」の形も出てきます。「顔が立つ」は、世間に対する名誉が保たれ、面目が立つことを表す言い方です。

この二つを比べると、「顔が立つ」は面目が保たれる状態を表し、「顔を立てる」は相手がその状態になるように取り計らう行為を表します。つまり、「顔を立てる」は、相手の面目を守るために自分の言動を調整する、配慮の動きを含む表現です。

後の時代には、反対の発想を表す「顔を潰す」も用いられるようになります。これは、その人の名誉を傷つけ、面目を失わせる意味で、「顔を立てる」とは反対に、相手の立場をこわす方向の言い方です。

現在の「顔を立てる」は、相手を自分より上に置いて尊重したり、自分は退いて相手の面目を保たせたりする「人を立てる」とも近い働きをもっています。ただし、「顔を立てる」は、特に相手の体面や名誉が傷つかないようにする点に重みがあります。

このように、「顔を立てる」は、顔を人の名誉・体面のたとえとして用い、そこに「立てる」の、損なわず保たせる意味が結びついた慣用句です。相手をむやみに持ち上げるのではなく、相手の立場が傷つかないように、礼儀と配慮をもってふるまう場面で使われます。

「顔を立てる」の使い方

健太
次の球技大会のために、僕が一生懸命考えてきたサッカーのフォーメーションの作戦図だよ!
ともこ
すごくよく考えられているね!実は私も違う作戦を考えていたけれど、今回は健太くんの顔を立てて、この作戦をみんなに提案しよう。
健太
えっ、ともこちゃんの作戦の方がもっと点数が取れそうなら、そっちでもいいんだよ?
ともこ
ううん、健太くんがチームのために何日もかけて準備してくれた気持ちを一番に大切にしたいんだよ。
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「顔を立てる」の例文

例文
  • 会議では課長の顔を立てるため、担当者が先に説明したあと、最終判断を課長に任せた。
  • 地域行事の準備では、長く関わってきた人の顔を立てる形で、開会のあいさつをお願いした。
  • 友人の提案に足りない点があったが、大勢の前では顔を立てるため、あとで二人だけで相談した。
  • 祖父の顔を立てるため、家族は祝いの席で最初の乾杯を祖父に頼んだ。
  • 取引先の顔を立てる配慮から、発表では共同開発として相手の名前を先に紹介した。
  • 委員長の顔を立てるつもりで、班員は発表の締めくくりを委員長に任せた。

主な参考文献
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・松村明監修『大辞泉 第二版』小学館、2012年。
・平凡社編『改訂新版 世界大百科事典』平凡社、2007年。
・近松半二・三好松洛・竹田文吉・竹田小出雲・八民平七・竹本三郎兵衛合作『関取千両幟』1767年。
・Cambridge University Press『Cambridge Academic Content Dictionary』Cambridge University Press.
・Oxford University Press『Oxford Advanced American Dictionary』Oxford University Press.





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