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【相惚れ自惚れ片惚れ岡惚れ】の意味と使い方や例文!語源由来は?(類義語・英語)

相惚れ自惚れ片惚れ岡惚れ

【ことわざ】
相惚れ自惚れ片惚れ岡惚れ

【読み方】
あいぼれうぬぼれかたぼれおかぼれ

【意味】
人を好きになる気持ちには、両思い、ひとりよがり、片思い、ひそかな恋慕(れんぼ)など、さまざまな形があるということ。

恋慕は、特定の異性を恋い慕うこと。
ことわざ博士
相惚れ、自惚れ、片惚れ、岡惚れという四つの恋のあり方を並べ、人の思いの違いを調子よく表すことわざだよ。
助手ねこ
恋愛の形が一つに決められない場面や、物語の人物関係が入り組む場面で用いるニャン。

【英語】
・Love takes many forms.(愛にはさまざまな形がある)

【類義語】
・蓼食う虫も好き好き(たでくうむしもすきずき)

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「相惚れ自惚れ片惚れ岡惚れ」の語源・由来

ことわざを深掘り

このことわざは、中国の古いエピソードに由来する故事成語ではありません。日本語の「惚れる」という言葉に、「相」「自」「片」「岡」を付けた四つの言い方を並べ、人の恋心が一通りではないことを、軽やかな調子で表したものです。

中心にある「惚れる」は、恋愛の相手に心ひかれて夢中になることを表します。一方で、古くは「ぼんやりする」「年老いて知覚がにぶる」といった意味も持っており、人の心が何かに奪われるという広い働きから、恋に夢中になる意味へつながっていきました。

「相惚れ」は、互いに愛し合うこと、また愛し合う恋人同士を表す言葉です。古い用例として、『犬枕(いぬまくら)』(1606年ごろ・江戸時代初期、近衛信尹〈このえのぶただ〉側近の合作か)に、「したたるき物、あひぼれの目元」という形で出てきます。

『犬枕』は、『枕草子』の「物は尽し」の形式にならい、「うれしき物」「かなしき物」などを並べる仮名草子(かなぞうし)です。「相惚れの目元」は、愛情や色気が濃く表れるものの一つとして挙げられており、早い時期から「互いに思い合う恋」の表現として用いられていたことが分かります。

「自惚れ」は、実際以上に自分を優れていると思い、得意になっている状態や気持ちを表す言葉です。『遊子方言(ゆうしほうげん)』(1770年・江戸時代中期、田舎老人多田爺〈いなかろうじんただのじじい〉作)には、「うぬぼれ」の用例が出てきます。

『遊子方言』は、江戸の吉原(よしわら)を舞台に、通人ぶった男が振られ、初心者がもてるという筋をもつ洒落本(しゃれぼん)です。この文脈をふまえると、「自惚れ」は、恋の中では相手の気持ちを自分に都合よく思い込む、ひとりよがりの心の動きとして受け取られやすくなります。

「片惚れ」は、このことわざの中で「片思い」にあたる恋の形を表します。「片思い」は、一方だけが恋い慕い、相手は何とも思わないことをいい、古くは『万葉集(まんようしゅう)』(8世紀後半成立、奈良時代)にも「可多於毛比」という形で用例が見えます。

「岡惚れ」は、「岡」が「傍(かたわら)」「局外」の意味をもつところから、親しい交際のない相手や他人の恋人を、わきからひそかに恋い慕うことを表します。表記には「岡惚」のほか、「傍惚」もあり、中心の関係から少し離れたところで抱く恋心という意味がよく表れています。

「岡惚れ」の古い用例としては、1729年の雑俳『十八公』に「岡ぼれは目もとの塩に当座漬」という句が出てきます。相手と深く交わる前に、目元の印象だけで心を動かされるような、わきからの恋心をしゃれて表したものです。

このように、四つの言葉は、互いに思い合う恋、自分本位に思い込む恋、一方だけの恋、わきからひそかに慕う恋を、それぞれ違った角度から示しています。四つとも「あいぼれ・うぬぼれ・かたぼれ・おかぼれ」と四拍でそろっているため、意味だけでなく、音の調子でも覚えやすいことわざになっています。

また、このことわざは「蓼食う虫も好き好き」と近い意味をもつと説明されます。ただし、「蓼食う虫も好き好き」が人の好み一般を広くいうのに対し、「相惚れ自惚れ片惚れ岡惚れ」は恋心の向きや思い込みの違いを並べて見せる点に特色があります。

つまり、このことわざは、恋を一つの形に決めつけず、人によって思い方も、相手との距離も、心の通い方も違うことを表します。教訓を強く押しつけるというより、恋のさまざまな姿を、少しおかしみをこめて眺める言い方です。

「相惚れ自惚れ片惚れ岡惚れ」の使い方

健太
文化祭の劇で、王子は姫が好きなのに、姫は別の人を見ているんだね。
ともこ
しかも、家来は姫に岡惚れしていて、王子は自分が好かれていると思い込んでいるよ!
健太
まさに相惚れ自惚れ片惚れ岡惚れだね。人物の気持ちを整理しないと、せりふをまちがえそうだ。
ともこ
まず矢印を書いてみよう! だれがだれを思っているのか分かれば、劇も楽しく見えるよ。
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「相惚れ自惚れ片惚れ岡惚れ」の例文

相惚れ自惚れ片惚れ岡惚れ
  • この小説は相惚れ自惚れ片惚れ岡惚れで、登場人物の思いが複雑にからみ合っている。
  • 昔話の恋の場面にも、相惚れ自惚れ片惚れ岡惚れのようなすれ違いがよく出てくる。
  • 友人たちの恋愛相談を聞くと、相惚れ自惚れ片惚れ岡惚れで、人の気持ちは一つの型には収まらない。
  • 文化祭の脚本は相惚れ自惚れ片惚れ岡惚れの筋立てで、笑いながら人物関係を追える。
  • 相惚れ自惚れ片惚れ岡惚れというように、同じ「好き」でも相手との距離や思い込みはまるで違う。
  • 職場の人間関係を恋愛だけで決めつけると、相惚れ自惚れ片惚れ岡惚れの違いを見落としやすい。

主な参考文献
・朝日新聞社知恵蔵編集部編『ことばの知恵袋 とっさの日本語便利帳』朝日新聞社、2003年。
・小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005〜2006年。
・松村明監修『デジタル大辞泉』小学館。
・近衛信尹側近合作か『犬枕』1606年ごろ。
・『万葉集』8世紀後半成立。
・田舎老人多田爺『遊子方言』1770年。
・『雑俳・十八公』1729年。
・Dictionary.com, LLC『Dictionary.com』。





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