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【窮鼠猫を噛む】の意味と使い方や例文!故事は?(類義語・対義語・英語)

窮鼠猫を噛む

【故事成語】
窮鼠猫を噛む

【読み方】
きゅうそねこをかむ

【意味】
弱い者でも、逃げ場のない所まで追い詰められると、強い相手に必死で反撃することのたとえ。

ことわざ博士
「窮鼠」は、追い詰められて逃げ場を失った鼠を指すんだよ。
助手ねこ
弱い相手を侮ったり、反撃の余地がなくなるほど追い込んだりすることの危険を戒める場面で用いるニャン。

【英語】
・A cornered rat will bite a cat.(追い詰められた鼠は猫にもかみつく)

【類義語】
・窮寇は追うこと勿れ(きゅうこうはおうことなかれ)
・一寸の虫にも五分の魂(いっすんのむしにもごぶのたましい)

【対義語】
・猫に会った鼠(ねこにあったねずみ)

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「窮鼠猫を噛む」の故事

故事成語を深掘り

「窮鼠猫を噛む」は、中国の古典『塩鉄論(えんてつろん)』の「詔聖(しょうせい)」に由来します。『塩鉄論』は、前漢の昭帝の時代、紀元前81年に朝廷で行われた塩・鉄・酒などの専売政策をめぐる討論を、のちに桓寛がまとめた書物です。

討論では、国の財政を支えるために専売制度や厳しい法を保つべきだとする政府側と、人々の暮らしを重んじて政策を改めるべきだとする賢良・文学の人々が、政治や経済のあり方について意見を戦わせました。その内容は、経済政策だけでなく、刑罰や人の治め方にまで及んでいます。

「詔聖」では、政府側の御史が、法令を厳しくすれば人々の悪事を抑え、国を長く治められると主張します。これに対し、文学の側は、人々を教え導かないまま刑罰を加えるのは民を苦しめることであり、厳しい刑罰と法だけでは国を長く保てないと反論しました。

文学の側は、その例として秦の二世皇帝の政治を挙げます。二世皇帝は趙高の策を信じ、厳しい取り締まりと処罰を進めたため、人々は重い負担と刑罰に耐えられなくなり、世の中のどこにも安らかに暮らせる場所がなくなったと述べています。

そのあとに、「死不再生、窮鼠齧貍」とあります。人の命は失えば二度とは戻らないため、追い詰められた鼠でさえ、自分よりはるかに強い貍にかみつくという意味です。

この一節に続いて、身分の低い者でも天子に背き、家来でも弓を折って戦いをやめることがあり、陳勝と呉広の反乱がその例だと述べられています。人々を、死ぬほかに道がないほど追い詰めれば、力の弱い者も支配者へ反抗し、国そのものを揺るがしかねないという政治上の戒めでした。

原文の「貍」は、現在の日本語でいうタヌキだけを指す字ではなく、ヤマネコの類を表すことがありました。日本でも古くは「貍」を「ねこ」と読み、のちに、意味の分かりやすい「猫」の字を用いる形が広まったと考えられます。

日本の古い用例には、『太平記(たいへいき)』(14世紀後半成立、作者未詳)巻第四の「窮鼠却噛猫、闘雀不恐人」があります。本文では、越の軍勢は少なくても、心を一つにし、逃げ場がないことを知っているため、呉が再び戦えば危険になると説く場面で、この言葉が用いられています。

この用例では、「窮鼠かえって猫を噛む」という形になっています。「かえって」は、普段なら鼠が猫から逃げるはずなのに、追い詰められると反対に猫へかみつくという、立場の逆転を強く表す言葉です。

近代にも、中里介山の小説『大菩薩峠(だいぼさつとうげ)』(大正2年から昭和16年)に、「窮鼠かえって猫を噛む」という形が出てきます。捕らえられるのを待つのではなく、追い詰められた者が非常手段に出ようとする場面で使われています。

松本清張の小説『中央流沙(ちゅうおうりゅうさ)』(昭和43年)には、現在と同じ「窮鼠猫を噛む」の形が使われています。相手をあまり追い詰めると、やけになって思わぬ行動に出るおそれがあるという文脈であり、現在の用法とよく重なります。

現在の「窮鼠猫を噛む」は、弱い者が必ず強い者に勝つという意味ではありません。逃げ道をすべて失った者は、結果を顧みずに激しく反撃することがあるため、どれほど優勢でも、相手を侮ったり、必要以上に追い詰めたりしてはならないという教えを表す故事成語です。

「窮鼠猫を噛む」の使い方

健太
このオセロの試合、絶対に僕が勝つよ!ともこちゃんのコマを全部挟んで、完勝してみせるんだ。
ともこ
そんなに自信満々だと足元をすくわれるよ?私はまだ諦めていないからね。
健太
諦めないと言っても、もう逃げ場はないよ。さあ、これで最後の角を取るぞ。
ともこ
ふふ、そこへ打つのを待っていたの!これで大逆転、まさに窮鼠猫を噛むだね。
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「窮鼠猫を噛む」の例文

例文
  • 窮鼠猫を噛むというから、敗走する敵を逃げ場のない所まで追い込むのは危険だ。
  • 部下を一方的に責め続けた結果、窮鼠猫を噛むような激しい反発を招いた。
  • 窮鼠猫を噛むこともあるため、実力が下だと思う相手でも決して侮れない。
  • 交渉相手へ厳しい条件ばかり突き付ければ、窮鼠猫を噛む事態になりかねない。
  • 弱小チームは窮鼠猫を噛む勢いで反撃し、優勝候補をあと一歩まで追い詰めた。
  • 窮鼠猫を噛むという教えを思い出し、彼は相手に考え直す余地を残した。

主な参考文献

・小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005〜2006年。
・円満字二郎編『故事成語を知る辞典』小学館、2018年。
・北村孝一編『ことわざを知る辞典』小学館、2018年。
・桓寛『塩鉄論』前漢。
・『太平記』14世紀後半成立。





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